多種多様なデザインが溢れるバッグ業界で、驚きのカスタマイズを実現したメッセンジャーバッグが誕生した。その名も「Faceless」。岡山の新鋭によるプロダクトブランド「
VEILED(ベイルド)」がリリースしたものだ。どんなデザイン、そしてギミックを持ったメッセンジャーバッグなのか、このバッグに込めた思いなどをデザイナーの澤山恵一郎さんに伺った。
ファーストプロダクトがいきなり業界の注目の的に
まだコロナ禍の影響が色濃く残る2023年。注目のブランドが産声を上げた。それが岡山発のプロダクトブランド「VEILED」だ。そのファーストアイテムが、今ファッション業界で話題を呼んでいる。それはスタンダードなルックスながら、斬新なアレンジができるというメッセンジャーバッグだ。「『VEILED』は、元ファッションライターだった自分と、15年以上アパレルメーカーとして活動してきた友人の2人で始めたブランドです。これまでの1年を開発機関として、今年の4月にようやくファーストプロダクトをリリースできました。コレクションブランドではないので、不定期で自分たちが“これだ!”と思った普遍的なものをその都度リリースしていくスタイルをとっています」
「VEILED」というブランド名はどのような意味を持つのだろう。
「そのまま“覆う”という意味なんですが、『VEILED』のアイテムが、ユーザーそれぞれの個性に合わせ、ベールをかけるように表情を変える、という願いを込めました」
そんなVEILEDの注目の第1弾アイテムが、バッグの顔であるフラップを着せ替えられるという、斬新なギミックを持ったメッセンジャーバッグなのだ。
スタイルの多様化に合わせてルックスを変えられる
注目を浴びるメッセンジャーバッグ「Faceless」は、プロダクトブランドらしくプロユースを意識した耐久性と機能的な ディテールを備えている。またデイリーに使用できる軽さとポップな遊び心を盛り込み、多様化するファッションやライフスタイルにマッチしたアイテムに仕上がっている。この「Faceless」が生まれたきっかけを澤山さんはこう語る。「昨今、仲間うちで自転車が流行っています。そのスタイルはオールドMTBだったり、BMXだったりするわけですが、そこで自転車に乗るときのバッグが欲しいということから、ライダーにはお馴染みのメッセンジャーバッグが最初のアイテムとして候補にあがりました。
ただ、自転車専用バッグとしてではなく、旅行やビジネスシーンなど、自分たち自身も環境に合わせてさまざまなファッションを楽しんでいます。“多様化”をひとつのキーワードとして、ひとつのバッグのフラップを着せ替えるだけで、その日の気分やシチュエーションにフィットさせるバッグができないかというアイデアでした」
そこから試行錯誤を重ね、フラップ自体をベルクロで着脱させるギミックで、この「Faceless」最大の特徴である着せ替えが可能になった。もちろんメインの素材には、軽量かつ耐久性に優れたコーデュラナイロンを採用。左右の付け替えができるショルダーストラップやホールド感を高められる付属のサブストラップなど、メッセンジャーバッグならではの本格的なスペックも搭載している。
しかも、国内の歴史あるザックメーカーによる製作という“Made in Japan”というお墨付きなので、クオリティの高さは語るまでもないだろう。
期待値が大きいブランドの次なる展開は?
ファーストアイテムのメッセンジャーバッグ「Faceless」が注目されているVEILED。今後の展開をどう考えているのだろうか。「現在は昇華転写によるリアルなプリントを施した4点がラインナップされていますが、さらに着せ替えられるフラップのデザインを随時増やしていこうと考えています。また素材はリップストップナイロンなのですが、レザーや布のパッチワークなどの異素材フラップ、ミリタリーのモールシステムのように、ポーチなどを自由に付け外しできるような機能拡張に目を向けたフラップも構想中です。
また、現在はサイズが24Lのワンサイズ展開。やや大容量なので自転車に乗る人には使い勝手の良いサイズなのですが、普段遣いするには少し小さいサイズが欲しいという意見もあり、18Lぐらいへサイズダウンしたモデルの展開も考えています」
ファーストアイテムが出色の出来栄えだったので、早くも次なるアイテムを期待してしまうが、その構想はあるのだろうか。澤山さんは力強くこう答える。
「まずはメッセンジャーバッグをリリースしましたが、自転車シーンに特化するだけでなく“移動を楽しむ”プロダクトについて考えていきたいと思っています。たとえば、旅を楽しくさせるトラベルグッズとか。また 『Faceless』のフラップデザインも、ドメスティックブランドさんや異業種メーカーなどとコラボできれば横の広がりが深まっていいなと考えていますので、実現できるかは乞うご期待ということで(笑)」
コロナ禍もありファッション業界は何かと暗い話題が多いが、岡山発の新鋭ブランド「VEILED」の進む道は明るい。今後の展開が楽しみなブランドがまたひとつ増えたのは間違いない。
Text by Yasuyuki Ushijima(NO-TECH)