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創業98年、「手芸のテーマパーク」新宿オカダヤ本店が生まれ変わった理由
今年の3月にグランドオープンした新宿オカダヤ本店。アクセスの良さから、手芸の趣味はなくても一度は訪れたことがある人もいるのではないだろうか。
手芸が趣味の人から、服飾学生、コスプレイヤー、スタイリストまで、長年にわたって多くのものづくりをする人に愛され続けているオカダヤは、どんな軌跡を歩んできたのだろう。
また新しくグランドオープンした新宿本店は、以前と変化したところはあるのだろうか。今回は、株式会社オカダヤの営業促進グループ・齋藤和妙さんと、衣装生地・特殊生地担当 鈴木まどかさんにお話を伺った。
1927年(昭和2年)に誕生した、総合服飾材料店オカダヤ
新宿オカダヤ本店は、新宿アルタがあった近くのモア2番街の路面にある。年間を通して多くの人が手芸材料を求めて訪れるが、オカダヤはどのような経緯を経て、総合服飾材料店として確立したのだろうか。「最初は、紳士服のボタン専門店としてスタートしたと聞いています。
当時の紳士服はすべてオーダーメイドであったため、オカダヤではボタンだけでなく、裏地や針、糸といったあらゆる洋裁道具を取り扱っており、全国から多くのお客様が訪れていたそうです。
そこから徐々に取り扱うアイテムが増え、現在のような総合服飾材料店として、さまざまな手芸用品を扱うようになりました」(齋藤さん)
グランドオープン前の本店は、別館と本館で2つに分けられていた。
別館は「服飾館」として毛糸やビーズなどの服飾材料を、本館は「生地館」として生地を専門に取り扱っていた。館内には天井まで生地がびっしりと陳列されており、選んでいるだけで時間を忘れてしまうような空間であった。
「現在はすべて1つの建物に集約されており、生地も毛糸も、その他の服飾雑貨も同じ建物内で取り扱っています。別館での営業は終了しました。
以前は本館だけですべての生地を取り扱っていたので、縦に広かったイメージですね。今は2つのフロアを使って横に広くなったので、以前よりも布を探しやすくなったかと思います」(鈴木さん)
本店に足を運んだことのある人ならわかるかもしれないが、服飾材料の豊富さには目を見張るものがある。なかにはすでに廃盤になっている商品もあり、来店するたびに「もう出会えないかもしれない」という気持ちで、お気に入りの材料を探すのもオカダヤの醍醐味といえる。

「本店は、生地だけでも約2万5,000種類あります。
ジャガード生地の場合、柄を見てから色を選ぶ方も多かったりするので、種類ごとに分けています。逆にサテン生地の場合は、色のグラデーションで選ばれる方も多いので、お客様が目的に合わせて探しやすいよう工夫しています。
また、生地は商品入荷と廃盤のサイクルが早いのが特徴です。
シーズンごとに商品が移り変わるので、廃盤になることが突然発生してしまうこともあります。あとは、海外輸入の特別な生地なども数量限定で仕入れているので、商品の数が変わることも多々ありますね」(鈴木さん)
別館といえば、オカダヤの象徴ともいえるショーウィンドウの展示も忘れてはならない。毎月入れ替わる展示を楽しみにしていた人も多いだろう。
「ショーウィンドウの展示は、コスプレイヤーさんやアーティストさん、そして社員が担当していました。
基本的には毎月入れ替えていましたが、時期によっては2週間ごとに変わることもありました。たとえば、季節ごとのテーマで制作したり、造形技術の高いコスプレイヤーさんの作品を展示させていただいたりと、内容はさまざまでした。
ハロウィンの時期には、私自身も作品を制作して展示に参加しました。オカダヤでは社員がサンプル品として見本を制作することもよくあります」(鈴木さん)
クリエイティブの幅がさらに広がる、グランドオープンでの変化とは?
3月にグランドオープンした新宿オカダヤ本店は、新ビル内の5つのフロアに、以前の生地館と服飾館のすべての商品を集約している。前述のとおり、縦に広かった構造から横に広がるレイアウトへと変化したことで、商品がより探しやすくなった。
また、4月からは初心者でも参加できるワークショップやイベントが開催され、さらに充実した店舗へと進化している。
「編み物作家をゲストに迎えたワークショップは、予約開始直後から満席となるほどの盛況ぶりでした。今後も編み物からコスプレ造形まで、多彩なワークショップを予定しています」(齋藤さん)
そして、同スペースでオープン予定の「レンタル工房」にも期待が高まる。
「レンタル工房は、時間制で利用できるミシン作業や製図(パターン作成)に対応した作業スペースです。たとえば、パターンを引くだけの場合は大きな作業台を、ミシン作業の場合はロックミシンや職業用ミシンを貸し出します。クリエイティブな作業が円滑に進められるような空間を目指しています」(齋藤さん)
近年の編み物ブームを受け、素材選びから制作までを楽しみたいというニーズが高まっており、それに応える形で毛糸コーナーも注目を集めていると齋藤さんは話す。
「毛糸コーナーは毎日活気があります。
以前は“おばあちゃんの趣味”というイメージを持たれがちでしたが、現在の編み物ブームには私たちも驚いています。3〜4年前からチャンキーニットが流行し、そのまま現在もブームが続いているのは非常に興味深い現象です。
オカダヤでは毛糸の種類が豊富に揃っているため、作りたい作品のイメージが湧きやすいと思います。他店では扱っていない毛糸も多数取り扱っているため、選ぶ楽しさも感じていただけるはずです」
これからもユーザーに寄り添う、総合服飾材料店として
オカダヤは、圧倒的な品揃えに加え、クリエイターやユーザーに対する細やかな配慮も忘れない。その姿勢は、見本品の展示や無料レシピの提供といったサービスにも表れている。「各フロアでお買い物いただいた方に無料で差し上げているレシピの一覧などもご用意があります。
たとえば、10階フロアだと手袋や、中世の貴族のようなフリルなどの作品が作れるレシピを無料で差し上げているので、生地と一緒に持って帰って、ご自身でチャレンジされる方も多かったりします。
その後、さらに別のアイテムづくりに挑戦しようと再来店される方も少なくありません。制作の際に悩むポイントは共通していることが多いため、そうした声を踏まえ、少しずつレシピの種類も増やしています」(鈴木さん)
“手芸のテーマパーク”とも称されるオカダヤは、新たな自分と出会える発見の場でもある。その魅力は、特殊生地の分野にも見て取れる。
近年、コスプレ文化が広く浸透してきたが、オカダヤでは約20年前から、コスプレイヤーの衣装制作に用いられるような特殊生地の取り扱いを開始していた。見本品や参考資料として雑誌も設置し、店頭での提案を積極的に行ってきた実績もある。
「コスプレ衣装に使う生地は特殊で、一般の手芸店では見つけにくかったため、口コミで広まったのだと思います。また、雑誌とのタイアップ企画などもあり、そこから認知が広がっていきました。
当初は、オカダヤとしてもコスプレ文化を強く意識していたわけではなく、どちらかといえば舞台衣装向けの特殊生地を取り扱っていた印象です。
特殊生地には華やかなものが多く、昔からダンサーやアイドルのステージ衣装にもよく使われていました」(齋藤さん)
これまでも、業界トップクラスの品揃えで多くのユーザーと共に歩んできたオカダヤ。そのユーザーに寄り添う姿勢は、今後も変わることはない。
「グランドオープンして、以前よりも生地を見つけやすくなったと思います。まだ新宿オカダヤ本店に来たことがない方もぜひ遊びに来ていただけたらうれしいです。皆様の制作のお手伝いをさせていただきます」(齋藤さん)
グランドオープンを経て、ますますにぎわいを見せる新宿オカダヤ本店。学生からプロフェッショナル、趣味のクリエイターまで、多くの人々がこの場所を信頼しているのは、圧倒的な品揃えだけでなく、常にユーザーの目線に立ったものづくりの姿勢があるからだ。
そして、店内に並ぶ多くの手芸用品は、好奇心を刺激して創作意欲を掻き立てる。新たな手芸用品に出会いたい人は、真っ先に新宿オカダヤ本店に訪れてほしい。他では見つからない材料がきっと見つかるはずだ。
Text by Tajimax











