1953年京都市生まれ。
黒田乾𠮷氏(木工芸作家黒田辰秋氏〈人間国宝〉の長男)に師事。
独立後、滋賀県湖西に工房を構え、創作活動を行う。
日本伝統工芸近畿展で日本伝統工芸近畿賞ほか5回受賞。日本伝統工芸展で第50回展記念賞ほか4回受賞。伝統工芸木竹展で文化庁長官賞ほか4回受賞。その他受賞多数。滋賀県指定無形文化財技術保持者。紫綬褒章受章。重要無形文化財「木工芸」保持者(人間国宝)。
誰しもが、子どもの頃に見たドラマや漫画に影響を受けて、将来はあの職業に就きたいなと思いを馳せたことがあるだろう。ところが、宮本さんの場合は少し違っていた。取材の中で、宮本さんがふと口にした「門前の小僧習わぬ経を読む」という言葉、その意味するところは何なのか。
「父親は京都の家具会社の職人で、家には小さな仕事場がありました。どういうわけか、当時、僕は幼稚園に入園していなかったので、日中に1人で遊ぶことが多かった。それでも家の向かいは、町屋の大工さん、隣は木工所で、職人さんの作業風景をひがな一日見て過ごしていました。」
子どもの頃というには幼少すぎるかもしれないが、物心ついた頃からものづくりに囲まれて生活をしていた宮本さん。「教わらずとも、この道具はこういう使い方をするものなんだなっていうのが、大体わかっていましたね」と当時を振り返った。
周りの同世代の子どもたちが戦隊モノの真似ごとをしていたとき、宮本さんは、お父さんの本物の道具を使った職人ごっこをしていたというから驚きだ。