私たちの身の回りにあふれる「かわいい」という言葉や感情を、研究者やクリエイターの視点から考える「
特集:かわいいのゆくえ」。
「かわいい」の世界は奥深く、自由でさまざまな解釈ができる。この特集では、「幼さ」や「弱さ」、さらには「差別」と「かわいい」の複雑な関係にも触れてきた。
今回は、文化社会学者でマイノリティの人々のウェルビーイングを研究するミーガン・キャサリン・ローズ博士(以下、メグ博士)に、ロボット・テクノロジーにおける「かわいい」の役割について話を伺った。
PROFILE|プロフィール
Dr. Megan Catherine Rose (ミーガン・キャサリン・ローズ、通称メグ博士)
オーストラリア出身。ニューサウスウェールズ大学シドニー校大学院博士課程修了。
カワイイ研究を専門とする文化社会学者で、同大学のバイタリティーズ研究室のポスドク(大学院博士後期課程修了後の研究職)として、アートや文化が人間の幸福にどう影響するかについて研究している。また、サブカルチャー、ゲーム、玩具、ロボットなどを含むカワイイ文化についての論文を多数発表。アートショーの共同キュレーションを行い、日本とオーストラリアでカワイイ文化に関する専門誌や書籍も執筆している。
まずはメグ博士の研究について教えてください。
みんなと違うことで生きづらい思いをしている「疎外された」人たちが、どうすれば自分らしく生きられるか、そのためにロボットをはじめとした新しいテクノロジーやアート、カルチャーがどんな役割を果たせるのかが、私の研究テーマです。いわゆる「クィア」や「障害者」を含むマイノリティの人たちにとって、自立的な文化を持つことはどんな意味を持つのか、という点に興味があります。当事者と交流しながら一緒に研究を進める「行動主導型参加型研究」という手法を用いて、シドニーや東京、オンラインなどで活動してきました。