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2023.03.28

涼しい! 吸汗速乾&持続冷感、進化を続けるアンダーアーマーのテクノロジー

1996年にアメリカで登場するや否や、アメリカンフットボール選手が防具の下に着用する吸汗速乾ベースレイヤーとして人気が広まり、不動の定番となったアンダーアーマーはスポーツに革命をもたらした。汗による不快感とパフォーマンス低下を一挙に解決し、ワークアウトや日常のウェアとしても欠かせない存在になったウェアの進化について、株式会社ドームで商品企画を担当する大金稜史さんに話を聞いた。

吸汗速乾インナーの先駆け、不動の信頼を誇る「ヒートギア」

アンダーアーマーの機能性ウェアは、日本でもプロスポーツから一般のファンスポーツ、フィットネスやアウトドアなど幅広いシーンにおいて、快適なベースレイヤーとしてすでに「なくてはならない存在」になっている。多彩な商品群の中で、原点というべきはやはり現在も人気が高い「ヒートギア」だろうか。
UAヒートギアアーマー ショートスリーブ シャツ  3,850円(税込) 品番: 1361518  カラー:001
UAヒートギアアーマー ショートスリーブ シャツ 3,850円(税込) 品番: 1361518 カラー:001
 「『ヒートギア』がすべての原点です。1990年代半ば頃まで綿のウェアで競技していたアスリートを、汗の不快感から解放しました。ブランドのスタート地点『ヒートギア』は吸汗速乾ウェアの元祖であり、その後さまざまなメーカーさんから似たコンセプトのインナーが登場しましたが、最初の生みの親であるアンダーアーマーが現在に至るまで確固たる地位を築いていると自負しています」
UAヒートギアアーマー レギンス  4,950円(税込)  品番: 1361586  カラー:001
UAヒートギアアーマー レギンス 4,950円(税込) 品番: 1361586 カラー:001
不動の信頼を勝ち得ているアンダーアーマーの「ヒートギア」は、登場から今日まで不変のクオリティを保ち続けているのだろか。
「ピタっとしたフィット感や、吸汗速乾の機能性は継続しつつ、素材や細かい部分で縫い目の配置や素材の配置などをアップデートしています。不変不動のクオリティに見えても、アスリートのパフォーマンス向上をサポートすべく常に進化し続けています。
たとえば人間工学に基づくパネル構造は、見た目にもわかりやすい部分ですね。通常、Tシャツは肩口に縫い目があるセットインスリーブか、襟ぐりから縫い目が始まるラグランスリーブですが、『ハイブリッドスリーブ』と私たちが呼んでいるのはラグランとセットインを掛け合わせたような独自のスリーブ形状です。動きやすさを追求し、最近の商品に採用しています。
また、熱のこもりやすい部分、汗をかきやすい部分にメッシュ素材を配置し、通気性を高めているのも視覚的にわかりやすい進化の一つです」
アンダーアーマーはこれまでも「ヒートギア」に加えて、さまざまなテクノロジーを搭載したウェアを開発してきた。そして現在、暑さ対策のテクノロジーを結集した機能性ウェアの最高峰に位置するのが「アイソチル」だ。
UAアイソチル コンプレッション ショートスリーブシャツ 〈ノベルティ〉6,050円(税込)  4/1発売 品番: 1378345  カラー:001
UAアイソチル コンプレッション ショートスリーブシャツ 〈ノベルティ〉6,050円(税込) 4/1発売 品番: 1378345 カラー:001

アンダーアーマーの「COOL」テクノロジーの究極、「アイソチル」とは?

 「気温が急上昇するこれからのシーズンに対応する『アイソチル』は、吸汗速乾だけでなく持続冷感をもたらす機能性ウェアです。
触れるとヒンヤリする『接触冷感』の商品はすでに市場にありますが、『アイソチル』は涼しさが持続する『持続冷感』が特長です。アスリートは試合やトレーニングの間、常にパフォーマンス・集中力を維持し続けなければならず、暑さによるストレスを排除するという部分においても、涼しさは一瞬で終わりではなく持続することが大切です」
アクティブに活動しているあいだもずっと涼しさが続く「アイソチル」の持続冷感は、どのようにして実現したのだろうか。
「『アクアX』という特殊な形状のナイロン糸を使用した生地によって、持続冷感が実現されています。熱は高いところから低いところへ移る性質がありますが、『アクアX』はポリエステルなどと比べて熱伝導性の高いナイロンを使用しています。さらに糸の形状もリボン状にして表面積を大きくしてあります。
つまり、熱交換の行われる面積が広いんです。たとえて言えば、同じキツネ科の動物でも寒い地域のキタキツネなどより暑い地域のフェネックなどのほうが耳が広くて大きく、表面積を大きくして熱放散しやすい形状に進化しているのと似ています。
この『アクアX』においては糸の表面積を大きくすることによって熱交換が行われる面積を増大させ、身体の熱を外に送り出す効果を高めています。肌に常に触れる生地を構成する糸自体に冷感機能があるので、持続冷感が得られるわけです」
汗を吸収して速やかに乾燥させ、効率よく熱交換を行う
汗を吸収して速やかに乾燥させ、効率よく熱交換を行う
身に着けると「第二の皮膚」として熱交換の効率を高めてくれる。氷で冷やせば溶けて終わりだが、冷却装置を身にまとうのでヒンヤリ感が持続するというロジックだ。近年、気温の急激な変化が多い上に夏場の気温は容易に30℃を超えるどころか、頻繁に35℃以上の猛暑を記録する。

過酷な環境でのアクティブなパフォーマンスに真価を発揮

 「汗をかいた後、風にあたると、さらにヒンヤリします。気温の上昇と体温の上昇はアスリートのパフォーマンスを大きく低下させますが、実際自分もサッカーをやっていて、夏場は体力の消耗が半端ではないと実感します。
『アイソチル』を着用してピッチを走ると、体感で1℃~2℃涼しい。この違いは大きいです。パフォーマンスを大きく左右するのは間違いないですし、勝敗にも影響すると思います」
「ハイブリッドスリーブ」と切り替えのメッシュは「アイソチル」にも採用
「ハイブリッドスリーブ」と切り替えのメッシュは「アイソチル」にも採用
勝負のときや、パフォーマンスを上げたいときはもちろん、日常生活で暑さに負けたくないときも「アイソチル」を着用すると違いを実感できそうだ。常時「ヒートギア」を活用し、ここぞというとき「アイソチル」を採用するのが、暑熱と湿気が本番を迎えるこれからの時季の賢い選択かもしれない。
PROFILE|プロフィール
大金稜史(おおがねりょうじ)
大金稜史(おおがねりょうじ)

株式会社ドーム Merchandising Division
アンダーアーマーの商品企画部門でメンズトレーニング、ランニングアパレルを担当。
業務の傍ら自らもサッカー、クロスフィット、ランニングで自分自身に挑戦し、アスリート目線の企画開発を心がけている。

Text by Naoki Sakata

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