Vollebakはこれまでも、最先端の素材を用いた衣類を発表してきた。米国ニュース誌「TIME(タイム)」やビジネス誌「FAST COMPANY(ファーストカンパニー)」、UK版カルチャー誌「WIRED(ワイアード)」にて、それぞれ賞を受賞。
「Plant and Algae T Shirt」の詳細
Tシャツの生地として使用されているのは、持続可能な方法で管理された森から伐採されたユーカリ、ブナ、トウヒ。パルプ化された後、繊維から糸、そして生地になる。パルプから繊維にするのに用いられる水と、パルプ化に使用される溶剤の99%がリサイクル、再利用される。また、1kgの繊維を生産するのに環境に与える影響をスコア化した「Higg MSI scoring system」は、一般的なTシャツに用いられる綿のスコアが60に対し、ユーカリ、ブナ、トウヒのパルプのスコアは10。非常に環境に優しいことが示されており、最終的にはスコア0を目指している。
Tシャツのプリントには、藻から開発された印刷可能なインクを使用。藻は非常に速いスピードで成長し、二酸化炭素を消費して地球上で最大80パーセントの酸素を生成する。また、藻の培養にはバイオリアクターという装置を使用。水と二酸化炭素、光だけで簡単に生成でき、フィルターにかけたドロドロしたペースト状態から乾燥させて粉末にする。それを水溶性の結合材と混ぜ合わせると緑色の藻のインクが完成、生地に印刷可能になるのだ。
一般的なTシャツには何らかの合成素材が含まれているため、リサイクルが難しく、焼却や埋め立てはコストも環境負荷も大きい。しかしVollebakが開発したTシャツは、環境に配慮した天然素材で製造されているため、土に埋めてから約3ヶ月でバクテリアや菌などの生物によって分解されるのだ。通常のTシャツに比べると劣化は早いが、時間の経過と共に、色や質感の変化も楽しみながら着用できる点も興味深い。
これまでは、グラフェンや蓄光性化合物のような人工材料を原料として製品開発をしてきたVollebak。今回は、ユーカリ、ブナ、トウヒや藻に着目し、使用後に廃棄物として処分せず、土に還せるTシャツの製造を実現した。
昨今、ファッション業界による大量廃棄物や環境負荷の問題が大々的に取り上げられ、解決策として様々なバイオマテリアルが登場している。サステナブルな素材を活用したアイテムがどのように広まっていくか、今後も注目していきたい。