9月に入っても気温が下がらず、外に出ると肌が焼けるような日差しが続いている。異常とも言える今年の夏は、人々の意識を大きく変え、日やけ止めを塗ったり、日傘を差したりといった対策が広く見られるようになった。それらはいずれも紫外線(UV)対策の一環である。
どのような実験が行われ、どのような結果が得られたのか。デサントの富永直斗さん、そして花王の武谷真由美さんに、新たな日差し対策の鍵となりうる近赤外線とはどのようなものなのか伺ってきた。
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富永 直斗(とみなが なおと)
デサントジャパン株式会社 経営管理・ロジスティクス・R&Dユニット 機能・企画開発部 研究開発課で、素材や商品の開発、および基礎研究に関する業務などを行う。
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武谷 真由美(たけや まゆみ)
2009年花王株式会社入社。生物科学研究所を経て、現在はスキンケア研究所にて、ビオレUVなどの日やけ止めや、ビオレZeroなどの汗ケア商品開発を担当。
太陽光の暑さ対策にはUVカットだけでは不十分だった
肌の皮下組織にまで届く近赤外線に注目2022年、スポーツ用品を手掛けるデサントと化粧品を扱う花王が共同研究を開始した。両社の出会いは、ある研究会だったようだが、そのときのテーマが「近赤外線」だった。異なる分野の企業が同時期に関心を寄せたことになるが、それぞれどのような認識があったのか。
「2020年頃から、近赤外線は肌へ大きな影響があると言われてきました。いわゆる、肌のジリジリ感に関係があるというものです。私たちデサントはスポーツウエアを扱っているため、そうした近赤外線が運動時のパフォーマンスにどのような影響があるのかに関心がありました」(富永さん)