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スケートシューズに“風”を吹き込む: DC Shoesが復刻した 「AT-2」の空気循環システムとは?
競技の発展とともに進化を遂げてきたのがスケートシューズだ。しかしその一方で、熱や蒸れといった快適性は見過ごされる傾向にあった。そうした状況に対し、フットウエアからアパレル、アクセサリーまで展開するカリフォルニア発のスケートブランド、DC Shoes(ディーシー シューズ)が提示したのが“通気”という発想だ。
2005年に登場した「AT-2(エーティー・ツー)」はソール内部に空気の通り道を設け、靴内の温度をコントロールするベンチレーションシステムを搭載した。
当時としては異例のアプローチとして注目を集めたこのシューズ。そして今年、そのAT-2が通気性に磨きをかけて復刻されることになったのだ。往年の名作スケートシューズに吹き込まれた新風とは? ボードライダーズジャパン合同会社DC Shoes プロダクト担当の寺尾彰さんとともに、そのテクノロジーを紐解く。
PROFILE
寺尾 彰(てらお あきら)
ボードライダーズジャパン合同会社
DC Shoes プロダクト担当

バルキー化のピーク時に誕生した“通気”という解
「2000年代初頭、スケートシューズは大きく厚みを増す、いわゆる“バルキー化”のピークを迎えていました。当時求められていたのは、強い衝撃から足を守るクッション性や、ハードなライディングに耐える耐久性、そして確実なグリップ力です。ただ、プロテクションを追求するあまり、シューズ内部に熱がこもりやすくなり、重量も増してしまうという課題もありました。スケートシューズの生命線である耐久性と、スケーターが求める快適性や通気性をどう実現するかが課題でした」
そのジレンマを解消するために生まれたのが、“シューズ内部に空気を通す”というアイディアだった。

2000年代初頭の空気を反映したテック・デザイン
こうして開発されたのが、独自の「AEROTECH(エアロテック) ベンチレーションシステム(以下エアロテック)」を搭載した「AT-2」である。2005年に登場した本作は、2001年に発売されたレジェンドライダー、ダニー・ウェイ氏のシグネチャーモデルの系譜を継ぐもので、当時のラインナップにおいて、もっとも革新的なテクニカル・パフォーマンスシューズとして位置づけられていた。
設計にはスケートだけでなく、ペダル操作の精度が求められるBMXや、過酷な熱環境にさらされるモトクロスといった競技の特性が反映されている。

AT-2はスケーターのみならず、ハイテクスニーカーファンからも高い支持を獲得したが、その後ラインナップから姿を消した。
なぜ、リリースから20年以上の時を経て、このモデルを復刻することになったのか?
「その理由のひとつが現在のトレンドです。近年、Y2K的なボリュームシルエットやテックスタイルが再評価されるなかで、2000年代初頭のスケートシューズに見られたデザインや機能に改めて注目が集まっています」
こうした流れに加え、技術面の進化が復刻の決め手になった。
「オリジナルの開発から20年以上が経ち、技術や素材は当然のごとく進化しました。外観のディテールは忠実に再現しつつ、エアロテックの通気性をアップデートすることができることがわかったからです」
風はどこから入り、どこから抜けるのか?
では、AT-2の核となるエアロテックとはどのような機構なのか。「ソールに開いた通気口から空気を取り込み、その空気がミッドソール内部のエアフローチャンネルを通って、シューズ上部へと抜けていく仕組みです」
一般的なスケートシューズがアッパー側から通気性を確保するのに対し、エアロテックはソール側から空気を取り込む。足裏から空気を送り込み、内部全体を換気する──いわば“シューズ内に風を通す”設計だ。
「プロライダーからのフィードバックをもとに、特に熱がこもりやすい指の付け根付近やサイドパネルは、耐久性と通気性のバランスを考えた最適なレイアウトになっています。また、中底全体やアッパー各所にメッシュ素材を組み合わせることで、シューズ内の空気の循環を促します」

復刻モデルでは、この空気循環構造がさらに強化された。インソール全体に新たに設けられた通気孔によって、取り込まれた空気はよりスムーズに足裏を通り抜け、シューズ内部の熱を効率よく排出する。

ハイパフォーマンスを支えるディテールワーク
そうした通気テクノロジーを支えるのが、随所に組み込まれたパーツだ。「サイドを包み込むTPU(熱可塑性ポリウレタン)ケージは、横方向の激しい動きに対応し、シューズ内での足のブレを抑制します。また、メッシュインサートで通気性も確保します」

ヒールに内蔵されたエアバッグは、ジャンプやトリック後の着地時に発生する強い衝撃を吸収し、足や関節への負担を軽減する。

極厚のシュータンは足首から甲にかけてのプロテクションを担うと同時に、ブランド特有のボリューミーなシルエットを形成する。

ミッドソールには、軽量かつクッション性に優れる素材・UNI-LITE(ユニ ライト)を採用。ボリューミーなルックスに反して、軽快な履き心地を実現している。
アウトソールには、衝撃吸収性と耐摩耗性に優れたスティッキーラバーを採用している。さらにピルパターントレッドがあらゆる方向へのグリップ力を発揮し、デッキ上では吸いつくような操作感を、ストリートではたしかなトラクションをもたらす。

風が変えるスケートシューズの新しい役割
DC Shoesにとって、エアロテックによる通気は単なる快適性のための機能ではない。過酷な環境下でパフォーマンスを維持するための“環境制御技術”である。スケートシューズに風を吹き込む。「AT-2」は、環境を制御することでパフォーマンスを支えるという新たな視点を提示する一足だ。
Text by Ryota Osujo

















