冷たい鉄に、宿るのは人の温もり。120年以上携わり続けた岩鋳が語る南部鉄器の価値とは?
2025.05.12
冷たい鉄に、宿るのは人の温もり。120年以上携わり続けた岩鋳が語る南部鉄器の価値とは?
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創業から120年以上、岩手の地で南部鉄器と真摯に向き合い続けてきた岩鋳(いわちゅう)。受け継がれる伝統を守りながらも、時代の変化を柔軟に受け入れ、進化し続けてきたその歩みには、職人たちの情熱と誇りが刻まれています。
今回は、代表取締役社長・岩清水弥生氏と、伝統工芸士・八重樫亮氏へのインタビューを通して、南部鉄器が持つ本当の価値、そして「育てる道具」としての魅力を紐解きます。
PROFILE|プロフィール
岩清水 弥生(いわしみず やよい)
岩清水 弥生(いわしみず やよい)

株式会社 岩鋳 代表取締役社長

1993年仙台から地元に戻り、家業へ入社。2019年に代表取締役に就任。4代目を継ぐ。

PROFILE|プロフィール
八重樫 亮[三代目 清茂] (やえがし あきら[さんだいめ きよしげ])
八重樫 亮[三代目 清茂] (やえがし あきら[さんだいめ きよしげ])

株式会社 岩鋳 伝統工芸士

1994年 岩鋳入社 二代目清茂、三代目清末に従事
2001年 南部鉄器新作展 最優秀賞
2003年 南部鉄器新作展 産業工芸賞
2006年 南部鉄器協同組合 青年部部長職を務める
~2009年 首都圏での青年部員作品の展示出展を積極的に行う
2009年~ フランス、中国に於いて実演展示会
2011年 伝統工芸士に認定される、三代目清茂となる
2023年 アメリカイリノイ州H.C.Cに於いて講演と実演展示会

古典的な鉄瓶から現代的なデザインの鉄瓶まで幅広く手がける。
普段使いの工芸品を心がけて日々製作をしている。

伝統と革新を 南部鉄器と向き合い、新たな価値を追求する岩鋳の歴史

岩鋳の歴史や特徴について教えてください。
岩清水 岩鋳の創業は1902年、明治35年です。南部鉄器職人だった曽祖父が独立し、設立されました。最初は鉄瓶一筋で、北海道を中心に販路を広げていったそうです。

ただ戦後になると、暮らしのスタイルが変わり、炭や薪からガス・電気の時代になりました。それに伴ってやかんの素材もアルミやステンレスへと変化。鉄瓶の需要は大きく落ち込んでしまいました。

そんな状況を重く見た祖父は「鉄瓶だけにこだわっていてはこの先行き詰まってしまう」と考え、風鈴や灰皿、キッチンウエアなど新しい製品に挑戦。それが今の岩鋳の多様な製品づくりの原点となったのです。
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