1948年生まれ。明治中期創業の小石嘉織物(こいしかおりもの)4代目代表。18歳から家業に従事し、32歳で藤布と出会い、37歳から伝承活動を開始。1998年に遊絲舎を立ち上げ、藤布の制作と普及に努める。2006年「きもの文化賞」受賞、2017年「森の名手・名人(伝承文化部門 藤布)」認定、2018年「京都府産業功労者」受彰。
明治中期、養蚕(ようざん)や丹後ちりめんを製造する小石嘉織物の創業にはじまり、4代目として生まれた長男の私は、子どもの頃から跡を継ぐことを期待されていました。高校卒業後、網野駅近くの田んぼに新しい工房を建て、そこで仕事をすることになりました。今は絹織物に藤糸を織り込んだ藤布の帯を中心に製造し、百貨店などで催事販売しています。
1985年にNHKのドキュメンタリー番組「木を織る女たち」を見たのがきっかけで、木から織物を織ることに衝撃を受け、上世屋にとんで行きました。その後始まった講習会に参加し、そこで全工程を学ぶことができました。そしてその藤織りの伝承活動を続ける中で、人が自然と共生するための強い信念、想い、叡智に触れ、やればやるほど面白く、その魅力にのめり込んでいきました。