ヒマラヤ山脈に属する標高8,163mのマナスルに初めて挑戦した日本登山隊の防寒着や、日本から南極へ初めて観測隊を派遣した際の防寒着を手がけた「ザンター社」は、日本で最初にダウンジャケットを作った会社として知られている。
今回はブランドのルーツに迫り、世界基準のクオリティ、そして現在のものづくりについて、
株式会社ザンター 営業部の比多賀 尚也さんに話を伺った。
日本初のダウンジャケット誕生──マナスル登山から始まった物語
「1953年、日本のマナスル登山隊の第1次隊がマナスルに挑み、1954年には第2次隊、そして1956年の第3次隊で初登頂に成功しました。実はそのすべてで着用されていた防寒着のダウンジャケットを手がけたのが、弊社だったんです。きっかけは1947年。戦後復興期に復興支援・災害支援の一環として“赤い羽共同募金”に参画し、赤い羽根の原料を供給したのが、現在の東洋羽毛工業株式会社の前身であり、ザンター社の親会社にあたる当時の社長でした。それと同時期に、羽毛の保温力に着目し、官公庁に羽毛布団を納めたりしたことが縁となりました。