【第2回】10年間の住み込み修業──人間国宝・宮本貞治が得たものづくりの真髄
2025.09.08
【第2回】10年間の住み込み修業──人間国宝・宮本貞治が得たものづくりの真髄
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第1回の配信では、人間国宝・宮本貞治さんが幼少の頃から職人に囲まれて育ってきた過去が明らかになった。家族それぞれがものづくりに携わっており、宮本さんも小学校や中学校でその才能を遺憾なく発揮してきた。
木工芸の虜となった宮本さんは、大学でより専門的に木工芸を学ぼうと美術大学へ挑戦するなか、そのタイミングで師匠となる黒田乾𠮷さんと出会うことになる。今回は、その出会いと弟子入りした修業時代の話をお送りする。

師匠・黒田乾𠮷との出会い

宮本さんの師匠となる黒田乾𠮷さんの父親は、木工芸で最初の人間国宝となった黒田辰秋さんだ。宮本さんはなぜ黒田さんのもとに弟子入りすることができたのか。話を伺うと、それはまさに運命的な「縁」の連続だったようだ。

「中学生の頃かな。それだけ木工が好きなら、黒田さんのところに弟子入りするかと親父がよく言っていたんです。親父は会社で黒田辰秋さんと仕事で交流があって、よく知る間柄だったようですが、僕には誰のことやらで。

その後、そうした話をすっかり忘れた頃ですね。美大進学の入試対策で絵画を学んでいたときに、そのアトリエの経営者が黒田乾𠮷さんと知り合いだったようで、うちのアトリエで木工を目指している子がいるんだけどって話をしてくれました。後になって分かったのですが、親父の言っていた黒田さんって、この人たちのことかと繋がりました」

宮本さんは、まるで生まれた頃から、乾𠮷さんのもとで修業する運命だったかのように感じてしまう。