2021.10.08

【対談】門田慎太郎・遠藤謙「身体の一部となるプロダクトをめぐる、デザインとエンジニアリングの思想」

#特集003「身体/衣服と機能」
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ロボットや義足の研究者であり、株式会社Xiborg・遠藤謙氏とお送りする特集企画「身体/衣服と機能」。今回は、株式会社quantum執行役員でチーフデザイナーの門田慎太郎氏をお迎えし、対談を行いました。

日常を旅するクルマイス「Wheeliy」のデザインを手掛けた門田氏と、義足を手掛ける遠藤氏。共にこれまで福祉の領域に置かれていたプロダクトに新たな視点を提示する両氏が交わした、身体の一部となるプロダクトをめぐる思想、またデザインやエンジニアリングへの考え方や向き合い方まで、多岐にわたる対話をお届けします。

PROFILE|プロフィール
門田 慎太郎

国内デザインファーム及び外資系PCメーカーにて、一点モノの家具から世界で数万台を売り上げるラップトップPCまで幅広い分野の製品デザインを担当したのち、quantumに参画。quantumのデザイン部門を統括し、プロダクト、グラフィック、UI/UXデザインなどの境域から幅広い分野の新規事業開発を牽引する。デザインリサーチ、コンセプト開発、実証実験、量産設計支援まで一連の製品開発を一気通貫に行うことを強みとしている。手掛けたプロダクトは、iF Design、RedDot design、D&AD、Cannes Lions、グッドデザイン賞など、数多くのアワードを受賞しているほか、ドイツ・ミュンヘンのPinakothek der Moderneのパーマネントコレクションにも選定されるなど、国内外から高い評価を集めている。
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PROFILE|プロフィール
遠藤謙

株式会社Xiborg代表取締役

慶應義塾大学修士課程修了後、渡米。マサチューセッツ工科大学メディアラボバイオメカトロニクスグループにて、人間の身体能力の解析や下腿義足の開発に従事。2012年博士取得。一方、マサチューセッツ工科大学D-labにて講師を勤め、途上国向けの義肢装具に関する講義を担当。現在、ソニーコンピュータサイエンス研究所アソシエイトリサーチャー。ロボット技術を用いた身体能力の拡張に関する研究に携わる。2012年、MITが出版する科学雑誌Technology Reviewが選ぶ35才以下のイノベータ35人(TR35)に選出された。2014年ダボス会議ヤンググローバルリーダー。

日常を旅するクルマイス「Wheeliy」をめぐって

社会のサポートを促すデザイン

門田:

「Wheeliy」の開発背景からお話ししますと、もともとバスケットボールやバレーボールに関連する製品で有名なmoltenさんに医療福祉機器を製造販売する部署があり、新規開発として車椅子を作ってみたいとデザインの依頼を受けました。プロジェクト開始当初は、どういった車椅子をつくるべきなのか明確な目標はなく、また、開発メンバーにも車椅子ユーザーがいなかったんです。なので、実際に色々な車椅子で生活されている方や有識者の方に会うことを積み重ねて、実際の生活のなかで、どういった問題や困難があるのかを洗い出すことから始めました。

そこで見えてきたことが、今の社会のなかで車椅子で移動しようとすると、自分の力だけでは乗り越えられない障壁があるということです。車椅子で移動しようと考るとき、一般的には自分でコントロールできる範囲のところを考え、安定した走行性や軽量化に着目すると思います。ただ、実際に社会に出たときには、自力での移動にはどうしても限界があり、他人の力を借りて移動しないとならない場面が出てきてしまいます。最近、車椅子の方がタクシーで乗車拒否されるというニュースがありましたが、車椅子は扱い方がわからず、壊してしまったら怖いといった理由でリスクを感じさせてしまうようなんですね。タクシーだけではなく、地下鉄やバスでも係の方がどうしてもサポートを躊躇してしまう。そういった障壁を無くすため、車椅子に乗る人のことだけを考えるのではなくて、社会のなかで車椅子ユーザーをサポートする人のためにも、デザインに何かできるのではないかということを考えました。

実際に「Wheeliy」を見ていただくと、黄色いポイントが所々に入っています。これはブランドカラーでもあるんですが、機能的な理由もあり用いられています。たとえばハンドルの黄色い位置を持ち上げることでワンプッシュで畳めたり、フレームの黄色い位置を持つとバランスよく持ち上げることができたりといったことを考慮して、色を入れています。

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福祉的なデザインやプロモーションを乗り越えるために

門田:

もうひとつ大きな特徴が、ブランドコンセプトともなっている"日常を旅するクルマイス”ということで、外に出て行きたくなるような高揚感がある、乗ってみたいなと思うデザインにしたいと考えていました。

よく開発メンバーで話していたのが、メガネは元々は漢字で矯正器具だったのが、今ではカタカナのメガネになって、伊達メガネをつける方がいるみたいにファッションアイテムになっている。そういった感じで、いわゆる福祉機器然としたデザインじゃなく生活の中に入っても馴染んで悪目立ちしない、健常者の方が見てもかっこいいロードバイクに乗っているような印象を与える、そういった世界観をつくりたいというのも大きなテーマのひとつでした。

遠藤:

車椅子は色々な選択肢がありすぎて。どれを選んだらいいかわからないけども、病院の人からこれを使いなさいといった形であてがわれることが多いものですよね。しかし、これからは自分自身で選ぶということも増えていくような流れにあると思います。

そこで僕が難しいと思っているのは、つくったものをどう伝えるかという部分です。いいものができたとしても、それがなかなかユーザーの心に届かないというケースが結構多くて、ユーザーの選択肢にすら入らないことがあります。そういった意味で、門田さんは発信がとても上手だなというイメージがあります。

門田:

まさに僕も車椅子を開発するなかで学んだことなんですが、遠藤さんがおっしゃるように、とりあえず1台目の車椅子を選ぶ方って、あんまり能動的じゃないんですよね。好きで車椅子乗る人というのはいらっしゃらなくて、突然事故に遭い、病院の先生に勧められたものを使うというパターンが多い。なので、実は「Wheeliy」には医療用モデルもあるんです。まず病院で医療用のWheeliyを使っていただき、そこで良さを知っていただいて、そこからこの病院の外に出ても使えるモデルに流れを繋ぐような販売戦略を考えています。

またプロモーションという意味では、車椅子市場を見たときに、ブランディングがうまくできているところは少ないと思っているところがあったので、ただつくるだけではなく、どういう世界観でプロダクトを発信していくのかは強く意識しています。「日常を旅するクルマイス」というテーマだったので、白背景のスタジオで撮った写真だけでなく、公園や商業施設で実際に乗っている写真を撮るとか、生活のなかでの使用をイメージしてもらえるように発信しています。

遠藤:

「Wheeliy」には、パワードライブという電動アシスト機能がありますね。いわゆる電動車椅子ではなく、パワードライブになった経緯も聞いてみたいです。

門田:

そこはこだわっていたポイントで、いわゆる電動車椅子は世の中にたくさんあり、指先のボタンひとつでスピードをコントロールできます。ただ、開発するなかでアクティブに車椅子での生活を送っている方の話を聞くと、残存機能を落としたくないとおっしゃる方が多いんですね。自分の腕の力で漕いで動くということを大切にしたい、そこに何か生きがいというか、幸せみたいなことを感じている方もいらっしゃって。

なのでフル電動にするという話もなくはなかったんですが、必要なときだけ手元のスイッチでパワードライブモードにして、長い坂があったときなど、どうしても必要な時だけ使うといったコンセプトで設計しました。その分、軽量化にも寄与していますので、外に出ていく、移動していくサポートとして、一貫した設計の思想が反映されているのかなと思います。

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生活者の身体と密接なプロダクトをめぐるデザイン

生活者の声を反映した開発

遠藤:

「Wheeliy」もmoltenさんのような大企業との仕事ですが、僕は比較的、こういった大企業と提携した仕事の際に悩むことが多いです。本当は顧客の方に顔を向けたいんだけれど意思決定権はクライアント企業が持っている、なので企業を納得させるところに対して労力をとられてしまいます。大切にしたいフィロソフィーに対してビジネス面でも納得させるようにすることは、僕のこれまでの経験からは難しいなと思っていて、あまりうまくいっているケースを知らないです。門田さんは、企業とのクライアントワークに対して悩んだ部分はありますか?

門田:

そうですね、そこは僕も悩むところです。開発における意思決定者と、実際にそれを使っていただく生活者のふたつの顔を見ながら、僕らは真ん中に立ってデザインの仕事をしないといけない。

僕が意識しているところは、意思決定者も判断材料を必要とすると思うんですが、そこでしっかりと生活者の声を定量的にも定性的にも拾って、実際に世の中に必要とされているものなんですよと説得する。こういった判断材料を用意するときに、自分の考えだけでこういうデザインがいいでしょう、かっこいいでしょうということだけを言うのではなくて、世の中のニーズに根ざしたものだということをインプットすることで、お互いに納得いくような意思の合意を意識してはいます。ただ、実際には難しい場面もありますけれども(笑)

遠藤:

「Wheeliy」では、思い通りにつくれた部分と、これは違っていたなという部分もありますか?

門田:

ありますね。たとえば僕らは重量を甘く見ていたところがあって、義足もそうだと思うんですがユーザーにとっては身体の一部だとおっしゃるくらいなので、本当にグラム単位で軽くしたいというのが大多数の意見としてあります。なので、こういったところは今後、改良を考えていきたいと思っています。

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身体の一部となるプロダクトゆえのカスタマイズ願望

遠藤:

身体の一部というお話がありましたが、僕が義足に携わって悩んでいるのが、たとえば車なら毎日乗る場合でも、高いものなので外観を頻繁に変えるという人はいない。一方でファッション、服だと毎日変える人が多いですよね。
義足というものは、その間に位置するもの、人間の身体と人工物です。脚は毎日違うのかというと、パンツを変えることによって見た目を変えるということを人間はしているのだと思うんですが、義足は変えづらいものなんですよね。変えたいという要望はあるけれども、なかなか手が回っていない。身体の一部と認識している方が多いので、毎日変えていくような自由度が欲しいという人もいるし、まだ選択肢が存在しないからわからないという人もいる。それでも、潜在的には願望はあるかなと思うんですが。

車椅子も車でもないし、脚といわれるとそうかもしれないですが、毎日変わるファッションに対して、車椅子が全く同じということに思考を巡らせたことはありますか?

門田:

確かに車椅子も機能的な理由だけではなくて、自己表現の一部として乗られている方もいらっしゃって、デコレーションしたり、オリジナルカラーに塗装している方もいますね。「Wheeliy」に関しては、カスタマイズ性はあえて追求しないデザインの方向性をとっています。どちらかというと、「Wheeliy」という世界観を気に入ってくれる方に乗っていただきたい。ポルシェが好きだからポルシェに乗りたい、あの世界観が好きだからという熱狂的なファンがいらっしゃるじゃないですか。それくらいデザインを研ぎ澄ませたくて、今回に限ってはカスタマイズできる余地をあえて絞っています。

遠藤:

デザインって、いわゆるコモディティ化すると見えなくなることが多い。たとえばソニーのデザイナーと話していると、テレビのデザインをするときは目立っちゃいけないんだという思考でデザインするそうです。なぜなら家の中で毎日見るものだから、目立つと使い勝手が悪くなる、環境の一部として取り入れられるデザイン性が求められる。一方で、ポルシェだと希少価値によって、デザイン性が浮き出てかっこいいと言われる。

街中に車椅子の人が30人いたとして、全員が同じ車椅子だったら、とっぴなデザインよりも、どちらかというとフラットなデザインを求められる。ポルシェが例に出ましたが、希少価値のあるブランドに興味のある人が乗るものならば、100人のユーザーが使うことに耐えうるものなのか…難しいですね。

門田:

極端に人を選んでしまうようなデザインを目指したわけではないのですが、やっぱりブランドとしてのコンセプトを込めているので、いわゆる汎用車みたいなものではなく、やっぱりwheeliyの考え方に共感いただいた人に乗ってもらいたいなというか、そこに向けてデザインをしました。

また、テレビの話とは少し文脈も違うと感じていて、テレビの機能は映し出されているコンテンツに対する黒子的なインターフェイスだと思いますが、車椅子は実際に触ったりするものですよね。身体が触れるものだし、自分でメンテナンスするもの、なんだかプロダクトデザインとして人と物との密度みたいなものが高いと思うんです。繋がりが強いというか。
なので、そこに感情移入ができるようなものとして、あってもいいんじゃないかなとは思います。

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デザインとエンジニアリング、そしてファッション

デザインエンジニアリングという横断的な役割

遠藤:

僕のもとで大学で機械工学を専攻し、デザインを学んでいた学生がバイトで働いていたのですが、彼は日本企業でデザイン、いわゆるデザインエンジニアリングの分野に携われるところがないと困っていました。そして、全員がデザインエンジニアと名乗るダイソン社を目指していました。
たとえば僕の関わっているソニーでも、デザインクリエイティブセンターとプロダクトをつくるエンジニアリングの部分は分業されていて、そこを行き来するような人材って少ないなと思っています。

デザインとエンジニアという風に区分するのも難しいと思いますが、門田さんからはどのように見えていますか?

門田:

僕も元々は外資系PCメーカーでいわゆるインハウスデザイナーとして働いていたこともあり、そのときはデザイン部、機構設計部と縦割り部署でしたね。とはいえ僕の個人的な考え方だと、デザインとエンジニアリングといって峻別する必要がないと思っています。ひとつのものづくりにおいて、地続きに繋がっているものだと思うんですね。そのなかで、エンジニアリングに強い人はそういうものの見方をするし、デザインが強い人はそちらからの見方をする、というだけの話だと思っています。

ただ僕が知っている範囲では、確かに日本のメーカーではデザインエンジニアリングみたいな方が部署を跨いで活躍できる場は、まだまだ少ないだろうなとも思います。昨今ではデザインとエンジニアリングの両方できる方が増えてきていて、弊社もそういった方からの応募がありますが、みなさん大企業だと自分みたいな役割が必要とされている場所がないと言うんですよね。デザインの知識もあり、エンジニアとしての経験もあるような人が活躍する場面として、弊社のような企業でプロトタイプづくりのシーンで活躍するといったことがあるのかなと。海外企業は、デザインとエンジニアリングがマージした形で開発しているとはよく聞きますよね。

遠藤:

先の彼はダイソンアワードを受賞して実際にダイソンに就職したのですが、将来日本に戻るときに、どういった場所で活躍できるのかを心配しているみたいですね。

門田:

日本の企業におけるデザイン部はやはり、機構設計部がつくったものに対する外装の部分というか、見た目の部分を考えるといった分け方をしているところが多いと思いますね。

画像: 「Wheeliy」の他にもquantumが携わったプロジェクトとして、体温を感知して、やさしくヒトによりそう新素材「HUMOFIT®︎」を用いたソファー「HUMOSOFA」がある
「Wheeliy」の他にもquantumが携わったプロジェクトとして、体温を感知して、やさしくヒトによりそう新素材「HUMOFIT®︎」を用いたソファー「HUMOSOFA」がある

テクノロジーはファッション化していく

遠藤:

義足もそうですし、人間の身体に近づける、人間の身体の機能の一部として毎日運用するものとしてのテクノロジーは、メガネのようにファッション化していく方向性がある。義足もそれが顕著だと思っています。車椅子も、ファッションといえばファッションに入るんじゃないかと思っています。今回はファッションに関する媒体ですが、ファッションというのは色々なテクノロジーと相性がいい、ひとつのアウトプットの方向性だなと。

門田:

そういう意味では、プロダクトデザイン、インダストリアルデザインもファッション性とは切り離せない部分があるので、直接的にアパレルと関わるプロジェクトは今まで手掛けたことはありませんが、ファッションとシンクロしているとは思います。

遠藤:

僕がMITメディアラボにいたとき、ファッションの研究をしている人がいました。そのなかで見た目、いわゆる衣服そのものとしてのファッションの研究ではなく、すごく無骨なテクノロジーをいかにして毎日、身につけるものまで落とし込めるかといった部分に取り組んでいました。使いや重さもそうですし、時にアンビエントな存在になってくるものでもある。たとえば腕時計なんかがそうで、腕につけていて普段は意識して見ないのだけれども、時間を知りたいときに1秒か2秒パッと見ただけで情報がすっと入ってくるデバイス、アンビエントに情報を表示する端末といえる。

なので人間が使うって考えた途端に、すべてがファッションと化すと言われて、すごく納得したところがありました。車椅子も毎日乗る物として、いかにファッション化するかということを考えられるかもしれません。

門田:

先ほどデザイナーとエンジニアみたいな話をしましたが、多くのデザイナーが得意な領域としては、テクノロジーをうまく翻訳してあげる仕事でもあると思っていて。テクノロジーって、テクノロジーだけがそこにあっても、それが生活の中でどういう風に使われるかというところに落ちていかないと、工学的な価値って出てこない。そういった意味で、そこをうまく翻訳して料理してあげるのがデザイナーの腕の見せ所だと思います。

人々がどういう生活しているのかをしっかり見つめることだったり、どういう課題があるのかを発見することだったり、また、それに対してどの技術が生かせるのかを使いやすく、わかりやすく、美しく翻訳してあげるというところが得意な人種たちかなと思います。

画像: 「Wheeliy」の他にもquantumが携わったプロジェクトとして、パラ卓球の選手の多様なチャレンジを再現した卓球台「PARA PINGPON TABLE」がある
「Wheeliy」の他にもquantumが携わったプロジェクトとして、パラ卓球の選手の多様なチャレンジを再現した卓球台「PARA PINGPON TABLE」がある

面白いと思うことを続けていくために

門田:

遠藤さんは義足に対して深く思い入れを持って、ずっとお仕事をされていますが、ご自身が脚を失ったわけではないですよね。友人の方が骨肉腫で脚を切断するところから始まったという風には伺っていますが、義足という1つのプロダクトにそれだけの情熱を長い期間注ぐことができている理由は何ですか?

遠藤:

この理由としてはふたつ、自分として思い当たる節があります。まずは、単純に面白いトピックかどうか、僕が面白いと思えたか。脚を失った後輩がいて義足に興味を持って始めたのがきっかけですが、MITでヒュー・ハーという先生が脚がないということは面白いんだよと言って研究していて。人間の身体に関する学問と、社会に対する大きなインパクトの両方がある、人間の価値観が変化する前触れみたいなところにも関わってくる、そんな学問としての奥行きを感じて面白い分野だなと思っています。

もうひとつは、これをやりたいと思ったときに、ビジネスとは回らないけど何とかしてやっていくという立場になって、やっぱり好きなことをやろうとするほど、嫌な仕事も増えてくるんですよね。僕はその仕事が好きなんだけども、嫌なこともやらなきゃいけなくなるから、その仕事も嫌になりそうだっていうタイミングがあった。そのときに仕事のスケールを小さくして自分の手で回るだけのものにして、自分がやりたくない仕事はやらないというスタンスをとりました。会社もスケールしてみたり色々試したけれど、現場から離れてしまうしマネジメントに取られる時間も多くて、そういったことに向いてる人もいると思うんですけど、僕自身は現場レベルでものを作っていることが面白い。そういうポジションを自分で用意して、嫌な仕事をなるべく減らしたことが大きいと思います。

嫌なことを減すというのは僕のなかで大きく、いまだに続いています。実際には義足にこだわっているわけではなく面白いことをやっているだけで、たとえばバスケットのマシンも面白いし、色々やっているなかで義足は面白いもののひとつという感じです。

飽きるって怖いんですよね、全部が苦痛になってしまう。面白いと思えるものを続けられる環境づくりみたいなことを頑張っていますね。

門田:

遠藤さんは根っからのエンジニアなんだなと僕は思っていて、それは自分の興味を失わないスケール感や環境を意識的につくられているところなんですね。

遠藤:

門田さんも同じ感覚があると思うんですが、ものを作るときって細切れな時間だと絶対にできない。儀式みたいな感じで、僕の場合は2-3時間は欲しいんですよ。海の奥底にすごいいい環境があって、そこに潜って辿りつかないと仕事ができない感覚があって。潜りつづけて仕事をする時間を確保するのは頑張っています。

門田:

それは僕も同じですね。quantumのデザインチームのトップなのでマネジメント的な仕事もありますが、個人のデザイナーとして興味を失いたくないし、いつまでも線を描いていたいという思いがあるので。潜る時間をどうやって捻出するかは、死活問題としていつも考えていますね。

昨日は久しぶりに図面を書きましたが、6時間くらい潜っていて、連絡を全部切っていました。そうしないと思考が深まらないし、ドーパミンも出て楽しいです。こういう時間が無くなってしまったら、自分のことをデザイナーと言わなくなってしまうかもしれませんね。

画像: 「Wheeliy」の他にもquantumが携わったプロジェクトとして、日産の自動運転支援技術を応用した無人給仕ロボット「プロパイロットウエイター」がある
「Wheeliy」の他にもquantumが携わったプロジェクトとして、日産の自動運転支援技術を応用した無人給仕ロボット「プロパイロットウエイター」がある
#Wearable Device
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