【津軽塗の基本を知る】「馬鹿塗り」の異名はなぜ? 青森が誇る漆器の奥深い世界
2025.09.02
【津軽塗の基本を知る】「馬鹿塗り」の異名はなぜ? 青森が誇る漆器の奥深い世界
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青森県を代表する伝統的工芸品、津軽塗。その奥深い世界に触れるとき、しばしば「津軽の馬鹿塗り」という、一度聞くと忘れられない言葉に出会います。一見すると否定的な響きにも聞こえるこの言葉ですが、調べてみると、そこには侮蔑とはまったく逆の、作り手たちの実直な仕事への深い敬意が込められていました。
この記事では、読者の皆様と共に学ぶ視点から、津軽塗がどのような工芸品で、なぜ「馬鹿塗り」と呼ばれるのか、その歴史や特徴を紐解いていきたいと思います。

津軽塗とは? 青森・弘前が誇る国の重要無形文化財

津軽塗は、青森県弘前市を中心とする津軽地方で生産される漆器です。その技術的な核心は「研ぎ出し変わり塗り(とぎだしかわりぬり)」と呼ばれる、全国的にも珍しい技法にあります。これは、器の表面に直接模様を描くのではなく、異なる色の漆を何十層にも塗り重ね、その層を平滑に研ぎ出すことで、内部から複雑で深みのある模様を浮かび上がらせるものです。この独特の技法により、他の漆器にはない奥行きと力強さが生まれます。

その卓越した技術と芸術性は高く評価され、1975年(昭和50年)には国の伝統的工芸品に、そして2017年(平成29年)にはその制作技術が国の重要無形文化財に指定されました。これは青森県では初の快挙であり、津軽塗が日本の工芸史において重要な位置を占めていることを示しています。調べてみて特に興味深いと感じたのは、伝統的工芸品としては日本最北に位置するということです。この地理的背景も、津軽塗の性質を理解する上で重要な要素となります。

画像協力:津軽塗たなか
画像協力:津軽塗たなか
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