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猛暑の背中を変える、デサント「エアロストリームバックパック」の機能性を徹底解剖

2025.07.08
異常気象が日常化する今、日本の夏は“猛暑対策”がファッションの前提条件ともなる。快適さを重視する時代に、ウエアだけでなくバッグも進化している。
スポーツウエアの名門・デサントが手がける「エアロストリーム」は、風を通す独自構造で支持を拡大している。2020年の登場以来、バックパックを中心にシリーズ化され、この夏はさらに進化した最新作が登場した。
高い通気性を実現したその秘密とは? デサントジャパン㈱でアスレチックカテゴリーのエキップメントを担当する井上大輔さんに話を聞いた。

背中の“ムレ・熱・汗”を防ぐ、徹底した通気構造

「エアロストリームバックパック 25」 38,500円(税込)
「エアロストリームが市場に出たのは2020年ですが、発端としては2018年に社内で立ち上げられたアクセサリーチームの存在があります。そこでまず消費者の課題解決と向き合うなかで生まれたのが、背面の不快感を取り除く構造を持つ新しいバックパックでした」
消費者の声を基に、バッグを背負うことで生まれる不快感を大きく3つに分類。すなわち「ムレ」「熱」「汗」に焦点を当て、独自の立体成型パーツの採用に至った。
最新モデルの背面パネルはこのようにセットされている
通気性とクッション性を備え、動きにフィットする背面パネル構造(従来モデル)
「背中とリュックの間に空気が流れる空間を作るという方向性で開発を進めました。より効果的な空間を作るために高さを持たせた突起を設け、かつ背中との接地面積を少なくするために突起の配置も独自に研究を重ねています。その結果、当社従来品のリュックよりも、背負った際の温度・湿度の上昇スピードが遅く、汗量の軽減も実証されました」
各時点における背部の皮膚表面温度比較
各時点における背部の衣服内湿度比較
シャツに残った汗量
背面中央に空洞を設け、肩甲骨や腰に触れる部位に高低差をつけた特許構造の背面パネルを採用。その上から通気性の高いメッシュ素材をかぶせることで、従来品と比較して明らかな違いを生み出した。歩行実験では、使用20分後の温度・湿度・汗量に明確な差が確認されている。実験では、背部の皮膚温は1.3度低く、衣服内湿度は6.6%下がった。シャツに残った汗量も3.3g少なくなるなど、明確な効果が確認された。
このエビデンスは、デサントの研究開発拠点「DISC OSAKA/ディスク オオサカ」によってもたらされたもの。大手の強みを生かした徹底した開発体制は、細部まで妥協を許さない。
「パネルの素材に使うEVA樹脂の形、硬さにもこだわりました。せっかく背面の通気性を高めたのに、着用感が劣っていては意味がありませんから。硬くしすぎると痛みにつながりますし、柔らかすぎて形が安定しないのもいただけない。その中庸を狙うのに、何度も試行錯誤を繰り返しました」
独自パーツの研究に真摯に向き合うあまり、リリースは当初の予定からは1年半ほどずれ込んだ。ただしその甲斐あってか、“初代”エアロストリームバックパックは好評を得てシリーズ化の呼び水となった。

進化する“背中快適”バックパック。人気シリーズの系譜

翌2021年の秋冬にはポケットの仕様が改良された第2弾が発表され、2023年の第3弾では本体生地がレザー調に変化した。オレンジだった背面パネルの色は2024年の第4弾モデルでブランドカラーのデサントネイビーに変更され、より都会的なビジュアルを手にしている。
「毎年のアップデートを重ねるなかで、特にビジネス層からの支持が増えました」と井上さんは語る。
取引先で、あるいは移動中の電車内で、ぬれた背中に気まずさを覚えた経験は、大人なら一度はあるはず。温暖化に加え、コロナ以降の自転車通勤の増加なども相まって、オンシーンの背中の不快感を軽減するバックパックはまさしく渡りに船となったであろう。
今夏発表の5代目となる最新作では想定使用シーンをさらに街寄りにシフトした。エアロストリームが備える快適性をより多くの人に実感してもらうべく、デイリーカジュアルに寄り添うデザインへと舵が切られた。
都会的なスタイルに溶け込む、ミニマルな佇まい

快適性と上質デザインの融合により“着るバッグ”へ

「機能性と洗練されたデザインを追求したデサントのハイスペックテックウエアシリーズであるデサント オルテラインを意識しながら、“着るバッグ”をコンセプトにリデザインしました。
ボディ生地には強度の高いコーデュラナイロンを使い、生地を薬品で縮ませて、シワや凹凸を出す塩縮加工で味わい深い表情に仕上げたうえで、撥水加工も施しています。
この塩縮加工がかなり複雑で、方法によって生地の質感が変わってしまうんです。結果的に4回作り直し、デサントらしいミニマルかつモードな仕上がりに調整できたと自負しています」
ボディは、高い耐久性と耐摩耗性が特徴のコーデュラナイロンを使用している
撥水性もあり
生地を収縮させることで凹凸のシワを作り出す塩縮加工を採用している。この加工のおかげで、強度と軽量性が増している
今の気分を的確に捉えたファッションとテクノロジーのハイブリッドデザインは、シリーズの根幹たる背面パネルの変化にも如実に表れている。従来はメッシュカバーの内側に隠されていたパネルを、大胆にも“剥き出し”仕様で再設計。凹凸のビジュアルも大きく様変わりした。
キャッチャー用のプロテクターを意識したという背面部分
「新たな3Dパーツへと改良されています。実はこの形は、キャッチャー用のプロテクターがイメージソースとなっています。スキーとともに野球のイメージも強いブランドらしさを、遊び心を交えて表現しました」
腰部に厚手クッションを配置し、背中との間に通気のための隙間を確保している
メインコンパートメントは下までしっかり開く仕様になっている
PCルームは背面に配置され、止水ファスナーとクッション入り仕様で安心
一方で、持ち前の機能性は当然ながら担保。腰部分に厚めのクッションを配置した背中との間により空気が流れる構造に進化した。PC用ポケットや底部のクッション、大きく開いてものの出し入れがしやすいメインコンパートメントなどもしっかりと踏襲している。
結果、ファッションアイテムとしてだけでなく、ビジネスシーンにおいてもうれしい進化を遂げたといっていいはずだ。
「機能がデザインとなる。長く、幅広く、快適に使える」。デサントが思い描く理想のプロダクトを見事に体現し続けるのが、エアロストリームバックパックといえる。能ある鷹の如きミニマルデザインが見据える次なる目的地に、大きな期待感を抱かずにいられない。

PROFILE

井上 大輔(いのうえ だいすけ)

デサントジャパン株式会社 アスレチックカテゴリーエキップメント担当

デサント EQPマーケティング部 マーケティング1課 課長 

2009年入社。2011年よりデサントブランドのMDに携わり、2013年よりアクセサリー・エキップメントMDの担当となる。2020年には、デサントの研究開発拠点「DISC」で研究開発を重ねた、背中のムレ・熱・汗を軽減する機能バッグ、エアロストリームバックパックを展開し、環境課題に対応する商品の開発などにも注力。2020年より現職。趣味は、ランニング(ウルトラマラソン)と野球観戦。

Text by Naoki Masuyama

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