「かわいい」ファッションには、数えきれない種類がある。今回の「
特集:かわいいのゆくえ」では、ファッションの歴史と日本の社会から「かわいい」を考えよう。
第3回はファッション史を研究する井上雅人さん。著書『ファッションの哲学』(ミネルヴァ書房)では文化〈カルチャー〉・産業〈ビジネス〉・表現〈デザイン〉の視点でファッション全般を分析しながら、「かわいい」についても重点的に語っている。
ファッションとしての「かわいい」の意味とは? 日本人にとって「かわいい」とはどんな価値観なのか? 研究者の視点で話を伺った。
PROFILE|プロフィール

井上 雅人(いのうえ まさひと)
武庫川女子大学 生活環境学部 生活環境学科 准教授
東京大学文学部および文化服装学院卒業。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学。専門はデザイン史・ファッション史社会学。著書に『洋裁文化と日本のファッション』(青弓社、2017年)、『ファッションの哲学』(ミネルヴァ書房、2019年)など
「ラグジュアリー」vs「かわいい」の歴史
「かわいい」はファッションでもとてもよく使われる表現ですよね?
そうですね。「かわいい」はファッションを評 価する基準の中でも特に重要なもののひとつだと思います。ただ、学問で考えるときにはちょっと厄介なんですよ。というのも、われわれは「かわいい」を日常的にいろんな場面で使っています。人に対して使ったり、動物に対して使ったり、モノにも「かわいい」と言ったりしますよね。そのときどきの使われ方や文脈によって「かわいい」の意味は違ってきます。この記事は会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。 会員登録でできること
- 会員限定記事の閲覧、
音声読み上げ機能が利用可能 - お気に入り保存、
閲覧履歴表示が無制限 - 会員限定のイベント参加
- メールマガジン配信で
最新情報をGET