伝統工芸をつないでいくための3つの視点(ゾェルゲル・ニコラ)
2025.07.11
伝統工芸をつないでいくための3つの視点(ゾェルゲル・ニコラ)
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PROFILE|プロフィール
ゾェルゲル・ニコラ
ゾェルゲル・ニコラ

ドイツ出身。株式会社ちん里う本店 常務取締役。

大学在学中に日本文化に関心を持ち、経営学の学位と並行して日本語と文化を学ぶ。2000年、ドイツ企業の日本法人への転職を機に来日。2010年、妻が5代目として家業を正式に継承。2012年より、妻の家業である「ちん里う本店」に参画し、日本の伝統食品や工芸品を海外に発信する国際ブランド「NIHON ICHIBAN」を立ち上げる。現在は海外展開や後継者支援にも注力しながら家業のサポートを続ける。

ちん里う本店 駅前本店外観
ちん里う本店 駅前本店外観

日本文化との出会いと家業への参画

私が日本文化に触れ始めたのは、ヨーロッパの大学で妻と出会ったことがきっかけでした。経営学を学ぶかたわら、日本語と文化の勉強を始め、在学中はSONYドイツ法人でインターンとして、卒業後は正社員として勤務し、日本のビジネスやイノベーション文化に触れていきました。

2000年にドイツ企業の日本法人に転職し、夫婦で日本に移住。2010年、妻が実家の家業である「ちん里う本店」(1871年創業/梅や赤紫蘇、桜を使った菓子や漬物を製造・販売)の5代目として、事業を引き継ぐことを決意しました。

私も事業を支えたいと思ったものの、手先が器用ではなく、職人として手を動かす仕事には向いていなかったため、製造に携わることはできませんでした。百貨店の販売イベントに同行するなかで、「海外に販路を広げたいがノウハウがない」という伝統企業に携わる企業の声を多く聞き、国際部門の設立を決意。2012年にフルタイムで参画し、「NIHON ICHIBAN」ブランドで日本の食や工芸を海外向けに販売するオンラインストアを立ち上げました。

現在では、北海道から沖縄まで250社、約8,000点の商品を扱い、100ヶ国以上の顧客や専門店と取引しています。私たちが目指すのは、単なる「商品の販売」ではなく、「背景にある物語を伝えること」。現在は、職人や家業の姿がより浮かび上がる新たなWebサイトの開発にも取り組んでいます。

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