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アメ村の3坪から全国展開へ!WEGOが複雑化する若者トレンドに「合わせにいく」理由とは?
創業30周年が過ぎたWEGO(ウィゴー)が、多様化する現代の若者カルチャーに寄り添い、平成リバイバルや韓国ガーリーといったSNS発の複雑なトレンドを素早く商品化している。
なぜ彼らは、目まぐるしく変わる若者の価値観を的確にとらえ続け、圧倒的な支持を集めることができるのだろうか。
WEGOの代表取締役社長・園田恭輔氏に、ブランドが歩んできた歴史と、トレンドを生み出すのではなく、トレンドに「合わせにいく」という独自の哲学を伺った。
PROFILE

園田 恭輔
株式会社ウィゴー/WEGO Co.,Ltd. 代表取締役社長
1999年、株式会社ウィゴーへ入社。店舗スタッフや店長を経験後、エリアマネージャー、バイヤー、倉庫管理、PR部署の立ち上げ、事業部長など、幅広い分野で会社の成長を支える。2018年に代表取締役へ就任。2024年にはオンワードグループの一員となった株式会社ウィゴーを、更なる成長へと加速させている。
アメ村のわずか3坪の古着屋からスタート
1994年、WEGOは大阪・アメリカ村のわずか3坪の古着屋から歴史をスタートさせた。当時、若者たちの間ではヴィンテージ古着がブームとなっていた。その流れの中で、あえてWEGOはより手の届きやすい80年代から90年代のレギュラー古着を中心に展開し、対面での接客を重視するスタイルで支持を集めていく。「当時はアメリカ村を中心にヴィンテージブームのピークでしたが、何万円、何十万円もする服だけでなく、もう少し手の届きやすい年代のレギュラー古着を、対面で接客しながら売るスタイルからスタートしました」

この「若者の等身大の目線に立つ」という姿勢は、現在のWEGOにも色濃く受け継がれている。若者が初めてファッションに目覚める場所、いわば「エントランスストア」としての役割を長年担ってきたのだ。2020年には、その思いを言語化したコーポレートスローガン「YOUR FAN」を制定。若者の多様な個性を尊重し、応援するというスタンスを明確に打ち出した。
常に変化する若者の価値観をリスペクトし、彼らのファンであり続ける。この確固たる哲学が、時代が変わってもブランドが支持され続ける基盤となっている。

雑誌からSNSへ。メディアの変容と若者の価値観の変化
若者の情報源は、時代とともに大きく変容してきた。かつてはファッション誌の読者モデルがカリスマ的な人気を誇り、若者たちの憧れの的となっていた。しかし、スマートフォンの普及とともに、誰もがSNSで発信できる時代へと突入する。WEGOはこの変化をいち早く察知し、大きな決断を下した。「2012年には外部の雑誌への出稿をすべてやめ、その浮いたコストを自社のオウンドメディア運営に投下しました。一方で、自社発行のフリーペーパー『WEGOマガジン』は一つのアウトプットとして継続し、それがSNSのネタになったり、そこからインフルエンサーが生まれたりする独自のサイクルを構築していきました」

外部メディアに依存せず、自社メディアを起点にコミュニティを形成するこの試みは、SNS時代における若者との新たな接点となっていった。誰もが発信者となり情報が瞬時に拡散されるようになった結果、若者たちの価値観やトレンドのあり方もまた、大きな転換点を迎えることになる。
韓国ガーリーと平成リバイバル、細分化するトレンドの正体
現在の若者ファッション市場では、韓国ガーリーやY2K、バレエコアといった多様なテイストが同時多発的に存在している。さらに、今日はストリート、明日はグランジといったように、各人が日によってまったく異なるジャンルを着こなすことも珍しくない。特に注目を集めている韓国ガーリーやK-POPファッションだが、そのルーツを辿ると意外な事実が見えてくる。「韓国ガーリーやK-POPアーティストのコンセプトも、実は日本の平成時代がリファレンスになっていることが多いのです。世界の若い子たちからすれば見たことのないフレッシュなものとして受け入れられていますが、カルチャーが循環するアジアならではの現象だと捉えています」
時代や国境を越えたリミックスが、SNSを通じて日常的に行われている。最新のトレンドを追うだけでなく、フリマサイトや古着屋を活用して自ら過去のアイテムを発掘する若者も増えた。こうした複雑化したトレンドに対し、WEGOはあえてブランド側から特定のスタイルを押し付けることをしない。


主語は若者。「合わせにいく」ことで生み出すWEGOらしさ
かつてのような「みんなが同じ服を着る」巨大な流行は消え去り、若者たちはSNS上でさまざまなカルチャーを横断して自らスタイルを再構築している。このオンタイムの変化に追いつくため、WEGOではSNSのコミュニティから情報を収集し、純度の高いトレンドを素早く商品に落とし込んでいる。「ユーザー自身の編集力が高くなってきているので、僕らが主語になるよりも、彼らに合わせにいかないと追いつけません。膨大なアイテムの中からスタイルを提案する、古着屋時代に培った編集型の売り方が生きています」
トレンドを作り出すのではなく、若者の高い感性にブランド側がチューニングしていく。さらに店舗に足を踏み入れると、洋服だけでなく、推し活グッズやキャラクター雑貨などが所狭しと並んでいる。ファッションの枠を超え、カルチャーやライフスタイルまでを包括するこの独特の空間づくりこそが、彼らの強みだ。
「WEGOらしくというのはあまり意識していませんが、お高く止まるのは違うと思っています。ごちゃごちゃさせたいわけではなかったのに結果的にごちゃごちゃしているという感じではありますが、そこには面白さを選んでいるという確固とした理由があります」

ただ、合わせにいくといっても無数の商品を並べて客に探させるのではなく、ある程度ブランド側からスタイルを提案した状態を作り出すことも怠らない。さらに、最近ではK-POPアーティストをいち早く起用するなど、それぞれのコミュニティの熱量に寄り添う誠実な姿勢が、結果として若者たちの共感を呼び、ブランドへの信頼へとつながっているのだ。

低価格プラットフォームに抗う、共感と思想のものづくり
全国47都道府県すべてに実店舗を構え、圧倒的な店舗数を誇るWEGOは、EC全盛の時代においても店舗での売上比率が圧倒的に高い。一方で、近年は超低価格を武器にする海外発のECプラットフォームが台頭し、若者の消費行動に大きな影響を与えている。「安くて可愛い」ものがスマートフォン一つで簡単に手に入る環境下で、WEGOは価格以外の価値をどのように提供していくのか。「安さだけで言えば、海外の低価格プラットフォームには勝てません。だからこそ、その服がどういう思想で生まれているのか、どういう会社でどんな人が作っているのかという背景が大切になります。共感やファンであることが選択の理由になる時代です」
安易な大量生産に走るのではなく、特定の界隈やカルチャーを深く理解したうえでものづくりを行う。少しでも文脈がずれれば批判されかねないシビアなコミュニティに対しても、社内の若いスタッフたちが日々SNSに張り付き、リアルな感覚で対話を続けている。こうした泥臭いリサーチの積み重ねが、単なるアパレルブランドを超えた「思想」となり、若者たちの心を掴んで離さないのだ。

国境を越えて、若者と共に進化し続けるブランドへ
創業から30年余りが経過した現在、WEGOの視線は国内にとどまらず、アジアをはじめとするグローバル市場へと向けられている。台湾での店舗展開が初日から好調な売り上げを記録し、中国でもWEGOの推し活グッズが流行するなど、大きな話題を呼んでいる。日本の若者カルチャーを体現する存在として、国境を越えた支持を広げつつあるのだ。
「18歳から20歳前後の時期に出会ったインスピレーションは、その後の人生にずっと影響を与え続ける」と園田さんは語る。
大人と子どもの境界線にいる多感な若者たちが、初めて自分のお金でファッションを楽しむ瞬間。そのかけがえのない瞬間に寄り添い、共に遊び、変化を恐れずに進化し続けるWEGOの挑戦は、これからも続いていく。
Text by Maho Ueda(altair inc.)















