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「サッカーを好きでいつづけてほしい」UMBRO(アンブロ)の“プロテクトヘッドバンド”が守り抜く子どもの今と未来
国民的なスポーツであるサッカー。FIFAワールドカップで活躍する日本代表やなでしこジャパンの姿にあこがれて、サッカーを始める子どもたちも多いことだろう。
だが、サッカーは他のスポーツと比べて、選手同士の激しいコンタクトから転倒による怪我のリスクが高いことでも知られている。特にヘディングは頭部へのダメージも大きく、国によっては練習に制限が設けられているという。
PROFILE
三荷 克己(さんか かつみ)
デサントジャパンへの入社以来、スキーやスノーボードといったウィンタースポーツを長く担当。命に関わるような転倒事故や厳しい気象条件のなかで、少しでも安全に快適にスポーツをするにはどんな機能や工夫が必要かを常に考えてきたことで、サッカーのエキップメントの開発でも知見を発揮。炎天下のプレーで帽子をかぶらないのか、ヘディングで頭は痛くないのか、サッカーでの常識にとらわれず、さまざまな “守る” ことをコンセプトに開発を進めている。
子どもたちを怪我から守る

2023年3月、アンブロがサッカーをする少年少女の頭部の怪我を防ぐために「プロテクトヘッドバンド」を発表した。この商品には「子どもを守る、未来を守る」というコンセプトが掲げられている。
商品開発を担当した三荷さんは、サッカーは他のスポーツと比べて手を使わないため、転倒や怪我のリスクが高いと指摘する。また、子どもならではの問題点もあるという。
「大人と比べて、子どもは骨格が出来上がっていません。それゆえいかに怪我をしないか、怪我から守ることができるのかを考える必要があります。現行のルールでは、すね当て(シンガード)の着用が義務化されています。ところが、もっとも大事な頭部を守る規定はありません。
子どもたちに話を聞いてみると、ヘディングに痛みを感じながらも、テクニックのひとつということで我慢しながらプレーしているようです。この状況は見過ごせるものではなく、それならば子どもたちの頭部を守るアイテムが作れないかと考えました」
子どもを怪我から守るという意識は海外では広く共有され、スコットランドでは、プロのサッカー選手にも練習中のヘディングに制限が設けられているほどだ。
日本でも、2021年に日本サッカー協会が育成年代(幼児期から中学生)に対してのガイドラインを示したが、現場の対応にはばらつきがあるなど課題がある。
衝撃吸収と反発性の共存

「プロテクトヘッドバンド」の開発当初は、キャップの中にバンドを仕込んだり、キャップの内側に衝撃吸収材を入れたりするなど、さまざまなデザインが考案された。最終的にヘアバンドの形状で開発が進められたが、ここでサッカーならではの問題に直面することになる。
「最大限の衝撃吸収性能を保持しつつ、ヘディングのための反発性も持たせなければならないという、相反する性能を両立させるという課題がありました」
三荷さんはデサントの研究開発拠点であるDISCに話を持ち込み、一般社団法人日本自動車研究所(JARI)で衝撃製品テストを実施していく。
「一般的に、衝撃吸収剤はEVAが使われています。これをベースにして、サッカーに適した反発弾性を持つ素材を探していきました。初めに想定していた海外の素材があり、被験者である子どもたちにも試してもらったのですが、思うような結果を得ることができませんでした。それからあれこれ探してみたのですが、最終的には国内で我々が求める素材を開発できる工場を探して、トランスイエローを制作していただきました」
こうしてニット素材、衝撃吸収材「トランスイエロー」、汗水に強いラッセルメッシュの3層構造からなる「プロテクトヘッドバンド」が誕生した。
課題であった衝撃吸収性と反発性を備え、ヘディング時にも違和感がないように厚みや形状にこだわりつつ、フィット感もアジャスターで調整できるものとなった。

43%の衝撃吸収というデータが安全性を証明
ここで、具体的なデータを見ていこう。実験では、頭部ダミーに対して球体のインパクタで衝撃を与える形が取られた。このときの球体の加速度はヘディング時と同等の値となっている。実験の結果、「プロテクトヘッドバンド」を着用することで、頭部への衝撃を約43%低減することが証明された。

興味深いのは、この「プロテクトヘッドバンド」がヘディング時の衝撃を吸収するだけでなく、競技中における転倒や衝突時に発生する衝撃の吸収力にも効果があることが最近の実験で証明されたことだ。
HICという頭部(脳)に損傷を与える衝撃の程度を表す指標があり、脳震盪のような中等症(AIS2)の発生を45%低減できたという。これらのデータからも「プロテクトヘッドバンド」の有用性は明らかだろう。

子どもたちがスポーツを好きでいられるように
「プロテクトヘッドバンド」が出来上がると、三荷さんはJACPA東京FCに赴き、少年少女たちに着用してもらって生の声を聞いて回ったという。そのときの様子はYouTubeに上がっている。子どもたちからは「全然痛くない」「ヘディングが好きになった」「練習でも試合でも着用したい」という声があり、指導するコーチからも好評だったようだ。
指導者や選手が推奨する「プロテクトヘッドバンド」。最後に、三荷さんの内なる思いを語っていただいた。
「練習でも試合でもヘッドバンドの着用義務があるスクールが増えてほしいですし、ゆくゆくは日本サッカー協会から、小学生は『プロテクトヘッドバンド』の着用を必須にする方針を出してもらいたいです。怪我をすることで、そのスポーツを嫌いになってしまう子は多いです。ですから、『プロテクトヘッドバンド』に限らず、お子さんたちの安全を守る商品の開発には、大人になってからもスポーツを楽しんでほしい、好きでいてほしいという思いを込めています」
子どもたちを怪我から守る。そのために何ができるのかを徹底的に考えてきた三荷さんは、スポーツをする少年少女たちの未来まで見据えていた。











