サーフブランドの代表格でもある「
PIKO(ピコ)」。読者はPIKOというブランドにどのようなイメージがあるだろう?
世代によって、PIKOに抱くイメージもさまざまかもしれないが、共通していえるのは、90年代後半から2000年代初めにかけて、「PIKO」というブランドが大ブレイクしたということだ。
サーフィンが趣味でなくとも、PIKOはそのインパクトのあるロゴとともに、世代を問わず人気になった。ここ最近では、アーティストのあいみょんが着用して、話題になったのも記憶に新しい。
しかし、PIKOが本来どのようなメッセージ性を持っているブランドかということは、意外にもあまり知られていない。平成に大ブームを起こし、近年再び注目されているPIKOは、一体どんなブランドなのか。
今回はPIKOのライセンスビジネスに20年以上携わる、株式会社海援隊の方々にお話を伺った。
フォトグラファーのKevin Kamakuraは友人のグラフィックデザイナーWade Morisatoとともに、ハワイの魅力を発信するブランドとしてPIKOを立ち上げた。
KevinがPIKOに思いを込めたのは、一般的なサーフブランドとは違い、ハワイの文化を多くの人に知ってもらうためだった。その思いをPIKOに託したのだ。
ハワイのソウルフードであるタロイモをはじめ、古代遺跡のペトログリフ、移動手段でもあったカヌーなどをモチーフとして起用し、ハワイ伝統のタパファブリックも研究しながらデザインを展開していった。
PIKOの象徴であるロゴには「へそ」の意味がある。
「このロゴには、『へそ』を通じてハワイの先祖と繋がるためのツールのような意味があります。親と繋がっている『へその緒』と同じく、ハワイの先祖とも繋がっているという神聖な意味で、ハワイ語で『へそ』を意味する『PIKO』というブランド名をつけています。
ですので、本来のPIKOはハワイや自然と共存するというメッセージ性をグラフィックに落とし込んでいるブランドなんです」
彼らのオリジナルのマインドが薄れていった、90年代後半から2000年代にかけてのPIKO
ハワイの自然と文化の魅力を発信するために立ち上げられたPIKOだが、90年代後半に日本でブレイクすると、次第にそのイメージは日本の流行であったサーフブランドとして認識されていった。日本でのPIKOのブレイクが記憶に残っている人も多いだろう。当時は、とにかくPIKOというブランドがトレンドで、PIKOのロゴTを着てさえいれば流行に乗っている…という状況だった。
「KevinとWadeはハワイ在住で、自然のある環境の中で生活をしています。PIKOという名前やロゴも、そんな彼らの内側から出てきたものです。
最初は、ハワイで製作したものをショップに並べるところからのスタートでしたが、ブランドの立ち上げから早々に、日本でのライセンス契約が決まりました」
当時、PIKOのライセンス権は総代理店として、別の会社が主に管理をしていた。
90年代後半の日本は、サーフィンがトレンドとして再び注目を浴びていた時代だ。80年代からサー フィンは人気のスポーツだったが、90年代後半は人気アーティスト・木村拓哉がサーフィンを趣味としているところから再びサーフィンブームに火がつく。
また同時に、当時サーファーファッションを取り上げていた雑誌の『Fine』も人気になり、PIKOの認知度も一気に高くなっていった。
90年代後半のサーフィンブーム、ハワイブーム、コギャルが好んでいたハイビスカスモチーフなど、日本人好みにアレンジされたPIKOと時流の歯車が見事に噛み合った。