トランポリンから着想を得た構造を採用したことによる、抜群のバウンス感が特長のアシックス「BLAST（ブラスト）」シリーズ。その最新作となる「スーパーブラスト」は、昨秋発売された「NOVABLAST 3（ノヴァブラスト 3）」よりもミッドソールが6.5mm厚くなった。
中敷きを含むソールの厚さは45.5mmと超厚底設計で、さらに柔らかなクッション性と弾むようなライド感を実現している。「スーパーブラスト」にはどんな思いとテクノロジーが秘められているのだろうか。
エネルギッシュな反発感、弾むようなライド感が魅力の「ブラスト」シリーズは、ランナーが楽しく走れること、そしてランニングへのモチベーションを高めることを目的に開発されたシューズだ。その誕生の背景には、近年のフォーム素材の進化がある。
「高反発で軽量な新しいフォーム材が開発され、その特性を生かしてランナーの気持ちが上がるシューズを作ろうというのがブラストシリーズの出発点です」と「スーパーブラスト」の開発を担当したアシックスの石指智規さん。
では、どのようなシューズであればランナーは楽しいと感じ、気持ちよく走ることができるのだろうか。そのカギはバウンス 感にある。反発性に優れたシューズは、いつもよりストライド（歩幅）を伸ばし、ランニングのテンポをよくしてくれる。高いクッション性を備えたシューズは着地衝撃から足を守りながら、路面の硬さを忘れさせてくれる。反発性とクッション性の要素をハイレベルかつバランスよく備えることで生まれるのがバウンス感だ。
ソール全体の厚さは最大45.5mm！
心地よいバウンス感を追求し、進化を続けている「ブラスト」シリーズ。その最新作「スーパーブラスト」は、「ノヴァブラスト 3」からどうアップデートされたのだろうか。「ソールの厚さが増したことと、ミッドソールの素材変更が大きなポイントです。まず、ミッドソールの厚さですが、ノヴァブラスト 3が最大約31.0mmだったのが、スーパーブラストでは最大37.5mmとなっています。アウトソール、インソールを含んだソール全体の厚さは最大で45.5mm。アシックス史上最も厚底のランニングシューズです。
ノヴァブラスト 3のミッドソールに採用していたのはFF BLAST PLUS（エフエフ ブラスト プラス）という素材でしたが、スーパーブラストのミッドソールは2層構造で、その大部分がFF BLAST TURBO（エフエフ ブラスト ターボ）という素材です。FF BLUST TURBOはトップレーシングシューズのメタスピードシリーズにも採用されているもので、アシックスの軽量ミッドソールフォームの中で最も反発性が高い素材です」
「スーパーブラスト」のミッドソールはFF BLUST TURBOとFF BLAST PLUSの2層構造になっている。その意図と効果はどのようなものなのだろうか。
「反発性を高めるために可能な限り大容量でFF BLUST TURBOを搭載しようと考えました。今後さらに製造方法が進化すればもっと厚くできるようになるかもしれませんが、現時点では製造が可能な限界の厚さでFF BLUST TURBOを搭載しています。
FF BLUST TURBOは変形しにくい素材で、それが安定性の高さにも繋がっているのですが、ミッドソールをFF BLUST TURBOだけにしてしまうと、ノヴァブラスト 3のようなソフトさやバウンス感が得られません。そこで、ミッドソールの底面にFF BLAST PLUSを採用することにしました。
踵部は少々厚いのですが、FF BLAST PLUSは整形できるギリギリの薄さで搭載しています。他にもさまざまな素材をテストしましたが、バウンス感、ライド感、軽量性などから総合的に判断して、この組み合わせになりました」
「ブラスト」シリーズ特有のバウンス感を生む要素の1つである、トランポリンから着想を得たソール構造も継承している。靴底の中央周辺部分にくぼみを設け、荷重がかかった際に変形しやすくすることで、復元する力が変形した素材に働き、トランポリンのように弾むような感覚が得られるのだ。
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