江戸以前から続く、機織りの家系
事業について、また事業の始まりについても教えてください。
江戸時代、機織りは奈良唯一の産業で、奈良町に住む約9割は機織りに関わっていたといわれています。岡井家も代々機織りをして、1863年に岡井麻布商店の屋号を掲げ、主に武士の上下(かみしも)や茶巾、数寄屋袋など茶道に関わるものを織っていました。問屋への卸をしていましたが、茶道具の需要が減って、このままでは衰退していくと感じました。そこで手紡ぎの糸を使った手織りの奈良晒で現代のライフスタイルに合うものづくりを目指し、20年前に店舗をオープンしました。
家業を継いだきっかけや経緯について教えてください。
後々役立つだろうと、京都の大学で経営学を専攻していました。いつかは家業を継ぐつもりでしたが、一旦社会に出て他の領域を知った方がよいのではないかと思っていたなかで、ちょうど卒業のタイミングで店舗を出すことになったため、すぐに家業に携わることに決めました。最初は店長として働き始め、機織り以外にも接客や販売など、スタッフと共に学びました。