これまでの連載では、日本人の髪型やヘアカラーの歴史を振り返ってきた。そこで明らかになったのは、いつの時代も人々は髪に 対して高い意識を持っていたということだ。私たちは常に髪を労りながら、それぞれの思いに合わせて髪型やヘアカラーを楽しんできた。
では、私たちは髪を守るために何ができるのだろうか。そこで特集の第3弾では、髪を科学の視点から眺めてみたい。髪そのものの研究である毛髪科学は、今どのような研究が進められて、それによって、私たちはどう「美しい髪」を手に入れられるようになったのか。
今回は、「すべては、ヘアデザイナーとともに」という哲学を掲げ、プロフェッショナル向けの商品を研究・開発している株式会社ミルボンを取材。その研究員である伊藤廉さんと長谷部未来さんに、毛髪科学が明らかにしてきた髪の秘密を教えてもらった。 「美しい髪」の基準は人それぞれ
科学技術が進歩した現在、毛髪についてわからないことはないようにも思えるが、実際はどうなのだろうか。「一昔前だと、髪の研究は羊毛や繊維研究の延長線上で行われていました。髪に150gのおもりを付けたら切れたとか、ねじってみたら硬かったといった程度のものでした。
その後、人種間の髪質の違いを探るようになります。本格的な毛髪研究は、測定装置の革新によって分子レベルで研究ができるようになってからなので、つい最近のことです」
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