1973年生まれ。手植えブラシの製造・販売を手がける「寺沢ブラシ製作所」の2代目。21歳のときに創業者である父・明さんのもとに弟子入りし、手植えブラシの職人歴は今年で30年を迎える。刷毛とブラシの専門店「江戸屋」をはじめ全国の企業・個人からも質のいい手植えブラシを求めてオーダーが舞い込む。2016年、江東区優秀技能者表彰。2021年、「東京手植ブラシ」の東京都伝統工芸士に認定。
手植えブラシは毛材を二つ折りにしてひと穴ひと穴植えていくので、機械植えブラシに比べて毛材が抜けにくく耐久性があるんです。靴磨きのプロの方はほとんどが手植えの靴ブラシを使っているのではないでしょうか。うちではほとんどの工程を手作業で行っているので、量産が難しく、すべての商品を受注生産しています。
ブラシの毛材には天然の馬毛、豚毛、山羊毛といった動物の毛から植物繊維のほか、金属線では真鍮、ワイヤー、ステンレス、りん青銅なども使っています。
7割が工業用ブラシですね。残りの3割は靴ブラシや洋服ブラシなどの家庭向けの製品を作っています。工業ブラシはほとんどの場合、製品の納め先は問屋さんなので、実はその先のエンドユーザーの方がどのような用途でブラシを使っているのか分からないんです。
製品数も今どのくらいあるのか、正直なところ見当もつかないですね。たとえば、毎月、定期的に植えているブラシは20〜30種類だけれど、1年に1回植えるものもあれば、3年に1回植えるものもあります。同じ靴磨き用のブラシでもA社とB社では仕様に多少の違いがあるので、そうなると製品の数はどんどん増えていきますよね。