歴史ある職人の里で、誰も見たことのない「砥部焼」を生み出す�龍泉窯
2025.02.21
歴史ある職人の里で、誰も見たことのない「砥部焼」を生み出す龍泉窯
リンクをコピーしました
※音声読み上げ機能はAI生成のため、
読み間違いが発生する場合があります。
愛媛県伊予郡砥部町で受け継がれてきた砥部焼(とべやき)は約250年もの歴史を持ち、1976年に国の伝統的工芸品に、2005年には愛媛県の無形文化財に指定されている。
この歴史ある伝統工芸品に新風を吹き込むのが、砥部焼の窯元「龍泉窯」代表である池田麻人さんだ。龍泉窯は、祖父・國義さんが立ち上げた龍峯窯から、1977年に独立した伝統工芸士の父・富士夫さんが開窯したもの。池田さんは、3代続く窯を守りながら、これまでの砥部焼とは一線を画すオリジナリティ溢れる作品を展開している。
今回は砥部町に伺い、池田さんが現在の作風にたどり着いた経緯や砥部焼が抱える課題、そして今後の展望などについて話を聞いた。
PROFILE|プロフィール
池田 麻人(いけだ あさと)
池田 麻人(いけだ あさと)

愛媛県砥部町出身。2006年から2008年にかけて、外務省管轄のJICAによる派遣事業でエジプトに赴き、現地の子どもたちに陶芸指導を行う等の活動に従事。その後、2008年からは故郷の龍泉窯に戻り、自身の作品作りを再開。現在は国内外で個展を開くなど、世界を舞台に活躍中。

父の作品をヒントに、砥部焼のイメージを一新する器を展開

池田さんが職人の道を歩もうと思われたのはいつ頃でしたか?
高校を卒業する頃でした。窯場が身近にある環境で生まれ育ったので、進路を考える際にも迷うことなく、職人の道に進んだと記憶しています。

2006年から2008年にかけて、JICAの取り組みでエジプトに派遣され、現地の子どもたちに陶芸指導を行ったそうですね。
JICAに勤めている方と知り合い、「エジプトのアレクサンドリアで陶磁器の指導者を募集している」と教えていただいたのがきっかけでした。

現地では地域の障害者施設で、子どもたち向けに陶芸教室を行いました。施設側はこれを子どもたちの仕事に結びつけたいと考えていたようですが、子どもたちは陶芸というよりも、土遊びを楽しむ感覚だったと思います。

砥部焼はぽってりとした厚みが特徴的ですが、池田さんの作品は異なる印象を受けます。
自分の技法にはシャープな形が合うと思うので、薄作りな作品が多いですね。

その見た目から「持ちにくそう」「使いにくそう」と思われがちですが、実際に使っていただくと「意外としっくりくる」「口当たりがいい」と言われます。そのギャップが面白いですね。
この記事をシェアする
リンクをコピーしました