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Q-pot.(キューポット)の軌跡:スイーツアクセサリーのパイオニアが描いた23年の物語
チョコレートやスイーツなど、私たちの“好き”が詰め込まれた「Q-pot.(キューポット)」のアクセサリー。今では、スイーツモチーフのアクセサリーは定番となっているが、平成のスイーツアクセサリーブームを牽引し、その先駆けとなったのがQ-pot.である。
2002年からスタートしたQ-pot.は、アクセサリーだけではなく、Q-pot CAFE.からコラボレーションまでさまざまな形で私たちを楽しませてくれた。
今年で23周年を迎えるQ-pot.は、どのような軌跡を歩んできたのだろうか。今回は、Q-pot.デザイナー・ワカマツ タダアキさんにお話を伺った。
PROFILE
ワカマツ タダアキ
Q-pot.デザイナー
世の中にスイーツアクセサリーが誕生した経緯
Q-pot.のアクセサリーを初めて見たときに、心がときめいた人は多いだろう。本物のようなリアルなスイーツのマカロンや、チョコレートをモチーフとしたアクセサリーは、今まで見たことがない「新しさ」があった。
筆者も初めて見たときは、そのキュートなルックスに心を奪われたひとりだが、どのような経緯でQ-pot.はスタートしたのだろうか。
「子どもの頃から工作や絵を描くことが好きで、当初は美大進学を考えたこともありましたが、メンズノンノのモデルに合格したことをきっかけに、ファッション業界と近い関係を持つようになりました。
ただ、高いコミュニケーション能力を求められるモデルという職業に、だんだん違和感を感じて。次第に、表舞台よりも裏方のクリエイター的な感じの方が自分には向いているのではないかと思うようになり、ものづくりで自分らしさを表現したいなと思ったのがきっかけですね。
その後、勢馬一正さん(株式会社グラム・代表)の下で修行をし、勢馬さんからオリジナルブランドの立ち上げを勧められたことが、Q-pot.の始まりです」
1999年に企画が立ち上がり、2002年に発表されたQ-pot.は、2004年以降になると、BEAMSからのバイイングやラフォーレ原宿に出店し、瞬く間に話題になった。
特に柔らかな素材を使ったリアルな質感が魅力のQ-pot.Parlorシリーズの発表と、その代表的なマカロンモチーフには、大きな反響があったという。
「マカロンは、2006年頃に映画『マリーアントワネット』で注目を浴びましたが、当時はまだ日本にあまり普及していないお菓子でした。
通常のマカロンには僕がデザインしたようなクリームは入っていないのですが、僕のデザインによって、日本ではこれがマカロンというイメージができてしまった感じはありましたね(笑)。
この柔らかい素材でホイップクリームを作り始めたのが、ちょうど合同展示会『ルームス(rooms)』に参加したときでした。ノベルティーで配ったらすごく反響があって、商品化が決まったんです」

現在、シリコンを使用したホイップクリームの表現は、ハンドメイドの世界でも定番の手法となっている。この技法を確立したのが、まさにワカマツさんだった。当時、革新的なアイディアとして話題を呼んだシリコン技法は、意外な場所でインスピレーションを得たという。
「展示会の準備中に、自分でシリコンを使って壁を埋める作業をしていたんです。その時、この素材の可能性に気づいたのがきっかけでした。『これって、絞り袋に入れたらクリームみたいに絞れるんじゃないか?』って。実際に絞ってみたら本当にクリームのようで、これは大発見でしたね。
現在はPVCという素材を使用していますが、当時は一つ一つシリコンを絞って手作業で制作していました」
マカロンにチョコレートから歯のモチーフまで、ワカマツさんのアイディアにはいつも意表を突かれるが、その源泉はどこにあるのだろうか。

「Q-pot.の前身となるアクセサリーは、自分自身が身につけて楽しめるモチーフや、ポップアート的なデザインを中心に制作していました。
その後、スイーツ系のデザインへと移行していきますが、Q-pot.Parlorという柔らかな素材のスイーツアクセサリーを生み出すきっかけとなったのは、僕の娘の存在でした。
娘が1歳くらいの頃、ケーキを食べている姿を見ていたときのことです。口の周りについたクリームが、まるで自分をデコレーションしているかのように見えて、そのとても幸せな光景に心を打たれました。
その瞬間から、私の創作に対する考え方が変わりました。つける人を幸せにし、それを見ている人も幸せな気持ちになれるような、笑顔の連鎖が拡がるアクセサリーを作りたいと強く思うようになって。このホイップクリームのモチーフは、その転機となった原点であり、Q-pot.の象徴的なデザインとなっています」
また、2012年に開業したQ-pot CAFE.は、今年で開店13周年を迎えた。おとぎ話のような空間演出と細部までこだわり抜いたメニューは、当時のSNSで大きな話題を呼んだ。

「SNSが普及し始めた時期でしたが、Q-pot.の10周年を機に、オンラインでは得られないリアルな体験の場を作りたいと考えました。Q-pot.のアクセサリーをモチーフにしたスィーツなど、アミューズメントパークのような体験を提供できるカフェを目指しました」
2015年には『美少女戦士セーラームーン』とのコラボレーションを展開。まさにコラボカフェの先駆けでもあるが、そこにもワカマツさんのアイデアやカフェに対する思いがあった。
「Q-pot CAFE.は様々な空間とアイテムを活かし、デザインをメニューや店内装飾に反映できるため、コラボレーションとの相性が抜群です。幅広い世代のお客様にQ-pot.の世界観を体験していただけるよう、メニュー開発にも力を入れています」
コラボレーションやドネーション活動で繋がるQ-pot.の世界
アニメからアーティストまで、幅広い分野で展開されるQ-pot.のコラボレーション。毎回大きな反響を呼び、ファンからは「推し」とのコラボレーションを望む声も多いという。なかでも特筆すべきは、時代の先駆者として評価の高いTommy february6との深い関係だ。

彼女のミュージックビデオではQ-pot.のアクセサリーやディスプレイが使用され、アートワークにも参加。2013年から2015年にかけては、Tommy february6とTommy heavenly6の両プロジェクトでアルバムリリースを記念した、コラボレーションアクセサリーを発表し大きな話題となった。
「Tommyとは早い段階から意気投合し、ミュージックビデオやコラボレーションを一緒に制作する流れになりました。『Lollipop Candy BAD girl』のPVではQ-pot.のアクセサリーやディスプレイを多用し、『SUGAR ME』の目玉焼きのテーブルもQ-pot.が制作したものです」

また、企業とのコラボレーションに関しては、ドネーションを目的として幅広い展開を見せている。2009年からのドネーション活動は、さまざまな形でQ-pot.のデザインをもって多くの人を繋げている。
「世界中に笑顔の連鎖を広げたい―これがブランドコンセプトの根幹です。そのため、社会貢献活動をブランド活動の一環として展開したいという思いを常に持ち続けてきました。
2009年のユニクロとのコラボレーションでは、エチオピアの難民キャンプに10箇所の給水スポットを設置することができました。以来、毎年継続的にドネーション活動を展開しています。
企業とのコラボレーションにおいて、社会貢献活動は必須の要素だと考えています。それぞれのカラーに相応しい形で、Q-pot.らしい社会貢献活動を展開できるよう、常に心がけています」


数多くのコラボレーションやプロダクトを通じて、私たちを魅了し続けるQ-pot.。そのアクセサリーに触れる度に心がときめくのは、ワカマツさんの前向きな思いがデザインの隅々にまで込められているからだろう。
「これから、また新しい発表があります」。そう笑顔で語る言葉に、次なる展開への期待が膨らむ。平成から令和へ、私たちの心を掴み続けてきたQ-pot.の新たな挑戦が、今また始まろうとしている。
Text by Tajimax











