悠久の藤に宿る、遊絲舎の自然賛歌
2025.05.26
悠久の藤に宿る、遊絲舎の自然賛歌
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万葉集や古事記に登場し、織物の原点といわれている藤布。明治から大正、昭和初期にかけてその存在が途絶え、幻の布ともいわれた。今回は藤布に魅了され、人生をかけてその伝承を試みる遊絲舎(ゆうししゃ)を訪ね、お話を伺った。
PROFILE|プロフィール
小石原 将夫(こいしはら まさお)
小石原 将夫(こいしはら まさお)

1948年生まれ。明治中期創業の小石嘉織物(こいしかおりもの)4代目代表。18歳から家業に従事し、32歳で藤布と出会い、37歳から伝承活動を開始。1998年に遊絲舎を立ち上げ、藤布の制作と普及に努める。2006年「きもの文化賞」受賞、2017年「森の名手・名人(伝承文化部門 藤布)」認定、2018年「京都府産業功労者」受彰。

木から生まれる、織物の起源との出会い

事業とその始まりについて教えてください。
明治中期、養蚕(ようざん)や丹後ちりめんを製造する小石嘉織物の創業にはじまり、4代目として生まれた長男の私は、子どもの頃から跡を継ぐことを期待されていました。高校卒業後、網野駅近くの田んぼに新しい工房を建て、そこで仕事をすることになりました。今は絹織物に藤糸を織り込んだ藤布の帯を中心に製造し、百貨店などで催事販売しています。

幻といわれた藤布に出会ったきっかけ、継承を決意した過程について教えてください。
1985年にNHKのドキュメンタリー番組「木を織る女たち」を見たのがきっかけで、木から織物を織ることに衝撃を受け、上世屋にとんで行きました。その後始まった講習会に参加し、そこで全工程を学ぶことができました。そしてその藤織りの伝承活動を続ける中で、人が自然と共生するための強い信念、想い、叡智に触れ、やればやるほど面白く、その魅力にのめり込んでいきました。
藤布、制作時期:1913〜1923年
藤布、制作時期:1913〜1923年
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