毎月の連載としてお届けするリレーコラム『Fashion/Technology』では、様々な分野で活躍する書き手の方々をお招きし、衣服、身体、文化産業、消費文化、メディア、空間、コミュニケーションといった多様なキーワードから「ファッション」や「テクノロジー」をめぐる視点を繋いでいきます。
第1回目となる今回は、批評家のきりとりめでるさんによるテクストをお届けします。
PROFILE|プロフィール
![きりとりめでる](https://images.microcms-assets.io/assets/1775a3633c8b428d9f011c6a758a8a5c/af9d53d78fca447298e356f1d428481e/kiritori.png?w=400&fm=webp)
きりとりめでる
1989年⽣まれ。写真論と現代美術を中心に企画、執筆、編集を⾏なっている。2017 年から美術系同⼈誌『パンのパン』 を発⾏。著書に『インスタグラムと現代視覚⽂化論』(共編著、BNN新社、2018年)がある。プロフィールと本文のイラストレーションは山本悠によるもの。
朝から10時間働き、失っていく服を買う時間。満員電車で行く道90分、せめて自分のための服を買おう。ファッションECサイトのアプリをひらいた。見切れるはずもないたくさんの商品が並んでいる。漠然と服を見たいので、とりあえずスクロールする。Twitterで誰かが、いまのナンセンスの在処を、サイトのランキング上位で服を取り敢えず買うやつだと言っていた。Amazonで評価と星が積み重なったUSBケーブルを買うのは良くて、食べログの3.7評価の無花果タルトを買いに走るのは良くて、cookpadの上位レシピは課金しないと分からないのに、なんで信頼と実績のこのロングスカートを選ぶのはダメだというのだ。きっとここでのダサいというのは、個別のECサイトの利用についてというよりも、ランキングを自身の無選択の選択の免罪符として語ること自体だろう。では、その一方で何を基準に服を買う?