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2023.02.24

AMBLの“femtech部”が取り組む、女性が働きやすい環境づくり

AI活用を得意とするDXのプロフェッショナル集団であるAMBL株式会社。同社では様々な部活動が活発に行われている。そのひとつであるfemtech部の発案により、AMBLでは女性用トイレに誰でも無料で使える生理用品などを設置するに至った。

同社に所属する有志の女性社員で構成されているfemtech(フェムテック)部ではどのような活動を行なっているのか。また、生理用品をトイレに設置するに至った背景とは。femtech部の部長である石井さんと、同部の広報担当の風間さんに話を聞いた。

PROFILE|プロフィール
石井 千景(いしい ちかげ)
石井 千景(いしい ちかげ)

AMBL株式会社
UXデザイン事業部 サービス開発部 Producer

PROFILE|プロフィール
風間 瑛絵(かざま あきえ)
風間 瑛絵(かざま あきえ)

AMBL株式会社
UXデザイン事業部 サービス開発部 Director

ディズニー部やBTS部、ママ部も

まず、貴社で展開されているサービスの概要や特徴を簡単に教えてください。
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石井

弊社はAI活用を得意とするDX集団になります。AIに軸足を置きながらも、クラウドネイティブ、UXデザイン、マーケティングという事業領域を持ち、総合的にDXを支援できることをユニークネスとしています。

社内の男女比でいうと女性は26%とまだまだ低いのですが、女性社員が少ないからこそ、女性にとってもより働きやすい環境を作り、もっと女性社員を増やしていきたいという会社の想いがあります。

AMBLでは様々な部活動が活発に行われているということですが、具体的にどのような部活動があるのでしょうか。
石井

一番人数が多いのはフットボール部で23名ですね。次いでKaggle部が17名おります。変わった部活動だとディズニー部やBTS部、ママ部もあります。会社から公式の部活に認定されると部員数に応じた活動費が支給されますが、みんなできちんと集まって活動しているというのがポイントで、必ず月に1度は社内で活動報告をしています。

男性の協力や理解が必要不可欠

femtech部の立ち上げの背景について教えてください。
風間

近年、ジェンダーの平等化や女性の社会進出によって、これまでタブー視されてきた女性特有の悩みや課題がますます可視化されるようになった背景があります。それにより、女性が抱える健康課題をテクノロジーで解決できるような商品が生まれたり、サービスへの需要が高まってきたりしていますよね。 そのような背景から、私たちがfemtech部を立ち上げた理由が2つございます。 

1つめはコロナ禍における行動規制の緩和によって、出社の頻度が徐々に上がってきているなかで、femtech部から情報を発信することを通して、女性も男性も働きやすく、かつ共に働きがいのある環境を提供したいという思いがあったことです。

2つめが弊社はAI開発やインターフェースの設計を得意とする会社ですので、いずれは自社でも女性の健康課題解決であったり、女性が働きやすい環境に貢献したりするようなサービス開発の可能性も視野に入れているのが立ち上げた経緯でございます。

femtech部は2022年の7月に立ち上がったとのことですが、どのような活動をされているのでしょうか。
風間

主にフェムテック市場の調査やフェムテック関連のイベントへの参加、さらに話題のフェムテック商品やサービスを実際にメンバーが試し、その感想をシェアするなどしています。また、社員の働きやすい環境づくりのためにできることについて話し合いをしておりまして、その様子を四半期に1度のペースで社内で運用しているブログで情報発信するのが主な活動になります。

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石井

社内への働きかけに関しては、「生理用品を女性用トイレに置かせてください」と声を上げました。最初はfemtech部の部費でナプキンを購入していましたが、意外と皆さんお困りの方が多いのか、 思っていたよりも消耗するスピードが速かったです。すぐに補充したくても部費からでは予算に制限があり、補充できるタイミングもどうしても限られてきて。

そんななか、社内ブログで風間さんが生理用品の必要性などについてデータを用いて紹介したところ、社内から予想以上の反響がありました。それをきっかけにとんとん拍子に話が進み、購入費を会社が負担してくれることになりました。

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風間

ブログでは、「わたしの暮らし研究所株式会社」が調査したアンケート結果を掲載しました。たとえば、突然生理が来てしまったとき、生理用品を持っていなかった場合に必要な時間が15分以上かかるというデータを紹介しました。このような客観的なデータを用いることが女性社員だけでなく、男性社員からの反響も大きかった理由のひとつだと思われます。

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センシティブな問題に関わると思いますが、どのように社内で認知を広げようとしているのでしょうか。
風間

特に気をつけている点としては、女性の働きやすさの向上や女性特有の健康課題を緩和するためには、男性の協力や理解が必要不可欠だと考えています。女性社員だけで構成されている部署やチーム上司が男性の場合、女性特有の健康課題に対応することが難しいというのもまた事実です。

また、センシティブな内容となると女性同士ですら相談することが難しい場合もあります。そのため、まずは女性同士で共有しやすくなるように、センシティブなテーマや悩みに対する壁を崩すための啓蒙活動を行うこと。そして、男性にはこれらの課題や事象を理解してもらうことを意識して、情報発信を行っていくことかなと思います。

femtech部の活動を通して得た学びや発見があれば教えてください。
石井

昨年10月に開催された「Femtech Tokyo」のイベントに参加してきました。女性が日々抱える健康課題(生理期間を含む)を緩和する商品やサービスがあることは知っていても、情報量が少ないため、選択できないという状況があると思っています。これまでは学校の性教育と家族からの情報くらいからしか得られなかったことが、現在は著名人やインフルエンサー等がYouTubeやSNSを通じてフェムテック関連の情報を発信するようになってきました。それでも最新のフェムテック製品やサービスを選択するのに必要な情報量はまだまだ少ないと感じています。

最後に、今後femtech部として挑戦していきたいトピックについて教えてください。
風間

femtech部では女性も男性も働きやすい環境を整えるために、引き続き社内への情報発信や活動を継続的に行っていきます。将来的には社外に向けての情報発信を通じて、市場のユーザーのニーズを把握し、女性の健康課題の解決や女性の働きやすさの推進に寄与する商品やサービスの開発に関わっていきたいと考えています。

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