宮本さんの師匠となる黒田乾𠮷さんの父親は、木工芸で最初の人間国宝となった黒田辰秋さんだ。宮本さんはなぜ黒田さんのもとに弟子入りすることができたのか。話を伺うと、それはまさに運命的な「縁」の連続だったようだ。
「中学生の頃かな。それだけ木 工が好きなら、黒田さんのところに弟子入りするかと親父がよく言っていたんです。親父は会社で黒田辰秋さんと仕事で交流があって、よく知る間柄だったようですが、僕には誰のことやらで。
その後、そうした話をすっかり忘れた頃ですね。美大進学の入試対策で絵画を学んでいたときに、そのアトリエの経営者が黒田乾𠮷さんと知り合いだったようで、うちのアトリエで木工を目指している子がいるんだけどって話をしてくれました。後になって分かったのですが、親父の言っていた黒田さんって、この人たちのことかと繋がりました」
宮本さんは、まるで生まれた頃から、乾𠮷さんのもとで修業する運命だったかのように感じてしまう。