Fashion Tech News symbol
Fashion Tech News logo

デザイナーであり教育者、Olgaが取り組む新たなファッションテック教育とは:共立女子大学

特集「ファッションテックと教育」の最後となる第4回は、共立女子大学家政学部被服学科のOlga准教授の取り組みについてお伝えする。
Olga准教授は、日本でファッションテックという言葉が知られる以前から、ロンドンの大学院でファッションとテクノロジーの関係性について研究し、帰国後はファッションテックデザイナーとして活躍。ファッションブランドEtw.Vonneguet(エトヴァス・ボネゲ)を立ち上げて東京コレクション(現:Rakuten Fashion Week TOKYO)に参加するなど、デジタルツールを取り入れたファッションを提案し、注目を集めてきた。
その一方で、デジタルハリウッド(以下デジハリ)大学大学院メディアサイエンスラボ助教に就任(現:特任准教授)し、ファッションテックラボを主宰するなど、ファッションテック教育においても第一線で活動してきた。
そして今年、共立女子大学家政学部被服学科に准教授として着任し、「Fashion Forward LAB」を立ち上げ、企業との連携をはじめとした新たな教育に取り組むという。
そこで今回Olga准教授に、現在の取り組みや授業内容、共立女子大学におけるファッション教育とテクノロジー活用、そして今後どのような人材を育成したいと考えているのかについて、話を伺った。

ファッションテックなどを推進するFashion Forward LAB

Olga准教授は、これまでデジハリを中心にファッションテックについて教壇に立ってきた。そうしたなかで、共立女子大学で教育に携わることには、これまでとは異なる思いがあったという。
「デジハリでは、デジタルコミュニケーションなどを学ぶ学生のなかでも、ファッションに興味がある学生を対象に授業やラボを行っています。また、ラボでも学生に指導するというよりは、学生のやりたいことをバックアップすることが多いんです。
そのなかで、共立女子大学の被服学科に所属し、改めて『ファッションの先生』として教えることになったのは、自分のなかで挑戦でした。
学生に対しては、基礎的なファッション教育を行いながら、新たにFashion Forward LABを立ち上げ、研究を進めているところです」
Fashion Forward LABでは、「ファッションテック」「ファッションのミライ」「ファッションフォワード」の3つが研究テーマだ。
それぞれの概要は、「ARなどを活用したコンテンツ制作や、ソリューションの提案、教育研究」、「新しい素材やテクノロジーを使用した表現、作品の制作や、新しいビジネスモデルの創出やイノベーションの実現」、「マーケットに新たな価値を創出するプロダクトやサービスの企画立案、プロトタイプのデザインと開発」となっている。
まだ着任から1年にも満たないが、具体的にどんな授業内容となっているのだろうか。

デジタルツールとソフトウェアを駆使する

「被服学科の学生の傾向としては、ファッションがシンプルに好きで、消費者目線を持っているなと感じます。ファッション業界的に言うとトレンドを作るメインの顧客層であり、その意味では商品開発などに向いていると思います。
デジハリの学生のように、デジタルに強く、イノベーティブであったりアントレプレナーシップが強かったりする傾向とはまた違う魅力があるなと感じています。
そんな彼女たちにとっての課題は、自分がやりたいことやアイディアを形にしたいと思った場合、現代的なスキルが不足していることです。そこで、ゼミ生を中心に、学生にはさまざまなデジタルツールやソフトウェアを使ってもらっています。
もちろん、3DモデリングソフトのCLOなどを使うという選択肢もありますが、パターンの知識がないと難しい。私が教育上採用するデジタルツールとして意識しているのは、誰でも絶対に10分以内に理解できるツールであることです。
1 / 3 ページ
この記事をシェアする