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2024.01.22

光り輝く人工石でジュエリーに新たな選択肢を:ウーマンエンパワーを目的としたスイス発「NATKINA」

いつの時代も羨望の的である、ダイヤモンド。
自然の力により地球内部で長い時間をかけて生み出されたダイヤモンドをはじめとした天然石は、実物資産として昨今価値が向上している。
その一方で、ブラッド・ダイヤモンドや紛争ダイヤモンドと呼ばれ、その調達背景が問題視され続けているのも事実だ。
サステナブルへの意識の高まりも後押しして、近年のジュエリー業界では人工石が大きな発展を遂げている。
天然石に対して“ニセモノ”と言われることもあるにはあるが、技術の進歩により品質が向上しており、宝石鑑定士でも目視では識別できない人工石も存在する。天然石と同じ構造を持ち、SDGsの理念に則したエシカルな製造方法である点も人気の理由。
そんなジュエリー市場の未来を予見していたのが、10年以上前から人工石、なかでも人間が作り出した天然界には存在しない石(人造石)を用いて、スタイリッシュなジュエリーを生み出す「NATKINA(ナトキナ)」である。
創設者兼デザイナー、マルティナ・ネトフキナの女性起業家としての先見の明は、ジュエリービジネスで大成功を収めた母親から受け継いだ天賦の才かもしれない。
「女性に自信と輝きを与えること」を使命に、デザインと向き合うマルティナ。世界中の女性に人工石というジュエリーの新たな選択肢を提示する彼女に、「NATKINA」の煌めきの背後にあるストーリーを聞いた。
PROFILE|プロフィール
マルティナ・ネトフキナ(Martina Netovkina)
マルティナ・ネトフキナ(Martina Netovkina)

NATKINA 創設者兼デザイナー

お金をかけずとも、輝く権利がある

まず、「NATKINA」のコンセプトについて教えてください。
「NATKINA」のブランドストーリーは、最愛の母から継承しました。私を含め3人の娘を持つシングルマザーだった母は、ウクライナで初めてダイヤモンドジュエリーのビジネスを開拓した女性で、わずか数年間でウクライナ国内に79店舗のチェーン店を展開しました。
起業資金があまりなかった母は、一生懸命に働き、真摯に向き合い、成功を信じていれば、必ずうまくいくということだけは分かっていたのです。そして、それは正しかったようです。
私は13歳からスイスの寄宿学校に通い、まだ学生だった19歳から母の事業をサポートし、卒業後は本格的に経営に乗り出しました。その後、2011年にジュネーブを拠点に、母の名前(ナタリア・ネトフキナ)に由来するブランド名「NATKINA」を創設しました。
競争の激しいジュエリーの世界において、「NATKINA」は普通のブランドではありません。ダイヤモンドのような輝きを放つエタニティジュエリーを、すべての女性に身に着けていただけるよう、お求めやすい価格で提供しています。
世界中のすべての女性に自信と輝くチャンスを与える、力強いジュエリーを届けられるように努めています。

世界最高品質の代替ダイヤモンドを倫理的に生産する

ダイヤモンドの代替品を使用したジュエリーというブランドのコンセプトは、どのようにして生まれたのでしょうか?
すべての女性はお金をかけずとも、輝く権利があると信じています。
壮麗なジュエリーを身に着けることはその人の個性を向上させる力があると確信しており、私たちはラグジュアリーを身近なものにすることを使命としています。夢のダイヤモンドを手に入れるために貯蓄を犠牲にする必要はないのです。
私たちのジュエリーは本物のダイヤモンドと同じオーラで輝きます。時代を超越したアイテムのおかげで、女性が自分の個性を受け入れ、独自のスタイルを表現し、自分自身を尊重できるようになるという信念から「NATKINA」が生まれました。
本物と見分けがつかないほどの代替品ですが、「NATKINA」が協業するスイスの職人やジュエリー製造技術は、どんなところが優れていますか。
低い予算でタイムレスなジュエリーを提供できるようにしたかったので、優れた品質のキュービックジルコニア(ダイヤモンドを模して開発された人造石)を使用した、より手頃な価格のシルバー製品に焦点を当てました。 
「NATKINA」では、高級感と手頃な価格のバランスを取るよう努めていますが、私にとって製品の品質は常に最優先事項です。
製品は韓国で生産しており、接着剤を使用せずに本物のダイヤモンドと同じように石をセッティングするため、品質が保証されています。 これは石が輝きを失わず、落ちたり、ひび割れたりすることがないことを意味します。
また、各ストーンはスイスの職人によって、本物のダイヤモンドと同じように57面にカットされています。一つひとつの工程を丁寧に、熟練の技による手作業で、4週間以上かけて製品が完成します。クラフトマンシップに裏打ちされた品質の高さが、「NATKINA」のジュエリーの価値であり、他ブランドと差別化を図るユニークさに繋がっています。
代替品については昨今、ラボグロウンダイヤモンド(合成石)も発展していますが、そうではなく人造石にこだわる理由についても教えてください。
世界最高品質の代替ダイヤモンドを倫理的に生産するという、「NATKINA」の理念のひとつを具現化させるためには、確かにラボグロウンダイヤモンドも選択肢に含まれるかもしれません。ラボグロウンダイヤモンドは人工的に製造でき、安定的に供給できるため、天然ダイヤモンドの2分の1程度の価格であることが多くなっていますが、それでも未だに高額です。
さらに、ラボグロウンダイヤモンドは再販の際には値がつかないため、資産価値として考えても投資する対象ではないと私は考えています。天然ダイヤモンドやラボグロウンダイヤモンドよりも圧倒的に低い予算で、それらと同じ輝きを持つジュエリー(人造石)が、女性に自信を与え、女性らしさを際立たせる方が素晴らしいことだと思うのです。
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