我々の身の回 りにある、あらゆるプロダクトは日々進化を競っている。代表的なアイテムがバッグだ。超軽量の防水素材が使われたり、デジタルガジェットを収めるための多くのポケットが設けられたりしてきたが、なかには変わらないバッグだってある。
たとえば、
アウトドアプロダクツの定番「
452U」。世界中で愛されるアメリカ生まれのデイパックは、1970年代に誕生して以来、デザインや素材、製法といった基本設計がほとんど変化していない。なぜ変わらないのか? その理由を探るべく、伊藤忠商事株式会社でアウトドアプロダクツを担当する板坂未夢さんに話を伺った。
PROFILE|プロフィール
板坂 未夢(いたさか みゆ)
ブランドマーケティング第二部 ブランドマーケティング第四課
2013年に伊藤忠商事株式会社入社し、百貨店からカジュアル、スポーツ、化粧品など、さまざまなブランドを担当。
ブランドのルーツはアウトドア用品の百貨店
「452U」の魅力は、アウトドアプロダクツというブランドの成り立ちに紐づいている。「アウトドアプロダクツは、1973年にアルトシュール兄弟に よって、アメリカの西海岸で設立されたブランドです。彼らの父親はロサンゼルスで『The Famous Department Store(FDS)』というアウトドア用品の百貨店を経営していました。当時は幅広いアウトドア用品を扱うショップは珍しく、店にはプロの登山家や冒険家が足繁く訪れていました。そのうち彼らは『目の肥えたアウトドアのプロたちが、普段の生活で気軽に使えるギアを作りたい』と思うようになり、店の一角にあった工房でバッグやレインウエア、靴などを作り始めたのです」