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ワークマン「トリコテックイージーワークスラックス」が圧倒的な快適性とファッション性を獲得できたわけ

2025.03.03
ワークマンの製品には数多くの機能性を備えた生地が用いられている。軽量性や耐水性、耐摩耗性など、用途に合わせたさまざまな生地があるが、そのなかでストレッチ性を追求したのが「トリコテック」である。
今回は、「トリコテック」シリーズの開発を担当する株式会社ワークマン製品開発第1部チーフバイヤーの川田真之輔さんに、ワークマン公式アンバサダーである山田耕史が製品にまつわるエピソードを伺った。

低価格高耐久のストレッチ生地はどのようにして生まれたか

山田耕史(以下、山田)まず、「トリコテック」シリーズが生まれた経緯についてお聞かせください。
川田真之輔(以下、川田)「トリコテック」シリーズが登場したのは2020年ですが、その少し前から快適性の高いワークウエアが求められるようになっていました。
それまで、ワークマンのオリジナルアイテムでは、安さと耐久性を重視した「ザ・作業服」というような製品が主に求められており、着心地に対するニーズはあまりなかったんです。
川田前回紹介した「バズライトストレッチ」シリーズは「軽さ」にフォーカスしていますが、「トリコテック」シリーズはストレッチ性に重点を置いています。
とはいえ、ワークウエアですので、毎日着て洗ってを繰り返すことができる耐久性の高さは必要ですし、ワークマンならではの低価格も絶対に求められます。
この3つの条件を満たすために、大手繊維メーカーと共同で生地を開発しました。
山田すべての条件を満たすのは、かなりハードルが高そうですね。
川田ストレッチ生地の多くにはポリウレタン素材が用いられています。ポリウレタンは安価ですし、ストレッチ性も高いのですが、劣化しやすいという欠点があります。
ハイテクスニーカーのソールが、年月を経ると加水分解を起こしてボロボロになってしまうのも、ポリウレタン素材の劣化によるものですね。
あと、摩耗に弱かったり、すぐに裂けてしまったりすることもあるんです。ポリウレタン素材の特性は、ゴムによく似ています。
輪ゴムって、ずっと使っているといつかは切れてしまいますよね。それと同じようなことが、ポリウレタン生地にも起こるんです。
 
それに対し「トリコテック」シリーズの生地は、複合繊維ポリエステルが50%、ポリエステルが50%という組成になっています。
簡単に構造を説明してみますね。1本の糸の周りに、もう1本の糸をバネ状に巻いていくんです。このバネにゆとりを持たせており、そのゆとりの部分が伸び縮みする、という仕組みでストレッチ性を生み出しています。

ワーカーと一般客のニーズを満たしたデザインで大ヒット

山田2020年に最初に発売された「トリコテック」シリーズの製品は、デザインの良さがこれまでのワークマンのワークウエアと一線を画していたことを覚えています。
ワークマン2020年秋冬カタログより
川田この製品のデザインには、かなり苦労しました。発売当時はワークマンプラスの出店を進めている最中で、従来のプロのワーカーのお客様と、カジュアルウエアやスポーツウエア、アウトドアウエアなどとして着用される一般のお客様の、両方のニーズを満たす製品が求められており、スポーツアイテムやアウトドアアイテムから着想を得てこのデザインに辿り着きました。
結果、一般のお客様にたくさんお買い上げいただきましたし、多くの企業でユニフォームに採用されるなど、幅広い方々から支持をいただく製品になりました。同製品は今も展開していますが、ずっと売れ続けている大ヒット商品です。
山田その後、「トリコテック」シリーズはバリエーションを増やしていますね。代表的な製品について教えてください。
川田「トリコテックイージーワークシャツ」も、多くの企業で制服に採用していただいています。台襟付きでキチンと感を演出し、襟裏にはブラックのメッシュ生地を採用して肌触り良く、汚れは目立ちづらくしています。
また、スナップボタンを採用して着脱を楽にしたり、当初は縦だった胸のジップポケットを斜めにして使いやすさを向上させたりするなど、ワークウエアに求められる機能を凝縮した一着です。
ワークマン「サマートリコテックイージーワークシャツ」(1,500円、税込)
山田背中部分にはベンチレーションもありますね。
川田こういった何気ないベンチレーションも、どの位置にどれくらいの大きさのものがあればもっとも効果的なのか、たくさんサンプルをつくってテストを繰り返しています。

開発者お気に入りのシンプルデザインスラックス

山田「トリコテック」シリーズのなかで、川田さんが特に気に入っている製品はありますか?
川田個人的に、今も着用している「トリコテックイージーワークスラックス」がかなり気に入っています。シルエットが良いので、ほぼ毎日穿いているくらいです(笑)。
川田さんが着用しているのは2024年秋冬モデル
山田これまでのワークマンのパンツにはあまりなかった、タック入りのデザインも特徴的ですね。
ワークマン「トリコテックイージーワークスラックス」(1,780円、税込)
川田僕もそうですが、普通に会社にも着ていけるデザインにご好評をいただいています。もちろん、機能性や耐久性にもこだわっています。
フロントには、信頼性の高いYKK製のジップを使っています。ここが壊れてしまうと、服として着るのが難しくなってしまいますから。
山田今後、どういったワークウエアをつくりたいとお考えですか?
川田漠然とですが、「着ている感覚がない」ワークウエアをつくりたいですね。やはり、価格がワークマンの10倍以上する大手スポーツブランドのアイテムの機能性には目を見張るものがあるので、それに負けないよう、もっと軽く、もっと自然に伸び縮みする生地を使ったワークウエアを、ワークマン価格で打ち出したいです。
山田期待しています!

PROFILE

川田 真之輔(かわた しんのすけ)

株式会社ワークマン製品開発第1部 チーフバイヤー(ワーク&アウトドア)

PROFILE

山田 耕史(やまだ こうじ)

ファッションアナリスト/ワークマン公式アンバサダー
「山田耕史のファッションブログ」を中心にフリーランスとして活動。著書に『結局、男の服は普通がいい 世界一かんたん、一生使えるオシャレの方程式』(KADOKAWA)

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