JA/EN

AI検索

関連ハッシュタグ

Articles

創業100周年記念モデルとして誕生し、 スティーブ・ジョブズ氏が愛用していた ニューバランス「992」の歴史と魅力とは?

2025.07.24
ニューバランス100周年を祝うアニバーサリーモデルとして2006年に登場した「992」。2020年に待望の復刻を遂げたことでその人気が再燃し、現在も入手困難なモデルとして知られている。やや細身のシルエットにボリューム感のあるソールを搭載した「992」がどのような魅力を持ち、ニューバランスとしてどんな位置づけをされているのかを、スニーカーシーンのキーマンである「ミタスニーカーズ」のクリエイティブディレクター国井栄之さんに伺った。

ABZORB(アブゾーブ)が進化して履き心地がさらに良好に

名品が多いと謳われる900番台の中でも、ひと際異彩を放つのが「992」だ。ブランドの創業100周年というアニバーサリーイヤーに誕生したという出自ももちろんのこと、『アップル』の設立者の一人であるスティーブ・ジョブズ氏が愛用していたスニーカーとしても有名だ。この「992」が誕生した経緯を国井さんはこう語る。
「先代でもある『991』のスペックを受け継ぎながらも、ブランド独自のクッション素材である『ABZORB(アブゾーブ)』をアップデートした『ABZORB SBS』を搭載し、クッション性がさらに進化したモデルになっています。
前作である「991」から進化したのは「ニューバランス」の専売特許である「ABZORB SBS」。クッション性も格段に良くなった
900番台は、“1000点満点で990点”というキャッチコピーを掲げて、進化を続ける『ニューバランス』の姿勢を象徴する品番として誕生しました。残りの10点は“ユーザーの足に寄り添うための進化の余地”とされ、ブランドの哲学が反映されています。なので『991』よりも一歩でも進化するのは当然のこと。アッパーも上質なピッグスキンスエードを採用しているので、足元も大人っぽく落ち着いた印象に仕上がっています」
ニューバランスといえばやはりグレー。上品なピッグスキンスエードとメッシュのコンビが足元から品の良さを醸し出してくれる。今回のリストックでも即完売が予想される。39,600円(税込み)
国井さん自身、「992」に対してどういったイメージを持っているのかを聞いてみるとこう答えてくれた。
「自分も『992』というとスティーブ・ジョブズ氏が履いていたというイメージが強いですね。白人のお父さんが『ラルフローレン』を着て、900番台のグレーを履く“ダッドスタイル”が思い起こされます。ただ発売当時、日本では『1300』などを筆頭としたプレステージモデルの1000番台と、『576』などに代表される500番台といった他の品番のほうが注目を浴びていたと記憶しています」
現在のようなカルト的な人気を誇る900番台からするとありえないと思うかもしれないが、発売当初はスニーカーブームの真っただ中で他ブランドのハイテクスニーカーの勢いに押されていたのは否めない。確かに筆者も日本で900番台が支持されるようになったのは、発売されてからずっと後だったように記憶している。

作られたトレンドではない魅力を持つ「992」

そんな「992」がどうして支持を得るようになったのか。国井さんはこう分析する。
「2010年代初頭にファッションにおいて“ノームコア”というトレンドが巻き起こったことが、大きな起点になりましたね。そこから「990」シリーズや「991」「992」といった900番台が注目されるようになりました。
900番台といえばやはり「MADE IN U.S.A.」。ヒールには“USA”という文字がしっかり刻まれる
クッション性などの機能は盛り込んであり、それは履けばわかります。ただヴィジュアルからのハイテク感が薄いので、その当時はあまり注目されていませんでした。それがこの“ノームコア”の流れから一気に勢いが加速した感じですね」
「992」といえば、「JJJJound(ジョウンド)」や「WTAPS(ダブルタップス)」、「Kith(キス)」や「Joe Freshgoods(ジョーフレッシュグッズ)」など名だたるブランドとのコラボモデルも展開しているが、「992」の人気のきっかけはそこではないと国井さんは語る。
アウトソールには耐摩耗性に優れた「N durance(エヌデュランス)」を採用。シューズの寿命を長く保ってくれる
「もちろん、きっかけとしてコラボモデルで『992』を知る人も多かったと思いますが、自分はそれだけの理由ではないと思います。“インフルエンサーや有名人の誰々が履いていた”とか、“こんなプロモーションを見た”という作られたものよりも、それぞれ見てきたものが違う世代の人たちがおのおので買う理由を見つけて、それが自然発生的に起こっていることが、まさに“バズっている”ことに他ならないと思うんです」
作られたトレンドよりも、どの世代が見ても“普遍的”と思わせる佇まいこそが「992」なのである。これが名品たる所以といえるところだろう。

テディ・サンティスが監修した新たなカラーも登場予定

現状は、インラインモデルでさえなかなか手に入らないといわれている「992」。今回はベーシックなカラーに、待望のリストック(再入荷)があるとのこと。国井さんはこう続ける。
「2020年に初復刻時も抽選などで即完売してしまい、そこからなかなかリストックがなかったのですが、このタイミングで定番カラーが待望のリストックとなりました。
また、『Aimé Leon Dore(エメ レオン ドレ)』を牽引するテディ・サンティスが、引き続き『ニューバランス』でもThe Made in USA Seasonal Collectionにおいてクリエイティブディレクターを務めているので、新たなカラーなども登場予定です」
クリエイティブディレクターを務めるテディ・サンティス監修の新色も登場予定。42,900円(税込)
最後に国井さんは「992」の魅力についてこう語る。
「『ニューバランス』の900番台全体にいえることですが、ユーザーを置き去りにしないことが大きな魅力ですね。新たな品番が出ることでデザインを一新して、新しいファンを獲得することもできなくはないと思います。
ただ、デザインは先代の面影を残しつつ、機能を一歩ずつ進化させていくことで、既存のユーザーとの共進化に近いモノ作りの姿勢が、『992』そして『ニューバランス』の魅力だと思います」
グレーとともに人気の定番色であるブラックとネイビーもリストックされるとのことなので、お店へ急ごう。各39,600円(税込)
品薄で入手困難な状況が続いていた「992」だが、今回のリストックでその状況も改善されることが期待できる。ただ、テディ・サンティスが監修する新色が起爆剤となり、さらに「992」の人気が盛り上がっていくことも予想される。だからこそ、この機会にぜひ、手に取ってみてほしい。

PROFILE

国井 栄之(くにい しげゆき)

mita sneakers クリエイティブ ディレクター

東京の下町である上野から世界へ向けて独自のスニーカースタイルを提案するmita sneakersでクリエイティブ ディレクターを務める。数多くのブランドとのコラボモデルや別注モデルを手掛けるが、ニューバランス関連でのコラボや別注でもその手腕を発揮。現在は虎ノ門ヒルズにオープンしたショップ「Herringbone Footwear(ヘリンボーン フットウェア)」の外部ディレクターも務める。世界的プロジェクトから国内インラインのディレクションまで多岐にわたり、スニーカープロジェクトに携わるスニーカー業界の最重要人物。

mita sneakers

東京都台東区上野4-7-8 アメ横センタービル1F路面店TEL:03-3832-8346営業時間(平日)11:00~19:30、(土日・祝日)10:00~19:30

https://www.mita-sneakers.co.jp/

Photo by Hiroyuki“Lily”Suzuki(StudioLog)

Text by Yasuyuki Ushijima(NO-TECH)

Tags

この記事はいかがでしたか?

シェアリンクをコピーしました

Related Articles

Related Database