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2022.05.13

元リーバイスのデザイナーによる環境に配慮したデニムブランド: AUTHEN

ジーンズの生みの親であるLEVI'S(以下、リーバイス)の日本・中国・アメリカ支社で勤務、その後日本人として初めてサンフランシスコ本社にてデザイナーとして従事した前村拓実さんが22年1月に株式会社ラフォエムを設立し、デニムブランド・AUTHENをローンチした。
AUTHENは「より良い未来をデザインの力で」をコンセプトに、服を通して社会と未来に貢献するブランドだ。環境に配慮した素材と製法で作る定番商品や古着を活用したアップサイクル商品とサービスで、あらゆる人に寄り添う服作りを手がけている。
今回は同社の代表である前村さんに、AUTHEN設立の経緯や環境に配慮した商品作りについて話をお聞きした。

環境に配慮した商品作り

AUTHENでは現在、リサイクルを大きなテーマとして物作りをしている。そのきっかけには、アパレル業界が抱えている大量廃棄の問題を解決したいという想いがあった。
日本だけでも、年間100万トンもの衣服が捨てられているとされる。そのなかで同社は、本来ならば処分される製品在庫や廃材を様々なアプローチで活用し、シンプルな定番商品から個性あるアップサイクル商品まで幅広く取り扱っている。
「デニムは頑強な作り、経年変化を楽しめるという利点から、アパレル製品の中で最も製品寿命の長いと言われるアイテムです。その利点を生かしながら、環境に配慮した継続可能な素材と日本の卓越した技術で、品質の高い商品をより長く楽しんでいただけるシンプルなデザインを心がけています。」
実際に基幹商品であるESSENTIALSは環境に配慮した素材、製造過程で作られている。デニム素材には様々な再生糸を活用。2次流通のデニムを活用し、分解、反毛して作った再生糸で作ったデニム、工場の廃材を利用した再生ポリウレタン糸を使ったストレッチデニム、トップスの生地に関しても再生糸を積極的に採用している。
また、染色や加工過程においても水の汚れないエコ染料を、デニムの生産背景においてもレーザーマシンやオゾン加工などを積極的に使い、なるべく水を使わない手法で生産背景での物作りに取り組んでいるそう。
「他にも古着や工場にある在庫商品を用いたアップサイクル商品を販売しています。アパレル生産工場や生地屋では生産総量の0.5%程度がB品(糸のほつれやシミのある不良品)として在庫商品となり焼却処分されます。工場によっては数万点、また数十万点規模になることもございます。小さな生地欠点や製品不良を除けば充分に使える素材なので、その素材を有効活用して商品展開しているのです。また、アパレルの2次流通は10年で2倍、20年で5倍以上になると予測されております。なので日本のみならず海外の古着を活用し、再構築可能な素材を集め、アップサイクル商品として生産しております。」
欧米と比べて日本やアジアの環境問題に対する意識は低く、サステナビリティを単なるトレンドとして捉えている人が多いと感じていた前村さん。そうした考え方で現状のままの生活を続けると、地球温暖化の進行は明白だと話す。
「デザイナーとしてもこのような問題解決をデザインの核と考えております。環境問題は最も大きな社会課題であり、これからの物作りに切り離せない部分です。まずは自分たちでできることを少しづつ行い、『より良い未来をデザインの力で』をコンセプトに様々なことに挑戦したいと思っています。」

リーバイスを経て自社ブランドを設立

前村さんは前職、​​リーバイスのアメリカ本社で17年間に渡り日本人初のデザイナーとして従事していた。そこではメンズを中心にデニムからトップス、高価格帯から低価格帯の商品まで幅広く経験したという。特に近年ではデザインチームの中心を担い、2018年度は過去30年での最高業績を達成、2019年リーバイスとしては2度目のIPOに大きく貢献した。
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#Bio Fashion
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