越前漆器の進化を追う:漆琳堂が手掛��ける伝統と現代技術の革新
2024.12.16
越前漆器の進化を追う:漆琳堂が手掛ける伝統と現代技術の革新
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福井県鯖江市周辺で作られている漆器は、「越前漆器」と呼ばれている。漆の上品な光沢感や華やかさがあるのが特徴で、その起源をたどると約1,500年前にまでさかのぼる。製造には各工程で高度な技術が必要なため、家業として受け継がれていることが多い。
株式会社漆琳堂は、漆の塗師屋(ぬしや)として越前漆器作りを代々営んでいる工房のひとつだ。創業から200年以上、越前漆器の歴史をつないでいる。
今回は、同社の創業の経緯や現代に合う漆器作りをしている理由、越前漆器の製造工程について、同社の内田徹さんにお話を伺った。
PROFILE|プロフィール
内田 徹(うちだ とおる)
内田 徹(うちだ とおる)

1976年 福井県鯖江市出身
大学卒業後、7代続く塗師屋家業に就き、祖父、父に漆器づくりの下地と塗りを習う。
2012年産地最年少で伝統工芸士となる。若い世代に向けた自社ブランドを発表。2019年漆琳堂8代目代表就任。
漆塗りの技術を継承しながら、若手職人の育成や地域の産業観光にも取り組んでいる。

ものづくりに携わっていることが誇り

御社が創業した経緯を教えてください。
弊社は、1793年に創業しました。漆琳堂の創業家である内田家は代々「漆掻き」という漆の原料の収集を生業とし、4代当主が漆塗り業をはじめました。現在は8代目である私が伝統ある漆塗りの技を受け継いでいます。
一般家庭用の漆器と合わせて、旅館や飲食店で使う業務用漆器などの製造も行っています。
また、金継ぎなどお椀の修理も行っており、曹洞宗の大本山「永平寺」の修行僧が使う漆器「応量器」の修理も担当してまいりました。

誰かが使う器を作っていることもあり、器に温かいお汁や料理が入った、会話が弾む和やかな食卓を想像しながら丁寧にものづくりをしています。

御社の一般家庭用の漆器は、現代の生活に合う色や機能性を意識されているように感じます。
カラフルな漆器を作ったのは、若い世代の人たちにも手に取っていただきたいという思いがあるからです。もともと漆器は代々受け継いで使われることが多いのですが、日本では核家族化が進んだり、単身者が増えたりしているのでなかなか若い世代まで届きません。“若い人にどのように手に取ってもらうか”が課題なんです。

そこで、弊社ではカラフルな漆を調合し、いろいろな料理を盛り付けるイメージを持ってもらえるような漆器作りをはじめました。若い世代の方にも手に取っていただけるようになりましたし、漆器をよく使う方からも、「こういう漆器を使ってみたかった」と好評をいただいています。
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