1980年生まれ。奈良県奈良市出身。大学卒業後に父の跡を継ぎ、2023年に岡井麻布商店の6代目代表取締役に就任。2024年に奈良県伝統工芸士認定。自社ブランドMafu a Manoを立ち上げ、新商品 を開発し、奈良晒の多様な魅力を発信。
江戸時代、機織りは奈良唯一の産業で、奈良町に住む約9割は機織りに関わっていたといわれています。岡井家も代々機織りをして、1863年に岡井麻布商店の屋号を掲げ、主に武士の上下(かみしも)や茶巾、数寄屋袋など茶道に関わるものを織っていました。問屋への卸をしていましたが、茶道具の需要が減って、このままでは衰退していくと感じました。そこで手紡ぎの糸を使った手織りの奈良晒で現代のライフスタイルに合うものづくりを目指し、20年前に店舗をオープンしました。
後々役立つだろうと、京都の大学で経営学を専攻していました。いつかは家業を継ぐつもりでしたが、一旦社会に出て他の領域を知った方がよいのではないかと思っていたなかで、ちょうど卒業のタイミングで店舗を出すことになったため、すぐに家業に携わることに決めました。最初は店長として働き始め、機織り以外にも接客や販売など、スタッフと共に学びました。