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2023.11.21

いま明かされる伝説のコラボレーション「OMEGA」×「Swatch」の「Bioceramic MoonSwatch Collection」誕生秘話

2022年3月、時計業界にとってもファッション業界にとっても革新的なコラボレーションが発表された。それは「OMEGA(オメガ)」と「Swatch(スウォッチ)」の「Bioceramic MoonSwatch Collection(バイオセラミック ムーンスウォッチ コレクション)」だ。コレクションは大反響を呼び、今もなお話題となっている。
今回はこのコラボレーション誕生秘話を詳しく伺うべく、本国スイスとコンタクトをとった。他では明かされない貴重な物語がそこにあり、OMEGAファンもSwatchファンも必見の内容になっている。

40年前のSwatch発売以来、もっともセンセーショナルな出来事

Swatchは1983年にブランドスタートし、「GN100」をリリースするとその洗練されたデザインで瞬く間にファッショニスタの間で話題となり、バリエーション豊富さからSwatchを収集するSwatchコレクターも出現するほどだった。
1965年3月以来、ニール・アームストロング、バズ・オルドリン、およびすべての宇宙飛行士が、NASAのパイロット・ミッションで着用していたアイコニックなOMEGAの「Speedmaster Moonwatch(スピードマスター ムーンウォッチ)」。今回のコラボではそのスピードマスターにインスパイアされた形をした、11の異なるモデルが発表され話題となったことも記憶に新しいと思う。11のモデルはそれぞれ天体を表し、それぞれにクォーツ・ムーブメントが搭載されている。
Mission to the Moon
Mission to the Moon
写真、向かって左上Mission to the Sun 中央上Mission to Mercury 右上Mission to Venus<br>左下Mission on Earth 中央下Mission to Mars 右下Mission to Jupiter
写真、向かって左上Mission to the Sun 中央上Mission to Mercury 右上Mission to Venus
左下Mission on Earth 中央下Mission to Mars 右下Mission to Jupiter
写真、向かって左上Mission to Saturn 右上Mission to Uranus 左下Mission to Neptune 右下Mission to Pluto<br>各40,700円(税込)
写真、向かって左上Mission to Saturn 右上Mission to Uranus 左下Mission to Neptune 右下Mission to Pluto
各40,700円(税込)

極秘プロジェクトのシークレット・ネームは“ガリレオ”

2021年の春、世界はコロナによるロックダウンで人々が移動やレジャーを制限されていた頃、ポジティブな刺激を生み出し、カラフルで、これまでとは異なる驚くべき製品を考え出さなければならないという思いで、このプロジェクトは始まった。
従来のような事業計画、市場調査、その他の概念に基づくものではなく、ルールブックを捨て、本能、心と頭によって導かれ、情熱と生きる喜びが鍵となり、動き出すこととなる。そしてスウォッチ・グループのほんの少数の人々が集められ、小さなグループが設立された。この作戦のシークレット・ネームは“ガリレオ”と名付けられた。
スウォッチ・グループのCEO、ニック・ハイエック氏はコラボ先にOMEGAのSpeedmaster Moon watchをすぐに選んだという。そして、OMEGAをもつ同グループの「ETA(エタ)社」CEOダミアーノ・カサフィナ氏も加わり、プロジェクトは秘密裏に進んでいき、OMEGAでもSwatchでも、何が起こっているのか知っている人はほとんどいなかった。文書はほとんど配布されず、数多くの秘密会議が開催された。
数週間が経ち、OMEGAの製品担当バイスプレジデントであるグレゴリー・キスリング氏をはじめとする、さらなるスペシャリストたちがガリレオに加わる。
ニック・ハイエック氏は、Speed master Moon watch Collectionとその歴史に関する親密で深い知識を求めて、グレゴリー・キスリング氏と契約した。グレゴリー・キスリング氏は、自分がOMEGAの製品を作っているのではなく、そしてまたSwatchの製品を作っているだけではないことを理解していた。「このプロジェクトにはOMEGAからのインプットが必要だったんだ」とニック・ハイエック氏は話したという。
グレゴリー・キスリング氏は3週間身を隠し、太陽系の惑星または天体に関連する11個の時計という独創的なアイディアを出してきた。これこそがこのコレクションのすべての要素であり、その後このアイディアを軸にプロジェクトは進んでいった。
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