人の顔印象の約8割を占めるという髪型。それは、私たちの印象を大きく左右する重要な要素だ。では、この「髪」は歴史の中でどのように扱われ、そして未来ではどのような姿を見せるのだろうか。本特集では、歴史・文化・科学・未来という4つの視点から、美の表現手段として進化してきた「髪」の物語に迫る。
この特集の第1弾では、日本人の髪型の歴史を振り返ってみたい。なぜなら、私たちは髪型について、その時代における共通のイメージを持っているように思えるからである。
たとえば、時代劇の登場人物や昭和時代のアイドル歌手の髪型を思い浮かべてみてほしい。おそらく、多くの人が似通ったイメージを抱くはずだ。
このように、髪型には時代性が色濃く反映され ているようである。この点について、髪の文化に詳しいポーラ文化研究所の富澤洋子さんに聞いてみた。すると、そこには想像以上に深い髪の歴史があった。 PROFILE|プロフィール
富澤洋子(とみざわ ようこ)
ポーラ文化研究所、研究員
主な研究領域は日本の化粧文化史。東京・青山の化粧文化ギャラリーではArt&Books企画を担当。著書『よそおいの楽しみ、かざる悦び―アール・ヌーヴォー期の銀製手鏡』、共著『明治・大正・昭和の化粧文化』、『平成美容開花 平成から令和へ、美容の軌跡30年』(いずれもポーラ文化研究所発行)
神聖な髪という意識
古くから日本人は髪を神聖なものとして捉えてきたが、いつ頃からそのような信仰が始まったのだろうか。「『日本国語大辞典』によると、初めて髪という言葉が登場するのは『古事記』だそうです。『頭の上にあるもの』という意味で使われていました」
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