現在、発展目覚ましいバーチャルファッション。今後さまざまな企業の参入が見込まれるこの領域だが、今までとは異なる法的課題に直面することが考えられる。
今回は、メディアコンテンツやファッションローを専門とする弁護士の関真也さんに、バーチャルでのファッションデザインに関わる法規制の基礎から、これから起こりうる法的課題、今後ファッション業界の人々がバーチャルに参入する際に意識しておくべき姿勢についてインタビューを行った。
PROFILE|プロフィール
関 真也
関真也法律事務所
日本国弁護士・ニューヨーク州弁護士。漫画、アニメ、映画、ゲーム、音楽などのコンテンツやファッションに加え、XR (VR/AR/MR)、VTuber、NFT、eSports、AIなど等テクノロジーが関わる分野を中心に、知的財産、契約、紛争対応、新規事業の適法性チェック等の法律業務を取り扱う。東海大学総合社会科学研究所客員講師、東京工業大学非常勤講師、日本女子大学非常勤講師。ファッションビジネス学会ファッションロー研究部会部会長。一般社団法人XRコンソーシアム社会的課題ワーキンググループ座長。日本バーチャルリアリティ学会認定VR技術者。書籍「ファッションロー」(共著、勁草書房)のほか、ファッション、コンテンツ、バーチャルリアリティ等に関する執筆・講演等多数。
フィジカルとバーチャルの法律は全くの別物
まず、バーチャルでのファッションローは、これまでのファッションをめぐる法律とどのように異なるのでしょうか?
詳しくはこれからお話するとして、まずざっくりとしたイメージからお話しますね。フィジカルのファッションデザインとバーチャルのファッションデザインとでは、別々の知的財産法で保護することになります。場面に応じて考え方を使い分けるのが良いでしょう。実用的な工業製品である衣服等のデザインと、実用目的ではなく見て楽しむためのコンテンツとでは、中心的な役割を果たす権利の種類が異なります。大雑把に言えば、前者は主に意匠権で、後者は主に著作権で、それぞれ保護されると考えられています。必ずしもあらゆるケースに当てはまる正確な区分けとはいえませんが、バーチャルファッションを考えるうえでのざっくりとしたイメージとして、下記画像をご参照下さい。