木から生まれる、織物の起源との出会い
事業とその始まりについて教えてください。
明治中期、養蚕(ようざん)や丹後ちりめんを製造する小石嘉織物の創業にはじまり、4代目として生まれた長男の私は、子どもの頃から跡を継ぐことを期待されていました。高校卒業後、網野駅近くの田んぼに新しい工房を建て、そこで仕事をすることになりました。今は絹織物に藤糸を織り込んだ藤布の帯を中心に製造し、百貨店などで催事販売しています。
幻といわれた藤布に出会ったきっかけ、継承を決意した過程について教えてください。
1985年にNHKのドキュメンタリー番組「木を織る女たち」を見たのがきっかけで、木から織物を織ることに衝撃を受け、上世屋にとんで行きました。その後始まった講習会に参加し、そこで全工程を学ぶことができました。そしてその藤織りの伝承活動を続ける中で、人が自然と共生するための強い信念、想い、叡智に触れ、やればやるほど面白く、その魅力にのめり込んでいきました。
藤布、制作時期:1913〜1923年