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「プロセカ」5周年の舞台裏──キャラクターの物語を“衣装で描く”クリエイターたちの挑戦

2025.12.09
サービス開始から5年。『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク(以下、プロセカ)』は音楽ゲームの枠を超え、プレイヤーと共に物語を紡ぐ存在へと進化してきた。
その世界を彩ってきたのが、彼らの魅力を形にする「衣装」だ。各ユニットの個性や世界観は、デザインの細部にまで息づいている。
彼らの感情や物語はどのように衣装に落とし込まれているのか? 制作チームは5年間、どのような想いで変化と進化を重ねてきたのか? 今回は、衣装制作の裏側に迫り、プロセカの「表現」の核心をクリエイターたちの視点から紐解く。

5周年を迎えたプロセカと衣装の魅力

プロセカは、ボカロ文化とスマホゲームを融合させた新しい音楽体験を生み出したリズムゲームだ。人気ボカロPによる書き下ろし楽曲がゲーム内で初公開され、往年の名曲も各ユニットによる2DMVや3DMVで彩られたりと、プロセカは“音楽が更新され続ける場”として機能している。
物語面では、等身大の葛藤を抱えたキャラクターたちが音楽を通して成長していく構図が特徴であり、楽曲・MV・ストーリーが連動しながらキャラの心情を深く描き出す。操作性の完成度も高く、純粋なリズムゲームとしても高い評価を得ている。
そして、プロセカを語る上で欠かせないのが魅力的な衣装の存在だ。どのようなチーム体制で衣装制作にあたっているのだろうか。
「現時点では、衣装デザインを担当しているのは3名です。基本的には1人が1つのイベントを受け持つ形ですが、内容によっては1つのイベント衣装を3人で分担して進めることもあります。そのときどきの状況に応じて、担当体制は柔軟に変わりますね」
プロセカを楽しむ要素の一つに“特訓(=キャラクターのレベル上限解放&能力強化+新イラスト解放を伴う育成システム)”があり、特訓後のビジュアルは、ユーザーの反応が特に大きいプロセカ体験の魅力になっている。イラストの公開時には「神イラスト」「刺さる」といった強いリアクションが集中し、SNSでも一気に拡散される。
デザインの細かなモチーフや色の意味を読み解く“考察”の対象になり、特訓後がキャラの感情やイベントのテーマが見える要素として受け取られているからだ。
★4[新しいことの始まり]星乃一歌(特訓後)© SEGA/© CP/© CFM
また、特訓後のビジュアルをもとに作られる3D衣装への期待も高く、ユーザーは「この衣装がライブでどう見えるか」を楽しみにする傾向が強い。特訓後のビジュアルはキャラクターの魅力やイベントのテーマを一気に深掘りする役割を持ち、ガチャを回す大きな動機にもなっている。
★4[想いを託して]初音ミク(特訓後)© SEGA/© CP/© CFM
「プロセカのストーリーではキャラクターたちの成長や葛藤が描かれます。特訓後のイラストでは、各キャラクターの心情や置かれている状況を表現しており、その表現の一つとしてイベント衣装があります。
ストーリーや楽曲、キャラクターの心情などさまざまな要素から、『今回は衣装で何を表現したいか』という点を衣装班で相談しつつ、デザインしていきます」

ユニットごとの個性を反映したデザイン

プロセカの魅力は、多彩なユニットそれぞれが持つ個性とその物語性にある。
各ユニットは音楽・ストーリー・キャラクターが一体となっており、プレイヤーは彼らの成長や葛藤に共感できる。こうした多様な価値観を包み込む構造が、プロセカの大きな魅力になっている。
「ユニット衣装は、それぞれの個性や世界観がしっかり伝わるようにデザインしています。
『Leo/need』は“青春×バンド”をテーマにしています。シャツやブレザーで学生らしさを出しつつ、ロックの要素も取り入れています。胸元や肩の星飾りは、ユニットの象徴としてさりげないポイントになっています」
Leo/need © SEGA/© CP/© CFM
「『MORE MORE JUMP!』は、アイドルらしいかわいさをベースに、トレードマークの三つ葉を加えました。おそろい感を出しながらも、キャラクターごとの個性が見えるように工夫しています」
MORE MORE JUMP! © SEGA/© CP/© CFM
「『Vivid BAD SQUAD』はストリートファッションを軸に、ユニット感は出しつつもキャラクターそれぞれの個性が際立つよう調整しています」
Vivid BAD SQUAD © SEGA/© CP/© CFM
「『ワンダーランズ×ショウタイム』は、ショーキャストらしい華やかさを意識しつつ、子どもから大人まで楽しめるカラフルさも大事にしました。見ているだけでワクワクする衣装になっています」
ワンダーランズ×ショウタイム © SEGA/© CP/© CFM
「『25時、ナイトコードで。』はそれぞれ学校への通い方が異なり、ネット上での音楽サークル活動をベースとする異色のユニットとなります。レオニとは違った学生感を出すべく“それぞれ違ったセーラー服”を軸に、“同じサークルだけど寄り過ぎない、そばにいながらの孤独感”を表現するのがポイントですね」
25時、ナイトコードで。 © SEGA/© CP/© CFM
「心情表現が強いイベント衣装に関しては、テーマやキャラクターの心情を衣装の形やモチーフでどう表現するかを常に考えながらデザインしています。また、シャッフルイベントのようにユニットが違うキャラクターたちの交流回や、イベントのキーワードが“優しさ”など、ストーリーの内容のみでは衣装として強いデザインを紐づけにくい場合は、あえてストーリーの軸ではないモチーフを使用し単純に衣装のパンチ力を狙うデザインをすることもあります」
特に色使いや着こなし、小物の取り入れ方にこだわることが多いと話す。イベントごとにキャラクターの成長や葛藤、人とのつながりが描かれるため、表現できるモチーフの幅も広がっていくからだ。
バーチャル・シンガー © SEGA/© CP/© CFM
すでにリリースした衣装で使ったモチーフをあえて再利用し、以前の心情との対比や、要素を強めて成長感を表現することもあるという。さらに、ストーリー上でメンバー同士が対立する場合は、衣装でもその対立を表現することもある。
衣装一つひとつにキャラクターの心情や成長、ストーリーのドラマ性が丁寧に反映されているのが、ユーザーを物語の世界により深く引き込み、キャラクターへの共感や没入感を高めているのだ。

挑戦的だった衣装制作の舞台裏

この5年間の中でも、特にイベント「荊棘の道は何処へ」と「逆光のレンズフレア」には、特に制作の難しさや挑戦のエピソードが詰まっている。
★4[失われてしまったもの]暁山瑞希:ライブ衣装『苦痛の綻花』 © SEGA/© CP/© CFM
「制作が難しかったエピソードとしては、『荊棘の道は何処へ』の衣装があります。このストーリーで『25時、ナイトコードで。』に所属する暁山瑞希の、“現実を受け止めきれず逃げ出したい”という心情をどう表現するかが課題でした。
“両目を覆う衣装がしっくりくるのでは”と考えた一方で、目を隠すことでユーザーに不安感が強く出すぎる懸念や、キャラクターの顔が見えないと受け入れられにくいのではという迷いもありました。
このときは衣装チームだけでなく幅広く意見を集め、最終的には目を覆うデザインをメインにしつつ、片目が見えるアクセサリも併せて出す形にしました。
また、挑戦的だった衣装としては、『逆光のレンズフレア』の口元を隠したデザインがあります。プロセカでは3DMVでキャラクターの表情や掛け合いを見せるのが重要なポイントなので、口元を隠す衣装は難易度が高いとされていました。
★4[漏れ聞こえる言葉]神代類:ライブ衣装『intruder:R』 © SEGA/© CP/© CFM
しかし、この衣装では、心情表現だけでなく楽曲との相性や、マスクによって衣装としてのパンチ力が上がることも狙いにしていました。それまで避けていた口を隠す表現に挑戦すべきタイミングだと判断し、結果として生まれた衣装になります」

初期から積み重ねた表現の進化

ゲーム内外で大きな話題となっているプロセカは、この5年で大きな節目を迎えた。5周年記念イベントやガチャ、新曲「ペンタトニック」(作詞・作曲:syudou × バルーン)の登場で、長年のユーザー・新規ユーザー問わず盛り上がりを見せた。
10月に開催した「プロジェクトセカイ 5th Anniversary 感謝祭」は、現地会場だけでなく全国各地と海外の映画館でもライブビューイングされ、SNSでもお祝いの声が相次いでいる。
プロジェクトセカイ 5th Anniversary 感謝祭の様子 © SEGA/© CP/© CFM
この節目は、過去を振り返るだけでなく、これからのプロセカの新たな展開を期待させる年だ。
「初期の頃は、ストーリーの量も少なく、既存のクリエイティブもほとんどなかったため、まだ手探りで制作していた印象があります。ストーリーが進むにつれて楽曲が増え、キャラクター同士の交流が増えたことで、感情の変化により深く触れられるようになり、衣装デザインでも『今回は何を表現すべきか』を考える機会が増えました。
衣装ごとに表現したいものを考えるという点は初期から変わっていませんが、制作経験が積み重なったことでチーム内の知見も増え、表現の幅が広がっています。
単純に表現したいものを前面に出すだけでなく、細かなモチーフを忍ばせたり、繊細な心情を表現するために抽象的なデザインを組み込んだりと、より多彩な手法でキャラクターの魅力を引き出せるようになってきました」
キャラクターたちとともに歩んできたストーリー、歌、そして衣装。それぞれに込められた想いや工夫を凝らした表現手法が、プレイヤーの心に届き、共に喜び、感動する瞬間を生み出してきた。これからもプロセカの世界は広がり続け、キャラクターたちの魅力はさらに色鮮やかに描かれていく。ユーザーとクリエイターが紡ぐ物語は、まだ始まったばかりだ。

ヘッダーキャプション:© SEGA/© CP/© CFM

Text by Tajimax

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