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2021.04.22

3Dモデリングでファッションに革命を!「バーチャルファクトリー」実現に向けて

アパレル産業にはDX化の波がやってきている。
以前当メディアでも紹介したように、それはコロナ禍の影響によって加速し始め、加えてかねてからアパレル産業が頭を悩ませてきた環境負荷、労働問題に対処する方法の一つとして今後も発展していくだろう。
昨年12月、株式会社FMB(ファッションメタデータバンク)は、高精緻なファッション3D モデリングを中心としたアパレル業界向けテクノロジーサービスを提供するために設立された。FMBは、既存の「川上から川下」と言われるファッション産業構造から、3DCGを中心とした情報統合生産による産業への変革を促進し、新しいサプライチェーンモデルを構築する「ファッション製造・流通の再創造」の実現を目指している。
今回は株式会社FMB代表取締役CEO市川雄司さんに、FMBが目指すアパレル産業の変革、そして「人」を中心にしたネットワークで実現している3Dモデリングを用いたファッションビジネスの内容について伺うべくインタビューを行った。

3Dモデリングによるファッション革命

アパレル産業には構造的な課題が多数あるが、特に環境負荷が大きく増大していて世界的な衣服需要に耐えられなくなっている。その中でも大きな課題が大量の「見込み生産」と呼ばれるもので、第4次産業革命と言われるデジタル・ロボット技術による変革をさらに根本的に見直すために3Dモデリングのデジタル技術を活用していくべきだと市川さんは語る。
「3Dモデリングによる『コンピュータ統合生産・流通』は、何度も繰り返されるサンプル制作のロスを軽減するだけでなく、3DCGによる先行受注を可能にし量産前のテストマーケティングを生産数量に反映できる可能性をもっており(先行受注など)、見込み生産による在庫ロスを軽減させ、前述のような積み重なった課題の根本解決策になると考えています。」
3Dモデリングを中心に据えることで、情報が共有・公開される情報統合生産が可能になる。それによって、機会ロス・在庫ロスの軽減につながり、情報格差のない新たな産業構造を創出することができるのだ。
この3Dモデリングを中心としたシステムの構築背景も独自のネットワークにより実現している。FMBの親会社である株式会社TFLが運営する日本初のファッションテックスクール「Tokyo Fashion technology Lab(TFL)」の卒業生・受講生が運営する研究会の一つ「バーチャルファッション研究会」では、精緻なファション3DCGを制作するノウハウ研究と、3Dモデリング技術の産業活用を産学共同で研究してきたそうだ。
そこに産業側の協力企業の1社として株式会社ヤギが加わった。
「TFLが3Dモデリングのノウハウと人材(3Dモデリスト)、バーチャルな企画力を提供して、ヤギの持つ産業ネットワークと情報、ファイナンス力、フィジカルな生産力を産業変革のために集結したことが協業の目的です。協業に至った両者の想いは『オープンイノベーション』であり、産業革命を牽引する新しいノウハウである3Dモデリング技術を、産業全体のために広く提供、活用していくことです。この想いがひとつになり共同創業に至りました。」
2020年11月の創業から2ヶ月時点でのメンバー(役員含む)の平均年齢は49.5歳と、経験豊富で多様な専門領域のトップランナーが集まっており、教育業界、ファッション業界(経営、パタンナー、デザイナー)、IT業界、CG業界など多様なメンバーが3Dモデリストとして構成されているという。

高い専門知識に支えられる「FMBメソッド」

3Dモデリングによる産業構造の変革を目指すFMBを支える3DCGメソッドが「FMBメソッド」であり、上述の「バーチャルファッション研究会」によって研究が続けられている。「バーチャルファッション研究会」のメンバーは、ファッションデザイナー、パタンナーを中心にグラフィックデザイナー、CGクリエイター、エンジニアなど多様な業界経験者がTFLの専門授業を受けたのちに参画しているそうだ。
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#Virtual Fitting
#FactoryTech
#3DCG
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