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SNSファッションの元祖「森ガール」が令和で進化! SPINNSが語る“ネオ森ガール”のすべて

2025.08.13
森の中にいるような、ふんわりと優しい雰囲気をまとう「森ガール」。2006年に登場し、一世を風靡したこのスタイルが、今、再び進化を遂げて帰ってきた。SPINNS(スピンズ)が提唱する「ネオ森ガール」は、自然体という芯はそのままに、現代的な感性でアップデートされた新しい姿だ。
懐かしさと新しさが混ざり合う、令和のネオ森ガールは、かつてのスタイルをどのように現代へ落とし込んだのだろうか。今回は、SPINNSプレス部長の高橋恭平さんに、その魅力を深く語っていただいた。

PROFILE

高橋 恭平(たかはし きょうへい)

株式会社ヒューマンフォーラム SPINNSプレス部長

東京都豊島区池袋出身 1986年生まれ

2006年株式会社ヒューマンフォーラム入社

店長職、店舗管理職、古着バイヤー職などを経て現在の職に就いている。

SNSから生まれた最初のファッション、「森ガール」の再評価

森ガールは、2006年にインターネットから誕生した。 その名の通り、森にいそうなファッションを好む女の子を指し、その素朴さとガーリーさが融合したスタイルは、一部のコミュニティで熱狂的に支持された。童話の世界から飛び出してきたようなその雰囲気に、今なお惹かれ続ける人も少なくない。
高橋さんは、この森ガールを「SNSから誕生した最初のファッション」だと再評価する。
「当時はまだ雑誌が主な情報源で、今のようにスタイルやコミュニティが細分化されていない時代でした。そんななかで登場した『森ガール』は、mixiで生まれ、現代のInstagramやTikTok発のカルチャーに通じるものがあります。
つまり、森ガールはSNSを通じたファッションコミュニティの先駆けであり、 今のスタイリングの文化につながる“初期衝動”がそこにはあったと感じていますね」
今年の6月にリリースされた「SPINNS」×「リラックマ」初コラボレーション
四葉のクローバーをはじめ、クローバーコアを象徴するモチーフや、ガーリーでどこか懐かしいドット柄など今の空気感をたっぷり閉じ込めたデザインが揃う
SNS黎明期、mixiのようなツールには「何か新しいことができそうだ」という空気がファッションの世界にも満ちていた。しかし、当時はファッションのジャンルごとに明確なルールが存在し、それに忠実であることが“本物”とされた時代だった。ギャルにはギャルの、森ガールには森ガールの「正解」があり、他の要素をミックスする余地は限られていたという。
「1つのジャンルに縛られがちだったと思います。でも今は、ファッションを“なりたい自分になる手段”として使うことが当たり前になり、ジャンルレスな表現が可能になりました」

アジアで感じた“再定義”の兆しと、ネオ森ガール誕生のきっかけ

昨年末、SPINNSが発表した「ネオ森ガール」は瞬く間に話題となった。IVEのREIといったK-POPアイドルが森ガール的要素を取り入れたスタイルをSNSなどで見せていたタイミングとも重なり、国内外から注目を集める。
実はこの企画の背景には、高橋さんのアジア出張でのある発見があった。
「韓国や中国の古着屋を巡っていたとき、かつてのローリーズファームやアースミュージック&エコロジーなど、日本の2000年代ブランドが古着として並んでいたんです。しかも、きちんと再解釈された形で。日本ではまだ“少し前の服”とされていたものが、向こうでは価値あるものとして見直されていて、強い衝撃を受けました」
この経験が、「日本でも過去のカルチャーを今の感性で再定義して届けられたら面白い」と感じるきっかけとなり、“ネオ森ガール”企画へとつながった。
さらにネオ森ガールは、「ギークシック」や「バレエコア」といったトレンド要素も掛け合わせ、より洗練されたスタイルへと昇華。さまざまなジャンルをミックスすることで、新たな層にまで届く広がりを見せている。
「現在のY2Kファッションの根底には、2000年代の多様なスタイルがあると解釈しています。それを楽しむ人たちへ新たな提案ができれば、と考えたのがネオ森ガールの出発点でした。
かつての森ガールは、ライフスタイルまで含めたカルチャー的な側面が強かったですが、今回はそれをよりファッションの1ジャンルとして、フラットに楽しめる形で再提案しました。スタイリングやビジュアルを通じて、その提案に共感していただけたことが、大きな反響につながったのだと思います」

Y2Kの次へ──過去と現在をつなぐ「文脈」としてのファッション

Y2Kが定着した今、次に注目されるのは2010年代のファッションだと高橋さんは語る。
「必然的にそうなるとは思いますが、同時に、自分たちがまだ新しいカルチャーを十分に生み出せていないという危機感もあります。これから注目される2010年代のファッションには、まだ再定義できる可能性が多く眠っているはずです」
ネオ森ガールがZ世代に受け入れられた背景には、この「Y2Kの延長線上」という文脈の存在も大きい。
「僕らは2000年代と2010年代をリアルに知っているので、その違いもはっきり分かります。でもZ世代の多くは、その境界がとても曖昧なんですよね。10年前のものでも、“エモい”と感じればそれがY2Kとして受け入れられる。結果的に、森ガールのようなスタイルも自然とY2Kの文脈に重なって受け止められていた気がします」
“懐かしいのに新しい”という感覚は、世代間の認識のズレが生んだ、予期せぬ化学反応でもあるのだ。そして、ネオ森ガールが単なるリバイバルに終わらない理由のひとつが、スタイリングの自由度の高さだ。
「以前は“グランジ”や“ギャル”といったジャンルに明確に縛られていた人にも、それぞれの文脈を踏まえた新しいスタイルを提案することで、受け入れられる土壌ができました。
好きだったものを大切にしながら、そこに新しさを足す。そういう混ぜ合わせの多様性のスタイリングが、今の時代の魅力ですね」
コットン素材やアースカラーといったナチュラルな要素を重視しつつ、最大のこだわりは「レイヤード感」にあるという。
「近年はファッション全体がシンプル志向でしたが、そこに重ね着をどう魅力的に見せるかが重要でした。商品の企画からセレクトまで、レイヤードを意識して丁寧に組み立てています」
最後に、高橋さんが語ってくれたSPINNSの根本的なスタンスが印象的だった。
「僕らのブランドコンセプトは“Attitude Makes Styleアチチュードメークススタイル”、と“変われるってムテキ”、つまり、“主張が自分のスタイルをつくる”という考え方です。そしてその主張とファッションを通じて、見た目も内面も“変わる”ことを楽しんでもらいたい。ネオ森ガールもその1つの手段として、自分を表現するきっかけになればうれしいですね」
去年の12月に発表された「NEO森ガール」。SNSを中心に大きな話題となった
服を着ることは、ただ流行をなぞる行為ではない。それは、自分自身の価値観や気分、生き方をさりげなく、でもたしかに表現する手段でもある。
ネオ森ガールという再解釈されたスタイルは、まさにその象徴だろう。2000年代、森ガールはSNSという新しい場から生まれたオルタナティブなファッション像を提示した。そして令和の今、それが「懐かしさ」と「再定義」を軸に、新たな価値としてアップデートされたのだ。
過去をただ消費するのではなく、自分なりに咀嚼し、再構築しながら「今」と「これから」をつくっていく──そのプロセスこそが、今の若い世代の感性であり、ファッションが再びカルチャーとして力を持ち始めている証拠だろう。
“何を着るか”ではなく、“どう着たいか”。その問いに改めて向き合うことから、新しいカルチャーはまた、静かに始まっていく。

Text by Tajimax

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