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“着る人を、愉しく元気にする”──東京発シャツブランド「河谷シャツ」のものづくり

2026.06.23
オリジナリティあふれるデザインと確かなクオリティのシャツづくりで、“着る人を、愉しく元気にする”をコンセプトに掲げる「河谷シャツ」。東京・高円寺の古民家に拠点を構え、複数の直営店を展開。ブランドを支持するファンの多くが大人世代というのも特徴だ。
今回は、有限会社ブレインズ・インターナショナル代表の河谷 義人さんと、河谷シャツ ディレクター兼デザイナーの藤岡 聖子さんに、ブランド誕生の背景から最新コレクションまで詳しく話を聞いた。

“着たいシャツがなかった”ことから始まった河谷シャツ

はじめに、河谷シャツが誕生した経緯について河谷さんに話を聞いた。
「もともとは、通販カタログ向けのODM事業を行っていました。企画・デザイン・製造までを請け負う仕事だったのですが、時代の変化や為替の影響などもあり、自分たちでデザインや価格を決めて販売する体制へ移行したいと考え、ブランド化を進めていったんです。
僕自身、『着たいシャツがないな』と思っていたこともあり、趣味でシャツを切ったり貼ったりしながら自分なりのシャツを作っていました。もともとシャツが好きだったこともあり、デザインだけでなく、品質にも強いこだわりを持ってものづくりをしてきました。
その品質をベースに立ち上げたのが、2011年の『河谷シャツ』です。その後藤岡さんに入社してもらい、企画・デザインを担当してもらっています。彼女は美術大学出身で、独自の感性を生かして河谷シャツの企画・デザインにあたっています」
高円寺にある古民家を改装した河谷シャツの社屋

“着る人を、愉しく元気にする”というコンセプト

冒頭で話題に上がった、“着る人を、愉しく元気にする”という河谷シャツのコンセプトについて、藤岡さんに話を聞いた。
「このコンセプトは、代表である河谷さんの感性を詰め込んだシャツを表現したものです。メーカーとして長年培ってきた技術をベースに、遊び心や細部へのこだわりを盛り込んだシャツづくりをしています。
根底にあるのは、“着ることが愉しくなる服を作りたい”という想いです。シーズンごとにテーマを設けており、今期春夏のテーマは『コラージュ』。さまざまな要素を組み合わせながら、遊び心のあるシャツに仕上げています。
あえて少し外したり、意外な組み合わせを取り入れたりしながら、着る人自身が愉しめるシャツを心がけています」

“ないものを作る”を合言葉にしたものづくり

ここからは、河谷シャツのものづくりについても聞いていきたい。今シーズンのアイテムを見せていただきながら、その個性的なデザインがどのように生まれるのかを紐解いていこう。引き続き、藤岡さんに話を聞いた。
「定番モデルとして、10年ほど前から人気を集めているのが猫をモチーフにしたアイテムです。今シーズンは『ねこの街(Cats town)』という名前で展開しています。2色展開なのですが、ブラックとレッドのモデルは、それぞれ大きさの異なるドット柄を組み合わせて猫をコラージュしています。
もうひとつのレッドストライプのモデルも同様に、異なる柄を組み合わせながら猫を表現しています。さらに、背中に付くハンガーループを猫のしっぽに見立てているのも特徴です。柄やカラーリングだけでなく、細かなディテールまで遊び心を詰め込んでいます」
ねこの街(Cats town) 24,200円(税込)
着用シーン

オリジナルテキスタイルが生み出す河谷シャツらしさ

さらに、河谷シャツならではのオリジナルテキスタイルを使用したアイテムについても引き続き藤岡さんにご紹介していただいた。
「こちらは『音色(ねいろ)』という商品名になります。コラージュのように描かれた音符柄を、オリジナルプリントで散りばめたストライプシャツになっています。
裾のパイピングや袖裏のカラーリングがアクセントとなり、上質なコットン素材による快適な着心地も魅力です」
音色(ねいろ) 20,900円(税込)
裾のパイピングと同色のカフスの裏地

大人に支持される河谷シャツのこだわり

個性的なアイテムを見せていただいたところで、河谷さんにブランドについてさらに深掘りした話を聞いた。細かなシャツづくりへのこだわりや、多くの大人たちから支持される理由について伺っていこう。
「毎シーズンたくさんの種類のシャツをリリースしていますが、多くのモデルで襟をやや小ぶりにデザインしています。これは僕自身が襟に強いこだわりを持っていて、シャツを着たときの絶妙なバランスを大切にしているからです。
さらに、サイドポケットを備えたモデルも多く展開しています。シャツにサイドポケットが付いていると本当に便利なんです。実際に着ていただくと、その使いやすさを実感していただけると思います。
そして河谷シャツを支持してくださる方には大人世代が多いのですが、その理由のひとつにオリジナルのパターンメイキングがあります。
ミドルエイジの方に共通する悩みのひとつとして体型の変化がありますが、河谷シャツでは前身頃をすっきりと見せながら、後身頃にはゆとりを持たせることで、自然に体型をカバーできるシルエットに仕上げています。
サイズ展開はXSからXXLまでと幅広く、ベースとなるパターンはメンズ仕様ですが、男女を問わず着られるデザインを意識しています。実際の購入比率も男女ほぼ半々で、やや女性のお客様の方が多く、全体の約55%を占めています」
写真向かって左:こだわりのボタンダウンカラー
右:サイドポケット

河谷シャツの世界観を体感できる直営店

最後に、河谷シャツを展開する直営店舗について河谷さんに話を聞いた。
「ブランドを立ち上げた当初は、さまざまな場所でポップアップストアを開催していました。なかでも神奈川の鎌倉で開催していたポップアップストアは毎回ご好評をいただいていて、その流れから最初の路面店を鎌倉にオープンしたんです。
その後、鎌倉にもう1店舗を出店し、さらに東京・丸の内の商業施設『KITTE』にも店舗をオープンしました。現在は、このKITTEの店舗が河谷シャツのフラッグシップショップとなっています。
そのほかにも、福岡と愛媛に店舗を構え、現在は全国5店舗で展開しています。またオンラインストアに加え、現在も各地でポップアップストアを開催しています」
鎌倉BASE 神奈川県鎌倉市扇ガ谷1-8-4 FanValley101 046-791-9250
営業時間:11:00~18:00 不定休
KITTE丸の内 東京都千代田区丸の内2丁目7-2 2F 03-6206-3871
営業時間:11:00~20:00 不定休
毎シーズン、約30型もの新作がリリースされる河谷シャツ。従来のデザインを継続していくのではなく、毎シーズン新たなアイディアを形にし続けているというのも、このブランドらしさのひとつだ。一枚一枚にストーリーを込め、独創的なデザインと確かな品質でファンを魅了し続けている。
“着たいシャツがなかったから作った”。
そんな河谷さんの想いから始まった河谷シャツは、これからも着る人の日常に小さな驚きと愉しさを届けてくれることだろう。

PROFILE

河谷 義人(かわたに よしと)

有限会社ブレインズ・インターナショナル 代表取締役 社長

1996年、有限会社ブレインズ・インターナショナル設立。紳士、婦人服のODMを主力とし、大手通販会社、エンタメ系アパレルへ商品供給。2008年、藤岡聖子入社と同時に自社オリジナルブランド河谷シャツの企画販売を開始。

PROFILE

藤岡 聖子(ふじおか せいこ)

有限会社ブレインズ・インターナショナル

河谷シャツ ディレクター/デザイナー

多摩美術大学 日本画専攻を首席で卒業。卒業後はUNITED ARROWSにてデザイン業務を担当し、大手通販会社、エンタメ系アパレル関連業務に携わる。画家活動(日本と香港)と並行して仕事を続けるダブルワークを経て、2008年、入社と同時に自社オリジナルブランド河谷シャツの企画販売を開始。以降、「河谷シャツ」の世界観づくりに専念。

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