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背中に風を通して蒸れを軽減! モンベル「サイクールパック10」のV.B.P.システム

2026.09.11
バックパックを背負って自転車に乗ると、気になるのが「背中の蒸れ」だ。走行中は全身に風を受けていても、バックパックが密着する背中は汗が乾きにくい。信号待ちでは熱がこもり、休憩でバックパックを下ろすとTシャツの背中側は汗でびっしょりということもある。
2003年に登場したモンベルの「サイクールパック10」は、パック本体と背中の間に空間を設け、走行中の風を通すことで蒸れを軽減するサイクリング用バックパックだ。今回は株式会社モンベル広報部の榎本渓さんに、この独自構造が生まれた背景と、通気性とフィット感を両立するための設計について話を聞いた。

PROFILE

榎本 渓(えのもと けい)

株式会社モンベル
広報部

「サイクールパック10」のカラーバリエーションはブラックとライトグレーの2色。容量10L、重量743g、サイズW26×H49×D22cm。15,000円(税込)

20年以上の歴史を持つサイクリング用バックパック

「サイクールパック10」という名前のモデルが登場したのは、2003年のこと。当時から、パック本体と背中の間に空間を設けて風を通す背面構造を備えた、サイクリング用バックパックとして展開されてきた。
「それ以前にも、同様の背面構造を採用した『V.B.P.デイパック』という先代モデルがありました。非常に長い歴史があるロングセラー商品です」
サイクリング用バックパックと聞くと、容量や軽さ、収納のしやすさなどに目が行きがちだ。だが「サイクールパック10」では、背中の蒸れをいかに軽減するかに焦点が当てられた。
ショルダーハーネスは通気性に優れたメッシュ構造に。チェストストラップやウエストベルトでフィット感も高めている

背中に風の通り道を作るV.B.P.システム

その背面構造が、モンベル独自の「V.B.P.(ベンチレーション・バックパネル)システム」だ。メッシュ生地で構成されたバックパネルとパック本体の間に、3D形状のフレームで空間を設けることで、走行中の風が背中を通る構造になっている。
蒸れだけではない。汗が残ることのリスク
では、なぜ背中に風を通す必要があるのか。背景にあるのが、走行中に背中へ残る汗の問題だ。
「乗車中、風を受けにくく蒸れやすい背中側で汗が乾かず残ることで、不快感だけでなく汗冷えなどのリスクも高まります。サイクリングシーンに限らず、アウトドアではできる限り体をドライな状態でキープすることが重要であり、モンベルでは常にそのような視点で製品を開発しています」
発汗量が増える暑い時期ほど、かいた汗をいかに乾かし、体に留まらせないようにするかが重要になる。このモデルが目指しているのは、汗や熱が体にこもりにくい状態を作り出すことだ。
「かいた汗を体に留めないようにするには、風を通すことで気化を促すという解決方法が合理的です」
V.B.P.システムは、背中に触れるメッシュパネルとパック本体の間に空間を作り、走行中の風を通す構造。剛性の高いフレームがその隙間を保ち、汗や熱をこもらせにくくする
実際に真夏のサイクリングで使用してみた。走行中は、背中の両側に設けられた空間から風が入る。背中に触れるのはメッシュ地で、パック本体は直接密着しにくい。こうすることで汗が乾きやすい状態が生まれる。
印象的だったのは、パック本体と背中にスペースがあるにもかかわらず、パックが背中にフィットする点だ。
「メッシュの生地自体に適度な張りを持たせ、さらに3D設計の金属フレームによって背中の形に密着させることで、フィット感と通気性を両立しています。加えて本体の形状も走行時に背中でバタつきにくいよう工夫しています」
さらに表面の凹凸を抑え、前傾姿勢でも体から大きくはみ出さないサイズ感にすることで、空気抵抗やバタつきを抑えているという。
前傾姿勢と走行中の動作を考えた専用設計
「サイクールパック10」は、形状からディテールに至るまで、サイクリング中の姿勢や動作を前提に設計されている。
「後ろから視認しやすい位置にライトホルダーがついていたり、ヘルメットホルダーが設けられていたり、他のバックパックにはない工夫を凝らしています」
前傾姿勢でも後方から視認しやすい位置につけられたライトホルダー(写真左)ヘルメットホルダーを使えば、走行後や移動時にヘルメットを外づけできる(写真右)
ショルダーハーネスには補給食やボトル、スマートフォンを収納できる大型のチェストポケットがつく。走行中でも必要なものにアクセスしやすく、大きな面で肩に触れることでフィット感の向上にも寄与している。
ショルダーハーネスのポケットは、小物からボトルまで収納可能。バッグを下ろさずに手が届きやすく、信号待ちや休憩時にも必要なものをさっと取り出せる
本体には車のライトなどを反射するリフレクター生地を部分的に配置している。ほかにも雨よけのパックカバーが内蔵されていたり、トレールウォーターパックにも対応するなど、サイクリングを安全かつ快適に楽しむための機能が盛り込まれている。
夜間の走行を想定し、背面には視認性を高めるリフレクターを配置(写真左) 。内部はトレールウォーターパックにも対応し、走行中のこまめな水分補給をサポートする(写真右)

743gの軽さと強度を両立する独自素材

本体は30デニール・バリスティック®ナイロン・リップストップを採用している。軽量性と強度を兼ね備えたモンベル独自の素材で、同重量の従来ナイロンと比べて約2倍の引き裂き強度を持つという。「サイクールパック10」は同素材を用いることで、V.B.P.システムや各種ホルダーを備えながら、重量を743gに抑えている。
容量は10Lを確保し、日帰りツーリングなら上着やレインウエア、予備の水分、携帯工具などを入れるのに十分なサイズだ。キャンプツーリングでは、すぐに使いたいものをまとめておくサブバッグとしても活用できる。
荷物が多い際の日帰りツーリングや軽登山にも対応する「サイクールパック20」も展開。容量20L、重量766g、サイズW29×H49×D23cm。15,500円(税込)
V.B.P.システムによる背面の通気構造は、サイクリングだけでなく、発汗量が増える暑い時期のハイキングや軽登山でも活用できる。パック本体を背中から浮かせて風の通り道を作るV.B.P.システムは、背中の蒸れを軽減しながら、3D形状のフレームとメッシュの張りによってフィット感も保つ構造になっている。
さらに、前傾姿勢を想定した形状や各種ホルダー、軽量かつ高強度な素材を組み合わせることで、サイクリングに必要な機能を一つのバックパックにまとめている。「サイクールパック10」は、背中に風を通すという発想を、サイクリング中の使いやすさまで含めて形にしたバックパックなのだ。

Text by Ryota Osujo

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