シャンプーを選ぶ際、「頭皮に詰まるからノンシリコーン」「シリコーン入りはカラーが染まりにくい」といった通説を耳にすることがある。しかし、その真偽を疑問に思う人もいるのではないか。
そこで今回は、シリコーン入り・ノンシリコーンの両方を手がける
花王で、「
merit(メリット)」など長年ヘアケア製品開発に携わる千葉 昇さんを取材。シリコーンの髪や頭皮への影響、正しいヘアケアの選び方について聞いた。
PROFILE|プロフィール

千葉 昇(ちば のぼる)
花王株式会社
ヘルスビューティーケア事業部門 ヘアケア商品開発部
1997年花王株式会社入社。ヘアケア研究所を経て、現在はヘアケア商品開発部にて、商品開発を担当。
「頭皮に詰まる」は誤解。シリコーンの正体
シリコーン入りシャンプーの議論が始まって10年以上経つが、いまだに情報は錯綜している。千葉さんによると、シリコーンには多くの誤解があるという。「皆さんがよく耳にするであろう『シリコン』と、私たちがヘアケア製品で扱っている 『シリコーン』は違うものです。『シリコン』は半導体などに使われるケイ素のことで自然界にも存在しますが、ヘアケア製品に含まれるのは『シリコーン』という有機ケイ素化合物。ケイ素に他の成分も結合したものを指します。
シリコーンはその見た目から『頭皮に詰まる』と誤解されがちですが、実際にはその心配はありません。シャンプーに配合される際、界面活性剤の働きで髪に付着してもベタつかないよう工夫されています。また、分子のサイズは毛穴よりはるかに小さく、毛穴に残りやすい性質も持たないため、洗い流せば頭皮に詰まることはないのです」