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ニュージーランドの暮らしが育てたブランド、マックパック「クエスト23」に息づくものづくり

2026.08.17
マックパックは、ニュージーランド南島最大の都市・クライストチャーチに本社を構えるバッグブランドである。1973年の創業以来、「簡潔は複雑に勝る」という哲学のもと、シンプルで耐久性に優れたバックパックを作り続けてきた。
そのものづくりを育んだのは、都市のすぐそばに雄大な自然が広がり、旅やアウトドアが暮らしに根付くニュージーランドの文化だ。今回は、マックパックのMDを担当する増井琢也さんに、ブランドが歩んできた歴史と、トラベルシリーズ「クエスト23」に込められたものづくりについて話を聞いた。

ニュージーランドの自然環境に育まれたブランド

「1973年、創業者のブルース・マッキンタイヤが、自宅の倉庫でミシンを使ってバックパックを作ったことが、マックパックの始まりです」
マックパックは、多くのアウトドアブランドと同様に、一人の山好きの青年が立ち上げたガレージブランドだった。
1975年、ニュージーランド登山隊のパタゴニア遠征に、フレーム内蔵型のバックパックが採用された
創業から2年後には、ニュージーランド登山隊のパタゴニア遠征にてフレーム内蔵型バックパックが採用されるなど、その機能性は早くから高い評価を受けていた。
ブランドが生まれたニュージーランドは、都市から少し足を延ばせば雄大な自然が広がる国だ。マックパックが拠点を置く南島には3,000m級のサザンアルプスが連なり、ブランドロゴも最高峰マウント・クックをモチーフとしている。
バッグにはブランドロゴ入りのタグが付く。マウント・クックをイメージしたマークは創業時から何度かのデザイン変遷を経て、現在のものが6代目となる
こうした自然とともに育まれたものづくりの精神は、現在もブランドの根底に息づいている。本格的なアウトドア用品に加え、都市生活に対応するライフスタイルカテゴリーも展開しており、そのトラベルシリーズの代表作が、日常から旅、ビジネスまで幅広く活躍する「クエスト23」だ。

旅の文化から生まれた都市型バックパック

「クエスト23」が生まれた経緯には、ニュージーランドという国にもともと備わる、あるカルチャーが関係しているという。
「島国という地理にも起因していると思いますが、ニュージーランドには“Overseas Experience(海外経験)”という考え方が根付いています。人はバッグひとつで旅に出て、豊かな経験を得るべき、というカルチャーです。
このカルチャーが背景にあるからこそ、アウトドア用バックパックはもちろん、移動をサポートするトラベルカテゴリーのバッグが大きな支持を得ているんです」
都市生活から出張、旅行までをひとつでこなすためのバッグ。それが「クエスト23」だ。
左がブラック、右がドリフトウッドというカラーだ。都市での使用を想定し、落ち着いたカラー展開に設定している。「クエスト23」 H49×W32×D16.5cm 各24,200円(税込)
「以前にもタウン向けのシリーズはあったのですが、より都市型のバッグを求める声に応えて2024年に登場しました。日本に上陸したのは2025年の4月です。今季は新たなカラーを加え、ラインアップをアップデートしました」
ここからは、「クエスト23」の具体的な機能を見ていこう。
「クエストシリーズ全体の特徴でもあるのですが、本体は『クラムシェル(貝殻)』と呼ばれる型を採用しています。メインコンパートメントがフラットに大きく開き、荷物の出し入れがきわめてスムーズな構造になっています。
なかでも『クエスト23』は、23Lという中型サイズでありながら、スーツケースのように180度全開できることが人気の理由だと思います」
メインコンパートメントは180度大きく開き、荷物の出し入れやパッキングをスムーズに行える
900gという自重の軽さや、北島と南島の主な移動手段は飛行機であることから、機内持ち込み可能なサイズであることも、ニュージーランドのビジネスパーソンに支持される理由のひとつだ。日帰り〜1泊程度の荷物を難なく収納し、1時間程度のフライトにうってつけの高い機動力を発揮してくれるバッグなのである。
そのほか、都市生活を支えるディテールの数々を見ていこう。背面のジッパー付きコンパートメントには、15インチまでのノートPCを収納できる。
ノートPCやタブレットは背面のコンパートメントへ。背中のクッションが保護材としての役割も果たしてくれる
背面とメインコンパートメントの開口部には、セキュリティに配慮したロッカブルジッパーを採用している。
ファスナーつまみの基部の穴に、市販のダイヤル式ロックなどを取り付けることができる
また、フロントのファスナーポケットには、クレジットカードのスキミングを防ぐRFIDブロック機能を搭載している。
フロントポケットの内側にはキーホルダーが付属する
メインコンパートメントの裏側には大きなメッシュポケットを備え、貴重品のほか、下着やソックスなどの収納にも便利だ。さらに、シリーズのなかで「クエスト23」にのみ、取り外し可能なシューズバッグが付属する。
「ルームシューズやランニングシューズを持ち運びたい方に便利な装備です。シューズだけでなく、小物入れとして使っていただくこともできます」
スリッパやスニーカーを携行したい場合は、付属のシューズバッグを活用するといい
2ヶ所に設けられたハンドルや、ショルダーハーネスを収納できる仕様も、移動時の使いやすさにつながっている。こうした過不足のないディテールには、「簡潔は複雑に勝る」というマックパックのものづくり意識が表れている。
ショルダーストラップは底部のバックルを外すことで、背面のスリーブに収納することができる

長く使える理由は、素材とリペア体制にある

「生地には耐久性と耐水性に優れたリサイクルオックスフォードナイロンを採用しています。都市にもなじむ風合いを持ちながら、環境にも配慮した素材です」
メイン生地に420デニールリサイクルオックスフォードナイロン、裏地に200デニールリサイクルポリエステルを使用。耐久性と軽量性を兼ね備えている
耐久性の高い素材を採用するだけでなく、修理しながら長く使い続けられる体制も整えている。
「創業以来、『リタイヤさせる前にリペアする』という考え方を大切にしています。ジッパーやバックルが壊れても、まだ使えるバッグなら修理して使い続けてほしい。そのためのリペアサービスも提供しています」
クライストチャーチ本社にはリペアルームが併設され、長年経験を積んだ職人がバッグの修理にあたっている。過去の製品にも対応できるよう、生地やパーツも保管されており、30年前に製造したバッグの修理にも対応しているという。
ガレージブランドとして始まったマックパックは、半世紀を経た今も、自然とともに暮らすニュージーランドの価値観をものづくりに反映し続けている。「クエスト23」は、その文化を都市生活へと落とし込んだ代表的なプロダクトといえるだろう。

PROFILE

増井 琢也(ますい たくや)

株式会社ゴールドウイン
ディストリビューションブランド事業部
アウトドアブランド事業グループ
マックパック担当MD
学生時代にクライストチャーチを訪れ、自然や文化に魅了されたことをきっかけにアウトドア業界へ。以来20年にわたり業界一筋でキャリアを重ねる。現在は商品を通じて、ニュージーランドの魅力も発信している。

Text by Tomoshige Kase

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