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シーンを牽引する「Straight From L.A. powered by BerBerJin Shimokitazawa」が提案する、あの頃の古着の醍醐味
世界的なヴィンテージブームが続くいま、古いリーバイスなど人気ブランドの希少モデルには数千万円の値がつくこともある。そんな現状に一石を投じるショップが下北沢にある。「Straight From L.A. powered by BerBerJin Shimokitazawa」には、希少ヴィンテージは並ばない。
代わりに、安価でユニークな古着が“グラム単位”で購入できる。高額化が進む時代に、誰もが感じていた“古着の原点”をこの店は思い出させてくれる。今回は、「Straight From L.A. powered by BerBerJin Shimokitazawa」の店長・木滝一也さんに、オープンに至るまでの経緯や店の魅力について幅広く話を訊いた。
PROFILE

木滝 一也(きたき かずや)
Straight From L.A. powered by BerBerJin Shimokitazawa店長
一過性のトレンドではなく、最近では普遍的なファッションアイテムとして世界的に支持を獲得した感のあるヴィンテージ。それを裏付けるように、日本各地ではショップが増え、古着に特化したイベントも次々と誕生している。
今回の舞台となる東京・下北沢は、高円寺と並び都内屈指の古着激戦区として知られている。2022年にはロンドン発の国際的な情報誌『タイムアウト』の調査「世界で最もクールな街」で7位に選出されるなど、街の魅力が高まっている。
駅前を中心に都市開発が進んでいることに加え、ここ数年のブームに乗り、それまで飲食店だった場所に新たなヴィンテージショップが雨後の筍のごとくオープンしている。セレクトショップやライブハウス、劇場、個性的な飲食店など、いわゆる“若者の街”として認知されてきたエリアが別の姿に進化し、それまでとは違う、新たな意味での若者の街として変貌を遂げている。

「Straight From L.A. powered by BerBerJin Shimokitazawa(以下、SFLA下北沢)」は、そんな熾烈な競争が繰り広げられるエリアに昨年オープンした。店名からもわかる通り、同店はヴィンテージシーンの最前線を走り続ける原宿「BerBerJin(ベルベルジン)」の系列店舗だ。
オープン時の長蛇の列は、いまも続いている
「SFLA下北沢」は、原宿にある「Straight From L.A. powered by BerBerJin」に次ぐ店舗となる。「その名の通り原宿の店舗も『SFLA下北沢』も、ともにロサンゼルスから古着を直輸入し販売しています。最大の特色は量り売りであるということ。店内の全商品を1gあたり税込み7.7円で販売していて、たとえばTシャツであれば約200gなので、1,400円くらいで購入できます」
「SFLA下北沢」の誕生に至っては、やはり原宿の店舗の影響が大きかったという。
「若い方を中心に多くのお客様にご来店いただきました。そもそも原宿店は、若い人たちが手軽に古着に接したり、興味を持ってもらうためのエントランス的な存在になれば、という社長の思いから誕生したので、その役割は果たせているのかなと思っています」

下北沢というエリアを出店先に選んだ理由には、社長の思いが色濃く反映されている。
「原宿店はトゥルーヴィンテージの品揃えが多く、それを目当てに若いお客様が来店してくださいます。一方で、下北沢では、もっとライトな層──古着にそこまで詳しくなくても楽しめるお店にしたいという思いがありました。
もともと若者の街ですし、最近では“下北古着”という言葉が生まれるほど、いまの若い世代の古着シーンを牽引しています。そうした背景もあって、下北沢との親和性は高いと感じています。
街自体にサブカルチャーが根付いているので、近年人気が高まっているバンドやアニメ、映画といったTシャツとも相性がいいのではと考えています」
量り売りというユニークな販売方法からは、シーンを牽引する人気店としての矜持を感じる。
「『ベルベルジン』では、誰もやったことのないことに挑戦するという社風があるんです。今回の量り売りも、スタッフ全員で話し合っているなかで生まれたアイディアでした。“宝探し”のような感覚を、日本のお客様にも楽しんでいただきたいと思っています」

一点一点、木滝さんを中心に数名のバイヤーがアメリカへ買い付けに赴き、全商品をハンドピックで選んでいる。週に1度の割合でアメリカから荷物が届き、商品の品出しは毎日行われているので、常時2,000着以上並ぶアイテムは入れ替わりが早く、いつ訪れても新鮮なネタが見つかる。
しかも価格は、現在の古着相場と比べても格段に安い。近年高騰が続くバンドTや映画、アニメなどのTシャツは、他店では数万円つくものでも、ここではすべて量り売りで手に入る。
とりわけ毎週土曜日は人気アイテムをまとめて投入するため、それらを目当てに多くの人々が訪れ、オープン前から長蛇の列ができるほどだ。

「Tシャツ以外ではパンツ類も人気です。たとえばカーハートのダックパンツも市場では15,000〜2万円ぐらいが相場ですが、うちは6,000円ぐらいです。あまりに人気なので、下北沢の店舗ではダックパンツ専門のラックを設けています。
あとリーバイスの先染めのブラックデニムも他店では2万円くらいしますが、うちでは5,000円くらいで購入できます」
下北沢が育んできた古着の楽しみ方を再提示する
それまで下北沢には、若者向けのリーズナブル古着屋が数多く存在した。だが前述の通り、近年は駅前開発を進めたことで下北沢エリアの人気がさらに高まり、物価や賃料もそれまで以上に高騰している。その波は古着の価格も例外ではない。ここで、世界的に人気を博している日本のアニメやゲームのキャラクターTシャツを例にあげてみる。人気ゲーム『キングダムハーツ』のTシャツの市場価格は2万円前後というのが相場だ。
これは特に古いアイテムというわけではなく、2020年代に生産されたものであるにもかかわらずだ。決して古くない個体でも、その年代にしかない作品やプリントデザインであるという理由で、希少価値がついている。そういった価値のつき方が面白いと木滝さんは語る。

「ヴィンテージアイテムの大きな魅力の一つに、“古さ”というものがデフォルトとしてありますが、お店に来ていただく若い人たちには、そういった業界の常識はあまり関係ないように感じます。
自分たちで古着の新たな価値を見出しているといいますか、より自由に古着を楽しんでいるように思います。私は以前まで原宿本店のスタッフだったこともあり、“古さ”ありきで古着を見がちなので、ここでのお客様とのやり取りは勉強になりますし、すごく新鮮です」
今後は、ほかのベルベルジンの店舗では見られないようなアイテムも展開する予定だという。
「まずは80〜90年代のレザーブルゾンや軽めのコートです。ブランドで言うとドッカーズ、ノーティカ、ギャップあたりを狙って買い付けたいと思っています。このあたりのレザーは近年人気が高まっていて、下北沢の古着店では4万円前後で販売されていることもあります。
でも、量り売りなら1万〜15,000円ほどで購入できます。実際に量っていただければわかりますが、そもそも2万円を超えるものはほとんどありません。いま人気のカーハートのダック地ジャケットも、重そうに見える割に量り売りだと12,000円くらいなんです」

最後に、店舗としての今後のヴィジョンについて訊いた。
「個人的には、下北沢を含めて都内のどこかに新たに出店したいと考えています。もっと多くの方に安価でかっこいい古着を届けることで、古着の楽しさをさらに広げていければと思っています」

ただ古いだけで価値があった古着も、時代とともに進化を遂げている。“好きなものを自由に、安価に”。高騰の波に押され忘れかけていた古着の本来の魅力を、「Straight From L.A. powered by BerBerJin Shimokitazawa」では思い出させてくれるのだ。
また、4月末に『ベルベルジン コレクティブ』が原宿にオープンした。こちらは本店、Fake α、YUHODO、&ベルベルジンなどの系列店を、「原宿」と言う場所でひとつの空間に集めた新たな拠点という位置づけ。古着屋のメッカであるとんちゃん通りに、また一つ名店が誕生した。
Straight From L.A. Powered by BerBerJin Shimokitazawa
東京都世田谷区北沢2-13-15 2F
TEL:03-6453-1963
営業時間:12:00~20:00
定休日:不定休
Text by Kei Osawa
















