Fashion Tech News symbol
Fashion Tech News logo
2024.02.16

名古屋から発信・キッチュな雑貨が心を掴む宇宙百貨の魅力

90年代は、ファッションからメイクまで、さまざまなカテゴリーで振り返られることが多いが、その中のひとつに「雑貨」があるのを忘れてはならない。 90年代ならびに、平成の時代はまさしく「雑貨」で溢れていた時代だった。 
安くてカワイイとなると、今では100均で十分に賄えることも多い。しかし、当時は100均にはない魅力を持った、個性豊かで面白い雑貨を売っているお店が多かった。
時代が移り変わるに連れて、若者に人気だった雑貨店はなくなっていったが、宇宙百貨が今なお名古屋を拠点として運営しているのをご存知だろうか。 
今回は、90年代の雑貨カルチャーを牽引した宇宙百貨のオーナーに、現在の店舗、宇宙百貨の魅力についてお話を伺った。 

名古屋を拠点に広がる、宇宙百貨の雑貨たち

ブルース・リーのグッズやおじさんの絵柄のアイテム…90年代後半に宇宙百貨のグッズは女子高生を中心に大ヒットした。当時は、ギャルや原宿系など、さまざまなファッションが乱立した時代だったが、それでも一度は宇宙百貨の店舗に訪れたことがあるだろう。 
関東で宇宙百貨…とイメージすると、宇宙百貨1号店でもある、渋谷の宇田川町の路面店を思い浮かべてしまうが、現在は通販と名古屋を拠点として、店舗を運営している。
以前は、ラフォーレ原宿に店舗があったのも理由にあるが、宇宙百貨のキッチュでポップな印象は、関東だと渋谷や原宿のイメージが強い。名古屋の宇宙百貨には、かつての東京の店舗との違いを感じさせるところはあるのだろうか。
「名古屋は、東京や大阪ともまた違った独特の雰囲気がありますね。
ちょっと変わったものでも、同じアイテムばかり売れるとか。全国的には売れているものも、名古屋ではまったく売れないなんていうことも。名古屋はその辺も含めて、独特な個性があって面白い街です」
去年はラフォーレ原宿でもポップアップが開催されて、SNSやネットニュースなどで盛り上がったのも記憶に新しい。このポップアップは30代、40代を中心に話題になり、東京で久しぶりに目にする宇宙百貨に驚きの声や、懐かしいという声も多かったという。
「昔から使用していたディスプレイなどもそのまま置いていたので、昔から宇宙百貨を知っている30代、40代の方には、『懐かしい!』と言っていただけることが多かったですね。逆に宇宙百貨をまったく知らない若い世代には新鮮だったのではないでしょうか」

時流に合わせて進化する、新しい宇宙百貨

平成の時代は個性豊かな雑貨店が当たり前のように存在した。
人気の雑貨店が都内を中心にいくつもあり、今では探すのが難しいようなデザインの雑貨も容易に手に入れることができた。そして、また一風変わったデザインや、尖っているデザインの雑貨がカッコいいと若者に支持されていた時代でもあった。
90年代後半と比較して、宇宙百貨がセレクトするアイテムにも変化したところはあるのだろうか。
「今の若い子が買いたくなるような商品を展開しようと思ったときに、昔の宇宙百貨のイメージだと若干合わない部分というのを感じて、少しずつ時代に合わせているところはありますね。看板やディスプレイなど、昔からあるものを残しつつも、宇宙百貨も令和仕様にアップデートしています」
宇宙百貨から展開しているオリジナルのアパレルブランド・「空想世界」も新しい試みだ。
独特な世界観の「空想世界」は、今までの宇宙百貨にはない魅力で溢れている。
そして、当時の宇宙百貨にはなかった刺繍の雑貨も見逃せない。
人気イラストレーター・タケヤマノリヤさんの刺繍グッズや、凸凹オノダエミさんの刺繍グッズ、グフィックデザイナーのAKI IJUINさんのアパレルアイテム、さらにスタッフが描いたという、インパクトのあるイラストを刺繍にしたポーチも人気商品のひとつだ。
このような新しい「宇宙百貨」の世界は、店舗のWEBSHOPからも充分に伝わってくる。
「昔と比べるとアパレル商品が増えましたが、その中でも特に刺繍には力を入れていますね。刺繍グッズは店にある業務用刺繍ミシンで作っています。また、ヒートプレス機やCO2レーザー加工機を導入し、内製化することでエッジの効いたアイテムを随時、制作しています。海外で買い付けたアクセサリーも置いてありますが、スタッフが作っているアクセサリーも多いですね。布製のグッズも、布を切るところから始めて、スタッフがお店で作っています」

キッチュな雑貨はいつの時代でもやっぱり面白い

店内は「宇宙百貨らしさ」で溢れている。この「宇宙百貨らしさ」というのを一言でまとめることはとても難しい。宇宙百貨を語るとき、ポップやキッチュやカオス…というイメージや言葉が先行しがちだが、やはり宇宙百貨は令和になっても、心が躍る面白い雑貨で溢れているお店だ。
宇宙百貨が東南アジアで買い付けた面白くて個性豊かな雑貨たちは、今も昔も変わることなく私たちの心を惹きつける。最後に、改めて宇宙百貨がセレクトするキッチュな雑貨の魅力についてオーナーはこう話す。
「宇宙百貨にある雑貨は、僕が面白いと感じた雑貨を仕入れています。そういう意味でも宇宙百貨は、昔から独特なんですよね。
売れる、売れないではなく僕自身が心で感じた面白いものを買い付けることで、ちょっと変わっているけど面白い雑貨との出会いを生み出せるし、それがお客さんの心を掴むのがやはりうれしいです。心が躍るような面白い雑貨と出会えるのが宇宙百貨の一番の魅力だと思います」

■取材協力
宇宙百貨 名古屋店
住所:450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅1-2-2 近鉄パッセ3F
TEL:052-561-7546
休業日:無休(元日は除く)
営業時間:10:00-20:00
WEB 宇宙百貨WEB SHOP X Instagram

Text by Tajimax

この記事をシェアする