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2023.10.18

日系パリジャンによるレザーブランド「Michino Paris」、バッグに反映させた一流メゾンでの経験と日仏の美意識

フランス発ラグジュアリーブランドのアトリエで長年活躍する日本人がいる。日本をルーツに、インターナショナルなバックグラウンドを持つYasu Michino。名だたるビッグメゾンで約18年にわたり、ビジネスの主軸となるレザーバッグ・スモールアクセサリーのデザインを手掛けてきた。
フリーランスとして独立後には、自身のブランド「Michino Paris(ミチノ・ パリ)」を創立し、シンプルさの中にパリジャンらしいエッジを効かせたレザーバッグを展開。変化し続ける彼の人生や感性と呼応しながら、「Michino Paris」も着実に成長を続け、来年で創立10年を迎える。
一流メゾンで培った経験と審美眼、国際色豊かなバックグラウンドを武器に、実用性と上質さを併せ持つ革新的な商品を展開する彼に、「Michino Paris」でのクリエーションについて聞いた。
PROFILE|プロフィール
Yasu Michino(ヤス ミチノ)
Yasu Michino(ヤス ミチノ)

「Michino Paris」創立者兼デザイナー
ニューヨーク大学とパリのファッションスクールを卒業後、「SAINT LAURENT」や「GIVENCHY」、「DELVAUX」といった名だたるビッグメゾンでレザーグッズのデザイナーとして経験を積む。自身のビジョンを反映させたブランド「Michino Paris」を2014年に創立。日本とフランスの美意識、実用性と伝統的な革職人の技術を融合させたレザーグッズを展開している。

やりたいことをする自由な創造の場

まずはMichinoさんの経歴を教えていただけますか?
3〜6歳までは日本で暮らし、その前後は北京と香港、13〜20歳はニューヨークで過ごしました。ニューヨーク大学で美術史と仏文学を学び、学生時代には画廊やファッションブランドのプレスオフィスでインターンをして、卒業した後に憧れだったフランスに移住しました。
パリのファッションスクールでウィメンズウエアのデザインを学んでから、「SAINT LAURENT(サン ローラン)」と「BALENCIAGA(バレンシアガ)」、「GIVENCHY(ジバンシィ)」に勤め、独立後はフリーランスとして、1829年に創業したベルギーを代表するバッグブランド「DELVAUX(デルヴォー)」での仕事をスタート。
その後も「NINA RICCI(ニナ リッチ)」、「CARTIER(カルティエ)」、「 LANVIN(ランバン)」などでレザーバッグとスモールアクセサリーのデザイナーとして働き、2014年にパリで「Michino Paris」を創立しました。
「Michino Paris」を立ち上げた経緯についても教えてください。
当時は「DELVAUX」の仕事を請け負っていました。もともと多方面に関心を向ける好奇心旺盛な性格なので、ビッグメゾンで作れないようなバッグを作りたい、ルールのないクリエーションに取り組みたいと思って自分のブランドを立ち上げることにしたんです。だから「Michino Paris」は、僕のやりたいことをする自由な創造の場でした。
当初はエキゾチックレザーをミックスしたラグジュアリーなバッグを展開し、その後プレイフルなデザインの“Salut”バッグを打ち出すと、メディアでも取り上げられ多くの反響があり、ECとポップアップでの展開でブランドが成長してきました。
過去9年の歩みは、やりたいことをとことん追求して、本質を突き詰めるような過程だったと言えます。だって、やってみないと何事も分からないじゃないですか。実際に経験をすることで、僕が作りたいものは鮮明になるし、お客様が喜んでくれるものも分かってくる、ブランドの価値も磨かれ、そうやってこのブランドの方向性が明確になっていったんです。
創立から9年でデザインやターゲット層に変化はありましたが、根底にある「Michino Paris」のコンセプトは、“シックだけど遊び心を忘れていない”こと。これは今後も変わらないと思いますね。
たとえば、ブランドのアイコンバッグである“ルテス”には、どんな遊び心が加えられているのでしょうか?
パリのエレガンスの真髄を表現した“ルテス”は、とても上品でクラシックで、洗練されたムードを醸し出します。
一見シリアスに見えるのだけれど、バッグの前と後ろの高さが違ったり、ショルダーストラップにはたくさんホールがあるので短く持ったり肩掛けしたり、クラシックな中にスポーティな印象をプラスしたりと、ディテールで遊び心を感じてもらえると思います。
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