

スコットランド出身のアーティスト兼金属工芸家。
2015年にグラスゴー美術大学銀細工・宝飾学科を卒業後、2018年にロイヤル・カレッジ・オブ・アートで宝飾・金属工芸の修士号を取得。2018年、ジャパン・ハウス・ロンドンで開催された「燕三条 金属の進化と分化」展を訪れ、職人たちの技を目の当たりにしたことが「Oku(オク)」創作の始まりとなった。2019年には大和奨学金を得て来日し、2年間にわたり職人たちのもとで研鑽を積んだ。
2022年、「Oku」はDezeen AwardのHomeware Design of the Yearを受賞。
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私の日本の美意識への関心は、幼い頃に芽生えました。スコットランドのグラスゴーで、創造性あふれる家族に囲まれて育った私は、幸運にもグラスゴー美術学校のチャールズ・レニー・マッキントッシュによって建築された校舎で、何度かサマークラスを受ける機会に恵まれました。そこで私は、スコットランドのデザイン思考が日本文化から受けた影響により、どのように革新的な表現を生み出し、文化の架け橋となり得たのかを、日常的に目にしてきました。
マッキントッシュ建築の廊下を歩くたびに、光と影が織り成す豊かな表情を感じ取ることができました。木組みを思わせる構造は、日本の「木組(きぐみ)」にも通じ、私にとって初めて日本の職人技に触れた瞬間でもありました。その後、谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』に出会い、彼の文章に深く共感することになります。
「上手に造られた日本家屋の床の間を見ると、つくづく影の妙味を悟り、光と影との扱い方に感じ入るのである。(…中略…)ただ一条の光が差し込んだだけで、何もない空間に微妙な陰翳が生まれる。それだけのことなのだが、棚の下や花瓶のまわりに沈む闇を眺めていると、たかが影と知りながら、その小さい暗がりの 中に全くの静寂が宿り、何かしら安らかな気配が支配しているように思われる」
この床の間についての言葉は、幼い頃にあの建物の中で私が感じていた静けさと奥深さを、まさに言い当てているように思います。