2023年の秋冬シーズンに発売以来、
無印良品の紳士カテゴリーで毎年トップクラスの実績を維持しているのが「
防風撥水中わたフードジャケット」だ。最近では女性の愛用者も増えているほど支持を集めている。
ベーシックな商品を取り揃え、私たちの日々に寄り添う無印良品。その豊富なラインナップのなかでも、なぜこの商品がここまで支持を集めているのか。その背景を、開発を担当した黒田裕生さんに聞いた。
PROFILE|プロフィール
黒田 裕生(くろだ ゆうき)
株式会社良品計画
衣服・雑貨部 紳士アウタートップス担当
「防風撥水中わたフードジャケット」が誕生したきっかけは、コロナ禍にあった。
「多くの人が未知のウイルスに敏感になっている時期でした。そこで外出の後に、自宅で気軽に洗える中わたのアウターを、できるだけ低コストで実現しようと開発を始めました」と黒田さんは振り返る。
当初は“清潔を保てること”に価値を置いていたが、パンデミックも落ち着いてくると、市場のニーズも微妙に変化していく。
「ウイルス対策としての役割は果たしたと考えました。一方で市場では、他社の中わた製品洗濯時の洗濯機の転倒事故が報告されており、安全性に不安を感じる声もありました。そこで少しでもリスクがあるのであれば、洗濯機対応にこだわるよりも、安心して使える快適性や機能性に軸足を置く方向にシフトしようと考えたのです」